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ブラッディ・メナス  作者: ルイン
8/10

第7話 謎の男

遅くなってすみません。なんと書けれました。

ポチャ…


「あ〜…久しぶりに入るな…」


2人と別れた後、俺は風呂に入って疲れを癒していた。

前の宿屋では騎士団のことを考え入っていなかったので、実に二日ぶりの風呂だ。


(とりあえず今日はここで過ごすとして、明日はーーー)


「ふぃー…いやー、ルナちゃんの回復魔法のおかげで、今日中に風呂に入れるなんてありがたいぜ♪」


思考中に耳に入ってくる若い男の声。


「はーーーーー…」


それを聞いた俺は長いため息をつく。


「おいおいイオ、そんな目で見るなよ♪そんなに俺って面倒くさーーー」


「ああ、面倒くさいな、すんごい」


「いやまだ何も言ってないだろおん!?」


男の名前はリグス、傷の手当ての一件で知り合った奴だ。

しれーっと一緒の部屋にいるこいつだが、実は回復魔法で治療してくれたルナリアに一目惚れし、彼女に振り向いて貰うために仲間にしろと言ってきたのだ。

ルナのことを考え断ろうとしたのだが、肝心のルナが「怪しい人ではないと思うので大丈夫だと思いますよ?」と言ってしまい、そのまま仲間になったのである。

…まあティニアはガミガミと文句をリグスに浴びせていたが。


「まあそれとして、ルナちゃんに感謝しないといけないなあ。一人旅はやっぱり寂しいからよー。これからはルナちゃんに温めてもらわないと…ぐへへ♪」


「いや下心丸出しじゃねえか」


そう突っ込むと、リグスはゲラゲラと笑いながら言い出した。


「下心って表現は良くないなあイオ君よ♪俺はいつだって紳士的に考えてるんだぜ?」


「いやさっきの言葉のどこに紳士的な内容があったんだよ!はあ…」


このまま長居するとこいつの言動に呆れる上、のぼせるだけなのでさっさと湯船から出ることにした。


「おいおい、まだ入ったばかりじゃないかよ〜もう少しゆっくり…」


ズキンっ!


「あたあ!?」


引き止めようとしたリグスだったが、その直後仰け反りながら肩を抑えた。どうやらいきなり動いた反動で痛みが走ったようだ。


(騒がしいやつだなー…)


ガチャっ


「あ、ちょっ!?置いてくなよー!おーいーーー」


そのまま俺は無視して、風呂から出ていった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「はあ…もう少し静かにできないのかしら、あの男は」


「ふふ、賑やかな人だね、リグスさんって」


「あれは賑やかじゃなくて、うるさいって言うのよ」


一方その頃、隣の部屋にいるルナリアとティニアも風呂で疲れを癒していた。

リグスの慌ただしい声のせいで、あまり寛げてはいないようではあるが。


「それにしても、本当大丈夫なの?」


「え、何が?」


「リグスって奴のこと!イオは大丈夫って言ってたけど、どこの誰かもわからない奴と一緒に行動するなんて…」


ティニアはリグスのことについてルナに反論する。

確かに、リグスという男がただの旅人という保証はない。旅人に偽造して、王女であるルナリアを狙っている犯罪者かもしれない。はたまた王国の騎士団に関係している人間ということも。


「確かに変な人だけど…私は悪そうな人には見えなかったよ?それに…」


「それに?何?」


ルナリアは微笑みながら話した。


「一緒に旅をする人が増えたら、賑やかになって楽しくなると思わない?」


「…」


ルナリアの凄まじい天然ぶりの発言に、ティニアは目を丸くしながら項垂れた。


「ほんっとう、貴方ってこういう時天然よね…」


「そ、そうかな?えへへ…」


「褒めてない!…まあ、なるようになるしかないっか…」


ため息を漏らしながら、顎の位置まで湯船に浸かるティニア。するとーーー


ぷるんっ


(む…)


ふとティニアの目に、ルナリアの胸が飛び込んでくる。ルナリアの胸は巨乳…というより爆乳に近い大きさであり、目線を下げると二つの大きい膨らみがティニアの目いっぱいに広がるのである。


「…」


じーっとルナリアの胸を凝視するティニア。


「え、ど、どうしーーー」


ポニョンッ


「ひ、ひゃっ!?」


次の瞬間、ティニアは素早くルナリアの背後に回り込み、後ろから両手で揉みしだいた。


「相変わらず大きいわよねえ…あんな大食いなのに、なんでここに栄養いってるのかしらっ?このこの!」


ポニョン、むにゅん!


「ひゃっ///て、ティニア!そ、そんな揉んじゃ…んああ///」


ルナリアの巨乳が、ティニアの掌の中で踊る。男がその光景を見たら、鼻血を出して卒倒してしまうだろう。


「おまけにこんな柔らかいなんて…!あーもうっ!同い年なのにムカツクわー!えいっ、えーい!」


「て、ティニアー!風呂場でそんな…ああん!」


抵抗虚しく、風呂場にはしばらくルナリアの悲鳴?が響き渡るのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



翌日、俺達は宿の食堂で朝飯を食べていた。無論、リグスも一緒である。


「へー、旅の依頼でね」


「もぐもぐ…ああ。とりあえずロシュトールについた後はどうするか考えている最中だよ」


一緒に旅をするという事で、リグスにも説明をしておいた。もちろん、ルナとティニアの素性は伏せてある。


「ま、旅してるんだったらのんびりいけばいいんじゃね?急ぐ必要もないんだろ?」


「まあ、それはそうなんだが…」


リグスの言い分は尤もだ。だが、「今騎士団から逃げている最中なんだ」などというわけにもいかないので、誤魔化しながら話す必要がある。本当のことを言って、騎士団の前に引きづりだされたら元も子もない。


「なんだよ、なんか歯切れ悪い言い方してんな」


「うーんまあ…色々とな」


「ふーん。ま、俺はどっちでもいいけどよ。ルナちゃんと一緒に旅できれば問題ねえし♪」


「またそういう…」


「あはは…あ、ところでリグスさん」


「ん?」


「リグスさんも旅をしていらっしゃるんですよね?何か目的とかって…」


「んあ、目的?もぐもぐ…いや、特にないぞ?」


「はあ?」


ルナリアの質問から帰ってきた意外な言葉に、ティニアは眉をひそめた。


「俺は気楽な旅人…自由気ままに世界を回って、色んな女性にお近づきになる!だから特に、目的とかってないぜ♪」


「いや目的あるじゃねえか」


「んお?なーにが?」


「女性にお近づきになるって奴だよ」


「はー…分かってないねえイオ君よ」


ため息をつきながら首を横に振るリグス。


「女性と仲良くなるのは男が生きる上で重要な行動!それは目的じゃねえ…そう、生きる糧なんだ!」


「…」


「…」


両手を広げて顔をキラキラさせながら得意げにそう話すリグスに、俺とティニアは開いた口が塞がらなかった。


「そ、それってやっぱり目的なんじゃ…」


「ルナリア、それを言うならただの変態よ」


「誰が変態だこら!」


「…へっ」


「おいこら鼻で笑うなイオ君?」


俺はそっぽを向きながら、「へっ」と鼻で笑った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「…」


食事後、身支度を済ませるためにリグスは一度部屋に戻っていた。

だが、部屋に戻ってきたリグスの顔は先程イオ達と話していた時と違って、少し張り詰めた顔をしていた。


「やれやれ…演技って疲れるな、本当…」


ため息をつきながら、懐から金色のペンダントを取り出す。


カチッ


リグスがペンダントを開くと、そこには1人の女性が映った写真が入っていた。それをリグスはじっと見つめる。


(レナ…)


心の中でその女性の名前を言いながら、ぎゅっとペンダントを握りしめた。


「もう少しだ…もう少しだけ待ってくれ、レナ…必ず迎えに行くからな」


そう呟きながら、リグスはペンダントをしまい部屋から出る。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



アスマルタ街道・ロシュトール城塞都市方面ーーー


「あいたたた…」


「さ、流石に無理ありますよ…大丈夫ですか?」


出発を始めてから数十分後、ロシュトール城塞都市方面の街道を進んでいた俺達だったが、その道中で自分達の数倍もある巨大な岩の塊で立ち往生することになってしまった。

試しに破壊できないか何度か拳を打ち込んでみたが…案の定ビクともせず、手を怪我するだけだった。


「あはは…はあ…」


「いやしょんぼりしすぎでしょ」


「流石にこれは引き返すしかないぜ。迂回路とかないだろうしな」


両手を首の後ろに回しながらリグスはそう提案する。


「どうしますか?イオさーーー」


ルナリアが俺に向かってどうするかを尋ねた、その時、


「ーーールナリア様」


背後から女性の声が聞こえてくる。振り向くとそこには1人の女性が立ち塞がっていた。


「!」


「ミュレーさん…」


ミュレーと言われたその女性は深々と頭を下げ、お辞儀をする。


「?あんた誰?」


事情を知らないリグスはその女性にそう質問する。ミュレーはじっとリグスを見ながら、


「…どなたかは存じませんが、貴方には関係のないことです」


剣を抜きながらそう話すミュレーに、リグスは「ふーん…」と何かを察しながら彼女を見る。


「ルナリア様…やはり王宮には戻られないのですか?」


「ごめんなさい…身勝手なことだとは思っています。でも、これは私が決めた事…!」


ルナリアは杖を持ち直しながらそう答える。


「…と言うか、なんでお前1人なんだ?1人だけで来る時点で止める気ないだろ?」


ルナリアとティニアが「あ…」「確かに…」とそれぞれ呟く。何故ミュレー「だけ」が俺達のところに来たのか。本気で連れ戻すつもりなら、彼女だけでは止めれないのはわかっているはずである。

単に昨日俺達がいたクレバルで戦力を割きすぎただけなのかもしれないが、それも含めても不自然すぎる行動だ。


「…」


するとミュレーは一瞬の沈黙の後、剣を鞘に収めた。


「…これを」


シュンッ


「おっと」


ミュレーから何かを投げ渡され、俺は片手で掴む。

中身はヘストールからの手紙で、几帳面な性格を表すように綺麗な字で、『奴らがルナリア様を狙っている、注意してくれ』と書かれていた。


「なんだ?奴らって」


文面にあった奴らという言葉が引っかかり、俺はミュレーに問いただす。


「それはーーー」


「ーーー俺達のことを指している、ということだ」


「!」


ミュレーが説明しようとした時、ミュレーの後ろから黒いマントを羽織った謎の人物が現れる。

ミュレーは思わず剣に手をかざしながら後ろを振り向いた。


「ロシュトール城塞に行こうとしているようだが、諦める事だな」


「なんだなんだ?強面嬢ちゃんの次はきな臭さ満載の野郎かよ」


リグスの皮肉めいた言葉にミュレーがむっとしながら横目で彼を見る。


「…誰が強面ですか」


「だってよー、もうちょっと可愛げある話し方してくれないとなー?」


口笛を吹きながら軽く流すリグス。だが直後、真面目な顔をしながら謎の男に向き直る。


スッ


「…で、こいつがルナちゃんを狙ってる奴らの1人ってか?なら、さっさとやっちまうかね!」


リグスはそう言いながら短剣を構える。


「ルナリア、用意はいい?」


「う、うん…!」


俺とルナリア、ティニアも同じように武器を構える。


「みなさん…」


「詳しい話は後で聞かせてもらうぜ、ミュレー」


「…わかりました、ありがとうございます」


「勘違いするなよ。あくまでルナリアのため、だからな」


「…はい」


頷きながら、小さく「感謝します」と呟くミュレー。色々と聞きたいことはあるが、まずはこいつを何とかしないと話は進まないしな。


「やれやれ…聞き分けのならない奴らだ。少し相手をしてやるか」



第7話 終了

次は謎の男との戦いになります。…戦闘シーンうまく描けるかな…

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