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サキュバス

魔国の王は、シャラザード公爵復活の報告を聞いて、忌々しく思っていた。

自分より強いと言われる公爵。

王の座を奪われるかもしれない。

そう邪推していた。

封印される前に会ったシャラザードは、傲慢で、力漲る吸血鬼であった。

叩くなら今、復活して力も戻っていないかもしれないし、手下もまだ多くないだろう。

とりあえず報告してきた、サーリス男爵に、命令を出す。

サーリス男爵は、サキュバスである、吸血鬼といえども、男のシャラザード公爵を、虜に出来るかもしれない。可能性は低いが、サーリス男爵と戦っている間に、戦力を整えよう。そう考えだ。

サーリス男爵は、命令を受け、直ちに行動を開始する。うまくいけば出世できる。公爵を倒せば、伯爵くらいにはなれるかもしれない、ただ、失敗すれば、公爵に殺されるだろう。

戦力を揃えなければと思った。


その夜、エリックは、屋敷の部屋で、ワインを飲んでいた。

その時、部屋に違和感を感じた。


「誰だ?」

誰も居ない空間に、居ると疑いなく声を発する。

「流石は、シャラザード公爵。私はサーリス男爵」

何も見えない空間から、声が返ってくる。

「男爵?確か、サキュバスだったか?」

言って気がつく、元人間のはずなのに、何故解ったのかと。まあいい、今はこいつの対応だと思い直す。

「覚えて頂いていたとは、光栄ですね。魔王様よりの勅命であります。」

サーリス男爵が言う。

「魔王?俺に何かやらせようと言うのか?」

エリックが不満気にいう。

「いえ、貴方の排除命令です!」

言うと同時に、姿を現したサーリス男爵。サキュバスの能力は、相手の男の夢に入り込んで、性的力を吸い取って、相手を廃人に出来る。男爵ともなれば、相手が寝ていなくとも、夢に入り込めるのだ。

それと同時に、手下の魔物達に、屋敷に突入を命じた。エリックの屋敷は、人間が入らないように、結界が張ってある。

しかし魔物の入れるのだ。公爵に敵意を持って、魔物が入って来る事を、想定していない。

下位のサキュバスが、屋敷の突入してくる。


エリックは自分の夢の中に居た。

考えられる限りの絶世の美女、体も素晴らしい女。それが全裸で、エリックを虜にしようとしている。

エリックに触れ、耳元で囁き、あらゆる手段で虜にするつもりだ。

人間の男なら、1秒もかからないだろう。

魔物であったとしても、1分耐えられるかどうか。

しかしエリックは、何とも思わなかった。エリックに性的欲求は無かった。

もちろん、人間だった時は、かなり有った、だが、吸血鬼になってからは、その欲求が湧き出た事がない。ゴブ美の血を吸ったのも、力の補充の為だ。

吸血鬼は、性的興奮をしたら、血が吸いたくなるという。しかし、サキュバスの姿を見ても、興奮しなかった。何故かはわからない。

が、今はそれで助かった。

「これで落とせると思ったのか?」

エリックはそう告げ、サキュバスの首を右手で掴み、持ち上げる。

「なっ!何故興奮しない!この身体に魅力が無いとでも言うのか!」

サーリス男爵は、信じられない表情でエリック見る。

「綺麗だとは思うが、時期が悪かったな。今はソノ気にならん!」

そう言って、サキュバスの力の根源であると言われる、尻尾を、左手で引きちぎった。

千切られた尻尾の部分から、大量の血と魔力が噴き出す。

魔力を失っていくサーリスの悲鳴と、血の匂いが、その部屋に充満する。

サーリスの魔力を、口から吸い込むエリック。

勝負はついた。

右手を離し、サーリスの屍を床に落とすと、左手の尻尾を持ったまま、部屋を出るエリック。

廊下やホールには、何体かのサキュバスの骸と、返り血を浴びた狼女。それと、血すら浴びてないゴブ美が居た。

「怪我はしてないか?」

エリックがたずねる。

「はい、怪我は無いです。しかし、こいつら、何故屋敷を襲うのでしょう?問答無用で襲いかかって来ましたが?男なら、危なかったかもしれません。」

ゴブ美が言う。

「どうやら私の排除命令が、魔王から出たらしい。」

エリックが呟く。

「何故だ!公爵様は、魔王様に何もして居ないだろう?」ギリスが言う。

「ああ、何もしていない、復活してから、会ってもいない。意味が解らない。」

エリックはそう答える。

「エリック様の所にも、サキュバスが現れたのですね!」

左手の尻尾を見て、ゴブ美が言う

「サーリス男爵だ!」

尻尾をゴブ美に渡しながら、エリックが言う。

「サーリス男爵が来たとなると、魔王様も本気と言う事か。」

ギリスが呟く。


「とりあえず、このゴミ共を片付けといてくれ。」

そう言って自室に戻るエリック




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