表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/216

061.ラブリィイイィートダンジョン攻略(7)

 それまで凹凸の無い平らな世界だと思っていたが、視界内のすべての領域が一瞬で自動マッピングされると、一部侵入不能のマスが不自然に一か所表示されていた。


「ララ、あそこに行こう」

「んぅ、わかった」


 多少は落ち着いてきているものの、ララは戦力外と考えるべきだろう。

 先に一度帰還しててもらう事も考えたが、後衛を考えての装備しか持ってきていないため一人は心もとない。


 本来ならばドロップ品で賄えると考えていたが、どうもこういう敵に限りがあったり全く居ないケースもあることを今回よーく学んだ。

 だからこその、持ち込み要素ともいえるだろう。


「壁、だな」

「ほんと、気づかなかった」


 侵入不可のマスの手前で突然見えない壁に顔面をぶつけ、鼻をさすりながらぺたぺたとそれに触る。


「こりゃあれか」


 謎解き要素まであるってか? ノーヒントもはなはだしい。

 一周ぐるりと四柱かつ、入り口などは何処にもない。

 と、なると本当にただの壁か? だが周囲は白一色で本当の意味で何もない。

 まるでバグったゲームの世界でスタックしてしまったかのような、そんな感じである。


「そういえば、祈願者は見つければクリアってことで良いのか?」


 今更ながら、そんな質問を繰り出す。

 最初は強敵ボス戦をこなして、牢屋の中から救出とかそんなイメージしかもっていなかった。


「基本的には救い出したら終わりかな? 大抵は接触が解放の条件。でもイイが言うように強敵がいることがあったり、罠があったり一筋縄じゃないわね」

「と、なるとこの柱がやっぱり怪しいんだよなぁ」


 そこでふと、本当にふと一つのひらめきが浮かぶ。


「ララ、こんなケースはあるのかな? そう、例えば祈願した内容と反対の内容を保持した相手が現れるというケース」

「んー? 火のダンジョンで水の術者が居たりするかって事かしら? それならイエスよ、だからこそ装備品は重要だし、難度も跳ね上がる。メタ対策は基本よ」


 メタ対策て。

 要するに相手より有利になる条件に備えまくれってことだよな。今回は備えるまでもないという見解だったが、どんな場合でも十二分に備える必要があるとよーく学んだ。


「そっか。ならばこの柱がマルムって可能性は無いか?」

「?」


 何言ってるのコイツ? みたいな目でみないでくれ。先ほどまでのハートの瞳はいずこへ。


「この階層って、何も無いだろう? どんなに何かを食べたいと願っても叶わない、食料がない、そもそも何も無いのだから。そして魅了に関しても、白一色の中に白色の支柱とか、魅力どころか誰からも認知されない。祈願の真反対が反映されたコレこそ、捕らわれのマルムだ」


 俺はそういい、壁にベターンってなるように抱き着いた。


「マルム、迎えに来た」


 瞬間、俺の体は光に包まれた。


【攻略:ラブリィイイィートダンジョン 報酬:ウィズユー(WY)、ビューティフルイーティング(BE)】

【初回特典:マリールッシュム(女性) 詳細:タンタラ・タンの妻。金髪ロング、赤色の瞳を持つ正真正銘のロリっこ9歳(キャラクター:イイにテイム済)】


 俺は一つ確信したね。


「ゲームじゃねぇぇかぁぁぁ!!!」

「うわっ、ビックリした」


 くそ、ゲーム風にこの世界のロジック組んだ奴でてこい! マルムが現実に訪れ、そして祈願次第で本当に何でも願い事が叶う世界があることは認知している。

 その願い事を制御するために、色んな願いが絡み合い歪んだ結果が今であって。

 このインターフェイスも、間違いなくゲーム感覚で出るように仕組んだ祈願の一つの形だろう。


 ならば、こんな世界へのリンクを繋げたのも祈願者? 運営ってのは……。


「イイ、ありがとう」


 ふわり、と今までペタンと壁を抱いてたはずなのに気が付けば俺はマルムを抱きしめていた。


「ああ、俺こそありがとう」


【初の最高難易度ヘルダンジョン攻略者が誕生致しました。これより、当大陸はアクティブ化されます】


 そんなログが流れると、グワンと一瞬小さな揺れを感じた。

 地震か? と思うもすぐに揺れは収まり、その後は特に何も感じ取ることは出来なかった。


「WY、アナタとトモに居るというこの祈願は、イイが思い浮かべた人のところへ自由に移動できるようになります。そして、BEは無制限にどんなものでも美味しくいただく事が出来ます。私は、イイと共にあり続けます」


 人妻幼女のマルムにそんな事を告げられると、すぐにスゥと眠りについてしまった。


「私の出番、何も無かったね。ごめんねイイ」

「んーん。一人だったら永遠に続く道にハマってたとこだよ。こっちこそ、一緒に来てくれてありがとう」


 こうして俺は、再び時のダンジョンに挑むべく村へと戻るのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ