僕と私の終末戦争 ②
運営から指定された平野には何やら空間に穴が開いているように見えた。
私たちはあの穴の中に入っていく。中はとてつもなく異次元的な空間になっていて、アナザードラゴンがそこに鎮座していた。
アナザードラゴンは私たちを見て、大きく吠える。
「さぁ、戦闘開始だ」
アナザードラゴンは大きく溜めに入った。
そして、溜めが終わったかと思うと、青白い炎が口から吐き出される。フォーチュンとシロが前に出て、バリアを展開していた。
「ぐぬぁあああああ!!」
「クッ……。持つかしラ」
私たちを業火からバリアを展開して守る二人。
まずはこの業火を耐えなければ話にならないか。私はあの時と同じようにタイミングを見計らって避けれたかもしれないけど、私以外はできないかもしれない。
ナイス判断。
業火が終わる。
二人はバリアを解いた。
「今のでMPが大半持っていかれましたぁ!?」
「なんていう威力……。悪いけド、私はMP回復に専念するワ」
「そうしてくれ!」
私は武器を取り出し、魔法を展開していったのだった。
メイン火力は私とアルカード、リキエルさんだ。この三人が火力トップ3。この3人で大きく削っていくことになる。
ママ、不知火さん、神宮寺さん、マルーン、アンテはサポートに徹してもらう。
「生命と知恵の輪をリキエルさんにかけました。保険程度ですが頑張ろう」
「ありがとさん! とりあえず行くぜ! 魔神の力!」
リキエルさんが暗黒の光に包まれていく。
そして、そのままアナザードラゴンをぶん殴っていた。アナザードラゴンはその一撃がとても重かったのか、のけぞっていた。
「っし! 効いてる!」
「では次は我だな!」
アンテはアナザードラゴンの火球を躱しつつ、接近し、レイピアで切りつけていた。鱗に傷が出来上がる。
だがしかし、その瞬間、アンテの体にアナザードラゴンの巨大な尻尾がぶつかったのだった。アンテはそのまま吹っ飛ばされて、地面に体を打ち付ける。
「なんという威力だ……。クソ、一発がデカすぎるではないか……」
「……あまり被弾はしないほうがいいだろうね。火力でたくさん押し切ったほうがいいだろう。僕が陽動するから、イナリ君、リキエル君が強力な一撃を与えたまえ!」
「オッケーだ!」
アルカードはドラゴンの体を駆け上がり、鼻に双剣を突き刺していた。
ちょっと痛かったのか少し怯むアナザードラゴン。私はMPを3000ほど消費し、神通力を放った。
神通力とリキエルさんの攻撃で、ダメージを与えていく。
まだ順調。誰も死んではいない。
だが、順調が過ぎる。ここまで順調だと逆に不気味だ。私は警戒しながら攻撃をしていくと、アナザードラゴンは口から何かを吐き出した。
暗黒の物体が、空中に浮かぶ。その瞬間、その暗黒のもやから剣などの様々な武器が落ちてきたのだった。
「なっ!?」
「フォーチュン! はまだ回復途中か!?」
「これは受けるしかないな……。あわよくば躱せたらいいがこんな無数の範囲攻撃、躱すのは骨が折れる」
「……」
すると、ママが大丈夫ですと告げた。
私たちはその剣をよけきれず、そのまま体を貫通していく。だがしかし、ダメージはなかった。きょとんとしていると、ママがその場に倒れている。
「えっ?」
「私のスキルを使ったんですよ……。ダメージを肩代わりするスキルです。その、私はもうだめなので頑張ってくださいねぇ……」
「ま、ママ!?」
ママが消えていく。
ダメージを肩代わりするスキル……そんなスキルがあったのか。ママはやはりママだった。優しいな。




