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文化祭 ①

 文化祭の時期がやってきた。

 学校内で出店している生徒の店と、融資による体育館でのステージ。私は出店のほうには参加せず、控室というか、3Dを扱うためのモーションキャプチャーのスーツを着ていた。

 だっせぇ……。ほぼほぼ全身タイツみたいなもんだからな……。


「先生よくこんなの用意できましたね……」

「ふっ……。俺、教職をやめたらそっちのほうにつこうと思ってな」

「……V?」

「違う、サポーターのほうだ!」


 おっさんがVって……。たしかに美少女を受肉するならVしかないけどむなしくならない? 私はあまりバ美肉は好みじゃないんですけど。中身が女の子だからこそそういうことができるんであって、中身が男の子だとどうも関わりづらい……。

 決して美少女になりたいとかいう夢を否定するわけじゃないんですけどね。中が男だとどうもそういう目でみちゃうのが嫌だ……。


「この状態、友達とかに見られるの超ハズい」

「ここは基本的に立ち入らせないようにしている。しばらく待機していてくれ。昼飯とかは俺が買ってきてやるから」

「せっかくの文化祭なのに私はここに箱詰めだなんて……」


 先生も準備があるんだろうけど……。

 私はとりあえず試しに動いてみることになり、先生のパソコンを見ながらダンスを踊ってみた。ちゃんと私のアバターが私の動きと同じように動いている。

 これを、体育館でホログラムのように映すらしい。今の技術ってスゲー……。


「よし、動作は問題ないな」

「それは何よりっす。それにしても、結構人来てますね」

「お前の人気が大半だろ。1年前ならともかく、今のお前はチャンネル登録者数が100万こえてるぐらいだぞ」

「……えっ、この前まで96万人くらいだったんですけど?」

「確認してないのか? ほら」


 と、私のチャンネル登録者数が100万をこえていた。

 うわ、マジか。気づいてなかった。結構な数いるなァ……。私って個人勢だから90万でも割とすごいほうなんだけど100万って。

 ほとんど実写だからVなのか怪しいところはあるけど。雑談配信は基本的にVだしな。


「私って結構人気あるんすねぇ……」

「そういう才能お前あるぞ」

「もうこれで食っていけますねぇ。もう食えるというか、結構配信のほうでも稼ぎはあるんですけど……」

「……卑しい話になるが貯金額はおいくらくらい?」

「……」


 私は先生に今の貯金額を話すと。


「高校生に稼ぎで負けてる……」

「公務員は給料一定ですからねぇ……。教職なんて修学旅行も自費でとかいろいろブラックにもほどがある職場でしょ……」

「だけどよ……。さすがにショックがでけぇ……」

「個人勢だから丸々私が全部もらえてるだけで企業所属だと企業にも抜かれますからねぇ」

「個人勢強いな……」


 しばらく生活には困らないと思う。

 私は窓の外で様子を眺めていると、教室の扉を開ける人が現れたのだった。そこに立っていたのは。


「先生、吉備津さんの友人だと名乗る女性の方が来ましたが……」

「……友人?」

「大人の方なんですけどそういう付き合いあるんですか?」


 と、現れたのは。


「あらあら、キャプチャースーツをもう着てるんですねぇ」

「ママ」

「……ママ?」


 ママだった。


「えっと、ご親族の方で……」

「あ、ママってのはあだ名で」

「初めまして。アローライフ所属の母海ちひろの中の人ですぅ」


 そういうと、先生が腰を抜かしていた。


「……ママ!?」

「気づきました?」

「俺の推しなんだが!?」

「推しなんすね……。なら声で気づいてくださいよ……。ママ、どうしたんですか?」

「イナリちゃんがここにいると聞きまして。様子を見に来たんです。部外者ですけど……。イナリちゃんは友人なので気になって北海道まで来ました」

「まじか。ママの中身の方がこんな美人とは……」

「先生、中の人の情報ばらさないでくださいね。ほとんどバレてる私と違ってママは顔バレとかしてないんですから」

「わわ、わかっている!」

「イナリちゃんのトークショー、楽しみにしてますねぇ。イナリちゃん、トークスキル高いですから」


 といってママは先生と握手して去っていった。

 

「……やっぱりママだな。母性が溢れてる」

「先生、発言キモイです……」













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― 新着の感想 ―
[一言] 先生を責めるつもりはない、シュワルツェネッガーのサインをもらったときもほぼ同じ行動をとった
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