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戦女神様の魔神討伐記  作者: うにたこ
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プロローグ

テスト要素を含めた投稿です。

あとあと変更する可能性あります。

 瞼の向こうに白くまぶしい光を感じながらゆっくりと目を開けた。深く長い眠りからの目覚めだった。ほんの少しの間、横たわったまま動かず、指先を動かしてみる。


 感覚が鈍い。今、本当に自分の指を動かしたのか疑いたくなるほど重く、はっきりとしない手ごたえだ。再び指を動かしつづけ、腕、足先などを僅かに動かしていきながら、感覚を確認していく。


しばらくそうした動きを繰り返し続けた。血が体の中を廻り始め、鈍い感覚が薄れてきた。


 これなら起きられそうだ。そう思って静かに上体を起こした。あたりを見渡すと、天井の高い部屋にいることが分かった。


 青白い巨大な樹木のような石柱がいくつも上に向かって伸びていて、部屋の中心でドーム状につながっており、集中点には明かり取りの円形の窓がついている。石柱にはつた植物をかたどったレリーフがほどこされており、壁にも様々な植物の模様が浮き彫りされていた。壁の植物は出入口から時計回りに見回すと四季が変化していく様子が見て取れた。出入口の両側にも蔦植物が装飾された格子がついている。


 この部屋の主は植物を象った装飾が好きなのだろう。そう思いながら部屋の四季の変化を見ながら楽しんでいると、出入り口の向こうから誰かがこちらへ来るのが見えた。


 歩いてはいなかった。光に包まれながらこちらに滑るように進んでいた。奇妙な進み方だが不思議なことに気味が悪いとは思わなかった。むしろいつも見ている光景のような気がした。


「お目覚めになりましたか。イシェール様。」


 出入り口の向こうからこの部屋に来ようとしていた人物はいつの間にか目の前に来て話しかけていた。


 イシェールと呼ばれてそれが自分の名だという事を思い出した。しかしこの目の前の青い長衣の男が分誰だか分からない。


 誰だったっけ。


 イシェールが呆然と相手を見つめていると、


「…また寝惚けておいでのようですね。」


 目の前の人物はそう言って右手を自分の胸に手を当て、イシェールに向かってこう言った。


「わたくしの名はトーガ・アズル。あなた様にお仕えするものです。

皆大広間であなた様を待っておいでです。わたくしと共においでください。」


 ああ、トーガか。なんかそんな名だった気がする。


 トーガと名乗った男に言われ、イシェールは自分が今まで横たわっていた大理石の台座から降りた。


 台座から降りトーガの後ろへ続き入口の外へ出た瞬間、イシェールの体は突然何かに運ばれるように滑りだした。周りは光に包まれていた。これは廊下だ。光でできた廊下なのだ。イシェールはそう思った。


 トーガが光に包まれていたように見えたのはこの廊下を通っていたせいだったのだ。目を凝らすと光の廊下の外には青空が広がっていた。イシェールは自分の後ろを振り返った。自分のいた部屋は空中に浮かぶ独立した建物の中にあったようだ。あたりを見ると光の通路でつながれている大理石彫刻の建造物が幾つも空中に浮かんでいた。


 イシェールとトーガは幾つもある建物の中でもひと際立派な大きな建物の方に進んでいった。建物の入口に近づくとトーガは真っ直ぐ正面の入口の方へ進み、イシェールの体は上のほうへ運ばれていった。そして建物のてっぺんにある穴に吸い込まれた。


 イシェールは天井から真っ直ぐに落下し、何の衝撃も感じずに真下の玉座におさまっていた。


 いつもどおりだ。


 何故かは分からないがそう思えた。自分が座っている玉座の下に続く階段の下の広間を見下ろすと先ほどのトーガという男を含め三人の人物が並んでこちらを見ていた。


 トーガ以外の二人は名前が分からないが三人とも見覚えのある顔ぶれだ。彼らのことは何一つ思い出せないが。


 何だかもやもやとしたもどかしさを感じた。よく使う簡単な単語の綴りを度忘れして分からなくなるといった類の気持ち悪さだ。

イシェールは三人に向かって問いかけた。


「トーガ、お前たちは何者だ。」


 トーガが前に出て答えた。


「わたくしたちはあなたの僕であるヤジャ・アムジャです。」

「ヤジャ・アムジャとは何だ?」

「ヤジャ・アムジャとはウルト・アムジャに仕えるしもべのことです。」

「ウルト・アムジャとは何だ?」

「あなた様のことでございます。」

「私は何者だ?」

「わたくしたちのウルト・アムジャでございます。」


 イシェールは少しむっとした。

(このトーガという男、こいつはいつもそうだ。

 こっちが知りたいことを察して説明してくれない。

 空気が読めない奴だ。ん?何だかこいつがイラつく奴だったということは少し思い出してきたみたいだ。)

 イシェールはトーガの隣にいる赤い衣を着た丸顔の男に聞くことにした。


「おい、お前。名を言え。」

「トウヌク・ロスでございます。」


 丸顔の男は前に出て答えた。


「先ほど目覚めてここへ案内されてから私は何一つ思い出せず、要領を得ない。

 私は何者なのか、何のためにここにいるのか教えてくれ。」

「あなた様はこの地テラム・キボスの統治者でイシェール・ウルト・アムジャと呼ばれれております。

 少し前にあなた様はある勢力とのいくさで傷を負われ、今まで傷を癒すため眠りに就いおられたのです。

 しかしあまりに長い間眠っておられた為に眠りに就く前のことをすっかり忘れしてしてしまったのです。

 何、心配は要りません、しばらく経てば少しずつ思い出しますから。よくあることなんですよ。」

「私はどのくらい眠っていたのだ?」

「まるまる300年ほど。」

「戦で傷をおったということはわたしは戦士か?」

「戦士でもあります。」

「ある勢力とは……」

「お知りになりたいことは山ほどおありでしょうが、今は時間がありません。後にしてください。」


イシェールは他にも色々質問しようとしたがトーガがイシェールの言葉を遮った。トーガは言葉を続けた。


「あなたが目覚める少し前に東の方のメイブのほこらで異変があったのです。すぐに処理しなくては手遅れになります。……なにしろ、下は時間の流れが速いものですから。今こうしている間に封印が解けてしまっている可能性があります。トウヌク、カフタヌ、すぐに準備をしろ。」


トーガに言われて他の二人は広間の左右に描かれた大きな魔法陣の上にそれぞれ乗った。玉座にいるイシェールからみて赤い衣のトウヌクは右の魔法陣に、カフタヌと呼ばれた土気色の顔をした黄色い衣の男は左の魔法陣に。そして最後に仕切り屋で三人の中で一番偉そうな青い衣のトーガは玉座の前の階段の下にある魔法陣の上に乗った。

トーガは両手を上にかかげ、声高に詠唱をはじめた。


「エク・オト・エルプ・ミーケ、グエニス・ナ・ヴェルピ・ギーガ・ウプ・スタネ。スクアン・ガルディ・バフィドゥ・フォトス・ウプ・ピルト・ガルディ・モヌン……

(アトラの名において我等はここに願う。石の巨人より生まれた子よ。そなたの守護者を原初の光に包み、何者にも守護者を汚されることがなきようにそなたの骸に届けたまえ。)」


トーガの詠唱とともに玉座のイシェールの体は淡い光に包まれ始めた。

そして頭まで光に包まれたと思うと、玉座があったはずの場所にぽっかりと大きな穴が出現した。

穴の下には雲が広がっていた。

光に包まれたイシェールは穴に吸い込まれていった。







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