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059.ラブリィイイィートダンジョン攻略(5)

 俺は扉をくぐった瞬間、足を踏み外し落下していく感じに全身が包み込まれる。

 そして体は粒子状まで分解され、第二階層ヘルへと再構成を始める。


「んっ、視界は良好だな」


 ララの返事がないのは、先に到着したからだろうか? 道幅は人三人がギリギリ歩ける程度の狭く、かつ奥へ延々と続く一本道ロングロード系みたいだ。


 ふと、体にいくつかの違和感を覚えすぐに自身の状態を確認する。

 ピンアウトしていくつか項目をスクロールさせると、状態の項目をタップする。


 状態:【時間停止】【時間逆行】【魅了】【食欲極増】


 知らない状態異常が二つも加わっている。

 魅了状態に関しては見るもの全てにトキメクような感じを覚えるものの、だからといってソレに対して心を捕らわれるまではいかない。

 そして食欲極増に関しても、多少何か口に放り込みたい、口が寂しいかな? という感じがあるだけで夜食を我慢する時程度で落ち着いている。


「体の動作にも支障はなさそうだし、問題はないか」


 声も普通に出るし、体が重いなどもない。つまるところ、第二階層の状態異常関係はクリアしていると思っていいだろう。


「後はララが何処にいるか、か?」

「……イ、イイ」


 ふと、背後に出現ポップしたララがかすれた声をあげ俺の肩を掴んでいた。

 出現タイミングとほぼ同時に背後を取られた為、振り向く事は叶わなかった。


「に、げて……」


 ダンッ、と大地を蹴り込み肩に食い込む手を振りほどいた。

 同時にララは体勢を崩し倒れ込む。


「一体何が?」

「イイ、オイシソウ」


 十分にある光源が照らすララの表情は、目をハートに変えだらしなく涎を口から垂らしていた。

 つまり、異常だった。


「まさか、ララも状態異常が付与された?」

「コンナコト、アリエナイノニ、アリエチャイケナイノニ」


 ふらり、ふらりと一歩一歩近づいてくるララの目は俺を捕食対象としてとらえているのか手をわしゃわしゃさせている。

 本当の正解は第一階層でこのダンジョンの対策装備を取得してから突入することだったのかも、しれない。

 正し、ドロップ率が著しく低いので小祈願などのダンジョンでは速攻でケリをつける傾向が強い。

 それに、大体の状態異常への対策はとれるようにララは準備をしていたにも関わらず、この状況である。


 ちなみに俺は時間停止が最上位の状態異常なので、よっぽどのことがなければ下位の状態異常で苦しまされることはないだろう、という判断である。


「ニ、ゲテ。オサエ、キレナイ」

「逃げるって、走るしかねぇかっ!」


 背を向け駆け出す俺。

 瞬間、ララも一瞬で加速して俺を追いかけだすのが気配でわかる。

 ジワリ、ジワリとその差が詰まっていく事を感じとり、走りながら俺は話しかける。


「ララ、止まれないのか!?」

「トマレナイ、ウチナルワタシガトマルンジャネェゾッテウッタエカケテクル」

「どうして!?」

「イイノ、カラダヲ、ニクヲクライツクシタイカラ!」


 やばい、本格的にヤバい。ララは俺を本当の意味で捕食しようと思っているらしい。

 ただ、運が良かったのは走り続けても他の敵とは遭遇しなかったことか。

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