3ページ目
胸の締め付けを止められずに、俺はただ話し続けた。
いつだってそうだった。
あいつは俺の話をニコニコしながら聞いていた。
そんな会話の中、まわりの人からバイクを辞めろと言われてると笑いながらポロリと溢した。
その話を聞いたみのりは悲しそうな顔をした。
「高井さんバイク辞めちゃうんですか?・・・辞めないでくださいよ」
事故に合って始めて言われた。
見舞いに来たすべての人に「もう乗るな」と言われたのに。
「そんなこと言うのはお前だけだよ」
と苦笑いをして返すと、
「事故は心配だけど、私たちを心配させないために高井さんの楽しみを奪うのは嫌ですもん…」
なんてコイツは真っ直ぐに想ってくれているのだろう。
自分は泣き出しそうな程に心配しているくせに、今の俺の唯一の楽しみを奪われたくないと訴えてくれていた。
「あぁ・・・また乗るよ。来年くらいにはな…」
と言っていた。
まわりに怒られてもいいと思えた。
するとみのりは「良かった」と言い、俺の大好きな笑顔を見せてくれた。
俺は時間を忘れて喋ってしまっていた。
ガチャ・・・
・・・・。
来てしまった。
みのりをこれ以上傷付けたくはなかったのに。
みのりに嫁を会わせるなんて。
「あぁ・・・来たんだ。嫁と息子。この子はいつも話していたみのりだよ。」
そう、俺は嫁にみのりのことを話していた。
好きとかそんなことは言ったりはしていないけど、いい子が居ると話していた。
一瞬凍った表情を見せたみのりは、すぐに笑顔を見せて
「いつも高井さんにお世話になっております」
とそれはそれは痛そうな笑顔を見せた。
「こちらこそお世話になっております」
それからみのりは忙しく帰っていった。
見送ったその背中が、頼りなく空を仰いでいた。
俺は何度アイツを傷付ければいいんだろう。
一番の理解者であった筈なのに、俺という存在がアイツを苦しめている。




