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最終話:〝日常〟

私は、也のことを今も素直に認められないでいる。愛しいと思う瞬間は確かにある。それでも、すべてを受け入れて、何もなかったように愛し続けることはできないでいる。どこかに引っかかったままの感情が、ずっと残っている。


それでも、離れることはしなかった。あのときも、そして今も。


子どもたちは、何も知らないまま成長していく。よく食べて、よく眠って、よく笑う。ただそれだけのことが、こんなにも尊いものだったのかと、ようやく分かるようになった。


母乳は、思うようには与えられなかった。身体も心も、どこかうまく噛み合わないまま、それでも必死に向き合ってきた。それが正しかったのかどうかは、今も分からない。


何度も思った。この中途半端に見えてしまう感覚がなければ、もっと普通に、もっと楽に、幸せな結婚生活や子育てができたのではないかと。何も知らずに笑っていられたのではないかと。


それでも、これが自分なのだと思うしかなかった。


過去にしてきたこと、そのすべてが繋がって、今があるのだと。


罰だとは思わない。ただ、背負っていくものなのだと、そう考えるようにしている。


ふと、子どもたちの寝顔を見る。静かに呼吸をしている。その小さな胸が、規則正しく上下している。その当たり前の光景が、何よりも確かなものに思えた。


也は隣で、子どもたちの頭を撫でている。以前よりも少しだけ、静かな表情をするようになった気がする。それが何によるものなのか、澪には分からない。ただ、確かに時間は流れているのだと感じる。


左のえくぼと、右のえくぼ。その違いを、もう言葉にすることはなかった。


すべてを理解したわけではない。納得できたわけでもない。それでも、ここにある日常だけは確かだった。


それでも、私はこの人を選んだ。


そして今日もまた、何事もなかったかのように朝が来る。


それでも、日々は静かに続いていく。

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