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お前だけ  作者: snowman
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4ページ目

 

 それから一週間後。

俺は無事退院して、自分の店・そしてバイト先に迷惑をかけたことを詫びに行った。

こういう時は、やっぱり嫁も一緒に着いてくるもの。

菓子折りを持ち、店に出向いた。


 店に着くと、チーフが出てきて話をし始めた。

10分・15分。。。

一向にみのりはキッチンから出て来なかった。

その間ずっとチーフの小言を聞きながら、意識は違うところに飛んでいた。


 30分くらい経ったころ、作業中のみのりがホールにトタトタと出てきた。

賄いを作っている最中らしく、みんなの分の食器を取りに来ていた。

俺たちの方を一切見ずに、またキッチンへと足早に帰っていく。

傷つけている事実が辛いのに、俺は一週間ぶりに見るその姿が愛おしくてたまらない。

帰る前に一言でも言葉を交わしたくてキッチンに顔を出した。

「おぅ。」

と声をかけると、

「あっ・・・お疲れ様です。」

また下を向き作業をし始める。

顔色が悪いのが見て取れた。

だけど、おもてで嫁が待っている。

「じゃあな。頑張れよ。」

と言って、その場を後にした。


 最低だな。

結局は俺は自分が大事なんだ。



 それから俺はリハビリをしたり、自分の店の事務的作業を忙しくこなしていた。

やっと簡単な仕込みなどが出来るようになってきたころだった。

最後にみのりに会ってから一ヶ月経っていた。

みのりの移動先の店で働いているヤツに偶然会った時に、ポロッと聞いた。

「アイツ、みのりは元気でやってる?」

するとソイツはビックリした顔をした。

「高井さん知らないんすか?中里さん辞めたんすよ。ウチに移動してきたその日に」

頭が真っ白になった。

「はぁ?どういうことだよ!聞いてねぇし。」

一ヶ月も自分から連絡を取らなかったくせに、俺は怒りを抑えられなかった。

「大変だったんすから。出勤して仕込みとかやってたんですけど、主任が来た瞬間突然ボロボロ泣き出しちゃって・・・主任は詳しいこと教えてくれなかったですけど」

怒りから悔しさに変わった。


 

 何故俺の前で泣かない?


 今何処で何をしてるんだ?


 悔しい。。。


 

 俺はアイツの涙など見たことがない。

一番傷つけていたのに・・・

みのりはいつも俺の前では笑っていたから。。。



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