episode 4
沢山のコードを体に取り付けた彼女は、本当に眠っているようだった
彼女の隣に座って、彼はあの言葉を思い出していた 「い・・・や・・だ」
彼には、彼女が戦争から、無益な争いから必死で逃げようとしていたように思えてならなかった
ロボットに感情が存在するはずは無かった
でもあの日以来、彼女は目を覚まさなくなった。まるで何かに怯えるように
いつしか、彼は彼女にある思いを抱くようになっていた
ある特別な思いを
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「い・・・や・・だ・・・・さ・・・だ」
「何だろう?」
「ゆ・・・さ・・・・い・・や・・・だ」
「いやだ?」
「君なのかい?」
「・・・・」
「待って・・消えないで・・」
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「っはぁっはぁっはぁっ・・・」
「何だ・・・今のは・・・」
グラルモへと向かう為には、シェルターの外へ出る事が、第一の関門だった
簡単に行く物では到底無く、シェルターに5ヶ所存在するゲートの、何重にもプロテクトのかけられたセキュリティを突破する必要があった
ザックが打ち立てたプランは、残りの4ヶ所に偽りの侵入情報を入力し、その間に残りの一つから脱出するというもので、いずれにせよ、法律を大きく破る重罪だった
また仮に成功したとしても、帰れることはまず無く、またグラルモへ到達する前に戦火に巻き込まれる危険性もあった
下手をすれば、汚染された大気の中で、一生を終えることも予想された
それでもやはり、彼がそれを願ったのは、彼女の真実を見てみたいからだった
防護服に身を包み、ミューリと呼ばれる車型の乗り物に乗った二人の姿が、第3ゲートにあった
後部座席には、眠ったままの彼女がいた
「もう戻れないぞ」
「君がやるっていったんだろぉ」「そうだな」
「やるよぉ」「ああ」ザックがパソコンを高速で操作していく
警報が大きく鳴り響くと、もうザックはセキュリティの解除に取りかかっていた
信じられないスピードだった
彼はザックという友を持ったことを、今一度誇らしく思っていた。ザックでしかそんな芸当はなし得なかっただろう
「よしっ、解除成功ぅ」
外へと続くトンネルの防塵壁がドン、ドン、ドンと音を立てて開いていく。外から高温の土煙が侵入してくる
「行くぞっ!!」一気にアクセルを全開にする
トンネルを抜けて外へ出た彼らの目に飛び込んできたのは、茶色く濁った、不気味な空だった




