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Chapter8『達成使いは夢を見る⑧』

 檻と呼ばれるからには、檻なんだろう。

 しかし、どうみてもこの進路指導室に檻は無い。

 それどころか、誰もいない。

 そして、日が暮れそうになってきた。

 だらだらしてたらタイムリミットが近づいていた。

 でも彼は特殊な人生を送っているので、

 ピンチは存在しないし、

「ヤバイ」なんて素敵な感情は無い。


「【クリムゾン】」

「恐らく俺はこの後抜け道を見つける」

「もしくは足止めの奇襲に会うかもしれないな」

「どっちにしろ…」


「10分…いや、5分で連れて帰ろう」

「リリー・シエルを」


 彼は、まだ気づかない。

 暗殺技術の進歩によって生み出されたスーツを着て、

 完全に気配を消し、風景に溶け込んでいる、

 女教師に気づかない。


 女教師の名は美樹 巴。

 彼女は静かに考察する。


 〔なんだありゃ……素人か?〕

 〔2030人の犯罪者を倒した男とは思えない…〕

 〔足音も凄い立ててるし、隙だらけだ…〕

 〔…さっさと殺すか〕

 〔【クリムゾン】のことは知っていた〕

 〔必ず関与する能力はこの場合恐ろしいもんだが…〕

 〔戦闘に利用しようが無いダメ能力なんて…〕

 〔持ってても仕方ねえよな!死ね!〕


 しずかに、


 教師、美樹 巴は空気中の水分を手のひらに集める。

 そして発射する!


 ダゴンッ!!!!!


 だが。

 確実に殺せる勢いで水球は、

 薙紫 紅を無視したように避け、

 後ろの壁に当たる!彼には当たらない!


 〔…あぁん?〕

 〔どういうことだ?追尾式だぞあれ〕


「っ⁉︎」

「なんだ今の…罠か!?」

「それともステルス系の能力者か…!?」

「…いや…」

「あの軌道は『うまく機能していた』」

「ってことはステルス能力者じゃない」


「?」


「能力は今の狙撃かなんかだけ…だな」

「そんでもって姿が見えないってことは…」

「ステルススーツを着ている狙撃能力者だな!」


「!」

 〔なんだ?あいつ…〕

 〔あってる…あってるが…〕

 〔まるで自分に攻撃が当たらないことが前提みたいな推理の仕方をしやがる…〕

 〔いや、もしかしてそうなのか?〕

 〔…試してみるか〕


 水分は集まる。


 〔部屋全体を破壊できる無差別攻撃…〕

 〔これならどうだ!〕


 ダゴダゴダゴンンンンンンンンンンンンンンッ!


 が、しかし。


「…なるほどわかったぞ」


 〔…はぁ…?こいつマジかよ…〕

 〔一滴すら当たってないし…〕


「どうやら『回避能力』だとでも思ってんだな」

「それで『攻撃対象無し、つまり回避不可能』の攻撃を撃ったわけだ」

「でも残念」

「それはいつものパターンなんだよなぁ」


『そこにいるだろ、お前』


「!」

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