Chapter7『達成使いは夢を見る⑦』
薙紫紅が1つ前に戦ったのは昨日。
入学式の前の日。
彼は無能力者ながら、
また能力者に勝ったのだった。
「さて、リリー・シエル」
「彼女はどこにいるんだろうか」
封印クラス5組の周囲には能力憑きの罠・バリケードがある。俺の『技』は無機物に有効でないから、クラスに行くことは不可能。
「…まあどうせ近々会うことになるし」
「『対策』をしておくか…」
彼の学園生活2日目が始まる。
薙紫紅はまずロリ先生に聞いてみることにした。
「え?封印クラスに興味あるの?」
「いや、そういうわけじゃないですけど」
「…助けようって魂胆?」
「いいえ」
「…嘘ね」
「嘘じゃないです」
「私の【ダークエンジェル】の前には無駄なのよ」
「…『能力』だったんですか、ズルいですよ」
「はい嘘ーーーーーーーーーーーーーーッ!」
「…『達成』だったんですか、ズルいですね」
『達成』
常人が人間のできる範囲で伸ばしたスキル。
中にはそれで能力者より強くなることがある。
「私の『達成』は話術」
「っと言ってもこれはベーシックだけど」
「で、薙紫紅くん」
「助けるっていうなら、邪魔はしないよ」
「でもどうだかね」
「よく考えた方がいいよ」
「いくら君でも『理事長』には勝てないと思う」
「はは…」
そう。
お察しの通り天角学園トップの理事長は能力者だ。
そいつが『封印』を作っている。
そいつを倒せば早いが…
いや、倒そうかな?
「やめときな、あの人はブッ飛んでる」
「それよりも君の相手は他にいるだろう」
「?」
「連れ去った先生方だよ」
「『生活指導』ですね」
「…」
「…私は教師側だから、情報は挙げない」
「でも君のような奴は嫌いじゃない」
「昔君のような生徒がいてね」
「どうしても重ねてしまうんだ」
「だからうっかり情報を言っちゃうかもしれない」
「その時は聞き流してね」
過去2030件の事件解決数を持ちながら、
過去4000件の冤罪を持つ少年。
『彼女』も彼並みに強ければ、
あんなにならなくて済んだんだろうか…
「リリー・シエルのような脱走生徒は…」
「【欠席番号】と呼ばれている」
欠席番号は即教師に取り押さえられ、『進路指導室』にある檻に入れられる。そこの封印はとても強いが使うのに時間がかかる。起動から1日目になって檻が使えるようになれば…もうその後彼女が外にでることはないだろうね。
「…って言われて来たけど…クリムゾンが普段通り発動してるってことはこの後絶対戦闘が始まるんだよな…」
ドアが開く。




