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天狗✖️ギャル天女  作者: 抹茶ラテ


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家族会議

桐山別邸の道場は、屋根が吹き飛んだおかげで最高の星空が見えていた。


だが、そこに座る面々の空気は、満天の星空、そして美しい満月のもとで混沌カオスとしていた。


「……さて。儀式は終わった。ジュン坊、いや潤子になるのか!? お主は天狗の力を覚醒させたのだ」


厳蔵じっちゃんが重々しく口を開く。


その背後では、守護の大天狗の大和だいわが腕組みをして「うむ、良い風であった」と満足げに浮いている。


「じっちゃん……。俺、潤子じゃねえし。はぁ……結局、この姿は何なんだよ。天狗って、じっちゃんや父さんのような大天狗のもっとこう……鼻が高くて、赤い顔で羽があって、団扇で風をおこしてってイメージだろ普通……」


潤は、エナエマの神通力が切れて「男」の姿に戻っていた。

はだけた制服を直しつつ困惑している情けない顔だが、体中から溢れる力——基本ステータスの向上——には自分でも驚いていた。


「古い、古いよジュンチン! 鼻高いのとか大和や常陸だけでオッケーじゃん!? そもそも今どき流行んないし。てか男に戻るの早くね!? 共鳴低いからか!? それとも潤のスキルレベルのせいか!? モブだからか!?……まあ初日だしね。しゃーないか♪」


「エナエマ、何言ってるの!? 本当きちんと教えてくれよ!」

潤が問い詰めるが、エナエマはどこからか取り出した日本酒をクイッと飲みながら、

「ふふふ♡」

「ふふふじゃないし……!」


「さて、翔平。山の四方に『防衛結界』の杭を打ち直し。東京へ戻るぞ。潤の覚醒で、周囲のバケモノ共も騒ぎ出すはずだ」

祖父が父へ指示を飛ばす。


「はっ、父上。……常陸、準備を」

父・翔平と、その守護の大天狗・常陸が真面目な顔で立ち上がろうとした、その時。


「え!?ダーリン、そんなことは後回しよ! もっと大事なな決め事があるでしょ!」


母・ローラが、鋭い指先で空中にホログラムを映し出した。そこには、先程まで美少女化していた潤の写真が浮かんでいる。母のテンションが上がる


「こんなに可愛い娘が一人増えるんだから! ああ、クローゼットが足りないわ!」


「母さん、増えてないから! 僕は息子! 桐山家の長男!」


「え〜、潤子じゅんこで良くない? 覚えやすいしw」


ローラの守護こと天女、ジェイジェイが笑いながら言う。


すると、姉のココが潤の頬を両手で挟み込み、至近距離まで顔を近づけた。瞳が完全に獲物を狙うそれになっている。


「あんた、さっきの姿……自分のポテンシャル理解してる? 正直、あたしは男の時のあんたのことも、磨けば私好みに光るダイヤモンドだと思ってたけど、ギャルになったその真っ直ぐな瞳はお姉ちゃん的には有り寄りの有りで合格点ね」


ココの指先が、潤の耳元を熱っぽくなぞる。


「その大好きな弟が、こんなギャルにアップデートされちゃったら……あたし、男としてのあんたも、女の子としてのあんたも、全部あたしが一生かけて可愛がってあげるからね……」


「姉貴、目がガチなんだよ! 怖いよ! なんだよ『全部可愛がる』って! じっちゃん、助けてよ!」


潤が助けを求めると、厳蔵は眉間に皺を寄せ、背後の大和を仰ぎ見た。


「大和よ行くか」


「……御意」


「ジュンチン、喜んでよ! ステータスあがってるよ!でもギャルの時の方がもっとすごいよ♪」


「……力は確かに感じる。けど、なんか思ってたのと違うんだ。もっとこう、山を割るような硬派な天狗に……」


「あはは! その力、TSしてギャルモードにならないと出ないけどね♡ パッシブスキルも女子限定で盛っといたから! 褒めていいわよ。儀式のお祝いでブレザーとタータンチェックのミニスカートとかバックなど一式あげるね!消えちゃったけど!」


ドヤ顔のエナエマ。


「…………え?」



「春から今度ハイスクールでしょ? 来週だっけ? 明日は朝イチでギャル用にショッピングよ! 開店と同時に『DASH』よ! ジュンの可愛い下着、ママが100枚くらい選んであげるから! 急いで東京もどるわよ!」


「待て、母さん! 100枚もいらないし! 明日って買い物って何だよ!? 確認したいこと山ほどあるんだけど! 高校は『ギャル』で行くの!? 無理無理無理無理……! 仮にギャルで行ってバレたら俺の人生詰むし、リスクしかないだろ!」


「あ、明日の買い物はジュンチンとの共鳴どれくらいかも兼ねてるから逃げらんないよ☆ その時はその時でってことで! おやすみー!」


エナエマが指を鳴らすと、潤の視界は強制的にシャットダウンされた。


本作お読み頂きましてありがとうございます。


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