エピローグ
おねい様と、エラルドが躍り出す。
『美しく青きドナウ』。
おねい様のしなやかなお身体にエラルドの腕が回り、
心臓がどきりとするほど、美しいお二人、でした……――。
ふと、右手の暖かさと、
握り返される柔らかさを感じた。
わたくし、誰と手を繋いでおりますの……?
「――っぐす……! お美しすぎて……涙が……っ」
「あ、なた……っ! いったい、なんですの!?」
マーガレットは一方的に結ばれた手を放した。
感涙しているリリアが、あっ! と喉を鳴らして、
赤い目で軽く睨まれる。
「マーガレット様が繋いできたんですよ……?」
「そ――んなわけ……、
……あ」
自信がない、ですわ。
そんな、些細なこと……。
マーガレットは、リリアから視線を逸らした。
ふいに、目元に柔らかい布が軽く当てられる。
「――っ!?」
「マーガレット様」
リリアが、レースのついた白いハンカチでマーガレットの目元を優しく拭った。
そのとき、会場内が拍手で満たされた。
見ると、
おねい様とエラルドが壇上に上がったところだった。
照明に照らされて、姉の淡い水色のドレスがきらきら煌めいて、
純白にすら見える。
自然に、深いため息が零れ落ちた。
幸せの形。
おねい様の。
涙が、またほろりと頬を滑り落ちた時、
リリアの手が、再びマーガレットに触れた。
「今度は、マーガレット様が、幸せになる番ですね」
「……わた、くしが……?」
マーガレットは、目をぱちくりさせて、リリアをじっと見た。
何を言っておりますの?
望みが叶った今、
こんなに幸せで、心が満ち足りておりますのに――。
「……っ」
暖かくて、柔らかい感触。
どうしてか分からないけれど、
今だけは。この手を放したくなかった。
マーガレットは、リリアに包まれた指を一度解き、
胸に詰まっている幸せを共有するように、指を絡めて握り直した。
お読みいただき、ありがとうございました!
ここまでお付き合いいただき、大変感謝しています!
また何かの物語でお会いしましょう~!




