episode 2
彼にその声が聴こえるようになってから、もうずいぶん経つ
人間の声のようにも聴こえるし、何か他の音でもあった
声は泣いていた
彼がその声にたどり着こうとすると、彼はひどい汗をかいて、ベッドの上に座っていた
声は、近いようで、遠く感じた
その声の正体が分からないまま、時は過ぎていった
作業の効率化を図る為に、彼とザックは共同で修理工房を営むことになった
戦火の拡大に伴い、アンドロイドが次々に運び込まれるようになったからだ
彼らが直したアンドロイドの数を覚えてはいないほどだった
もうどことどこが戦争をしているのかなど誰も語らず、それでもやはり、彼らは機械的に作業を続けていた
ある時、一体のアンドロイドが、彼らの工房に運び込まれてきた
それは、人間と見まごうほど、美しい少女の姿をしていた
しかし、彼女の右半身はほとんど損壊し、足も片方無かった
「またひどくやられたな」
「それにしても・・・おいザック、この娘の型番分かるか?」
「んー。どれどれぇ・・新型かなぁ?・・何だこれ!?こんな型見たこと無いぞぉ」
「えっ?ここで作られたんじゃないのか?」
「そうみたい。僕が知る限りではねぇ」
「とにかく直してみよう。ザック、しばらく手伝ってくれるか?」「うっ・・うん」
修理には一ヶ月を要した。構造や、使われてる部品が完全にこの地域で賄えるものでは無かったからだ
調べてみると、500フェルク離れたグラルモ自治区で使用されている部品であることが分かった
正規ルートではとても手に入るようなものではなかったが、幸い知り合いに闇のブローカーがいたため、密輸入で足りない部品を手に入れて、なんとか直そうとした
彼の中で、前に感じた異変のような物が、呼び起こされてきていた
彼は、自らの内に渦巻くものの正体が分からなかった
とにかく無我夢中だった。この娘を直さなければいけない。そんな使命感が彼を支配していた
なぜそんな思いになったのかは分からない。彼は彼女を知っている気がした
眠れない日々が続いた
彼女が再び目覚めた時、発した声に聞き覚えがあった
あの声だった
「い・・・や・・だ」
*1フェルク=約45km