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04:似非男日記



 ああ、なんて面倒くさい地位。

 傅く国民。親ばかな国王様。気弱な妹。

 憂鬱だった。でも、――やっと、勇者という娯楽がきた。

 あはははは! 愚かだねえ、騙されていることに気付かないなんて。



【牛の月/木の日(曇り)】


 いつもより早起きできた朝。一昨日に新しい娯楽を用意したから、興奮しているんだろうか。あの魔導師、オースティン・カルフォン。銀髪にアメジストの目を持った天才。あの人も、きっと楽しみにしていた。偽物の勇者に、そのオマケの少女。一度直接会ったけど、まったく話が出来なかった。お父様のおばか。


 この世界に転生して、もう十年以上が経っている。それどころか、もうすぐで二十年ということになる。

 前世は平々凡々な女子高生。政治のせの字も分からない〝私〟だった時。あの時、子供を庇って死んで、それから神様に会った。白い髪に金色の目を持った、綺麗な神様だった。ちなみに女。じゃあ、女神ってことかな。


 そして、気付けば転生していた。なんと男に。

 妹と同じ淡い金髪に、マリンブルーの碧眼。王道通りに完璧すぎるほど美形だったが、それが自分だと嬉しくない。しかも、いずれ王になるのだから、子供も産ませなければいないし。恋愛対象が男の王子なんて、使い物にならないし。ああ、〝私〟は百合じゃないのに。


 この国の第一王子として、〝僕〟はドミニクという名前を貰った。意味は神のものと言うものであり、勇者召喚をされたこの国の王になるものとして、相応しいものだった。



「殿下」



 側近の男が言った。



「遊戯は控えてください」

「さあて、何の事かなあ」



 そう言って、〝僕〟は笑った。


 ところで今、偽物勇者とオマケと魔導師はどうなっているんだろうね?




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