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事情

すみません。自分のお産のためお休みになってます。

まだ生まれるのは先ですがパソコンがなかった。また、訂正するつもりです。


「結局、どういうこと?」

聞いたのはササユルエのほうだった。

説明を受けたいのは俺のほうだと毒づきながらも、ルキアは思い出したくもない、キカティアの報告を思い出していた。

穏やかな港町で起きた事件は、あろうことかルキアの暗殺計画だった。

とっても杜撰な。

でも、それにのこのこ引っかかって出てきた自分がいるわけだから笑えない。

もともと、一人の外国人が町はずれで死んだ。

それは事故だったらしい。

その後、この目の前の男が死んでいるのを漁師の年寄りが見たといったことから、そして、それが古い祠の周辺であったことから話は、

きな臭い方向に行く。

小さな町での2つの死体。

めったにないカルマティアでの事件に町はなぜかお祭り騒ぎになった。

不謹慎なと、いう端で、憶測が飛び交い、観光客がやってくる。

その中に、貴族もいた。この地方の領主も。

首謀者は複数。それがルキアの機嫌を一気に下げたのだが、戦が減り、活躍の場が減った大家の貴族たちは思ったらしい。

宰相がいなければ、と。

そもそも宰相がよそ者であるから自分たちのことが分からないのだと。

そこによそ者の死。

宰相がお忍びであちらこちらに視察に出ていることは有名だった。

事をしれば、事が大きくなれば、宰相がやってくる。

上手くいかなくても良い。

もともと好戦的な種族なのだ。

よそ者を狙って、人狩りを楽しむ。

血に酔った_________。

そう言い訳していた若い貴族をルキアは無表情に見たものだった。犠牲になったのが漁師の妻だった。

大臣キカティアが、黒と呼ばれる密偵をあちらこちらに配しているのは知っていたが、その報告を聞いたことはなく、

規模も知らなかった。

しかし、その報告書は詳細にしたためられ、裏も取れていた。

もしかしたら、今までも自分の知らないところで彼女が密かに手配し、事なきにしていたものがあるのかもしれない。

自分の陰で。

見えないところで。

自分だけが知らないことが……。

また、へこんできて首を振る。

見れば、ソーナッシュとササユルエが気遣わしそうにこちらを見ている。

「なんだかな~」

思わず笑ってしまった。ソーナはわかるが。

「で、お前は何なんだ?」

ササユルエに聞くと、また、首を少しかわいらしく傾げて銀の青年は

「寝てたんだよね。ここ7000年くらい」

とのたまわった。

「な、7000年?」

「うん、そう。多分だけど。」

ササユルエ、本人が言うには先住民族というものらしい。

7000年前その民族に奇病が流行った。

皆が眠る。

眠って死んでいく。

あの祠は死んだ同族たちの墓所。

神を祭ってあるわけではなく。

ササユルエの顔が暗く沈む。

月が陰ったように暗い面が寂しげでルキアはちょっと見とれてしまった。

「私が最後だったかな。もう、眠くて眠くて。墓所に入ったんだよね。本当は死んでから入るんだろうけれど、もう誰もいないし、自分で扉を内から閉めて

目を閉じたのが最後の記憶」

何人もの同族を見送り、今度こそ自分の番が来たかと、もういいやと目を閉じて、何かが顔を濡らしたのだという。

血だった。

その不快さに目を覚まして、自分が死んでいないことを初めて知った。

外に出ると墓所は大きく壊れ、あちらこちらに隙間があいている。

見れば、魚が供えられ、鳥と猫が血まみれで戦っている。

そして、老人が一人、石に躓いて転んで怪我をしていた。

「・・・・・・・人の血じゃなくて?」

「そうなんだよ。どうも起こされた原因は猫の血かな?」

・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・。

老人に文句を言おうとしたら、眩暈がしてひっくりかえってしまった。

頭には猫の血?それを見て、老人は悲鳴を上げて去って行った。

「多分、寝ぼけてたんだと思うんだけど」

ははは、と笑ってほしくない。

ルキアは眉間にしわを寄せた。

「お前の話を信じるかどうかは、別の話だ。7000年前なんか俺は知らん。それより、怪我しても死なない、急に消える、その胡散臭さはなんだ?」

「え?できないの?同族なのに?」

「俺は同族じゃない。れっきとした人だ!」

「おかしいな。近くを見て回ったら、みんな黒い髪に黒い目でしょ?私たちはない色ばかりでびっくりしたんだよ。そこに貴方が同じ色できれいでしょ?」

「俺の民族はだいたい色白で金髪碧眼だ。隣の国だけど」

「へえ、本当?そのうち行ってみようかな?」

_____行ってほしいような、よくないような。あそこにはルキアの娘がいるのだ。

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