参考資料その3:用語紹介(剣・天使関連)
※ご注意
これは本編から独立したおまけです。
参考資料その3、本作品で重要な役割を果たす剣や天使などの紹介です。
本編を読むうえで別に知らなくても問題の無い解説が続きますので、いわゆる設定大好き人間な方のみが目を通して頂ければと思います(本来は、本編読んでいて微妙に設定がわからなくなった方向けの解説のつもりだったのですが……)。
【剣の製法】
大きく分けて以下の三つに分類される。
・本格鍛造:正規の手順で打って鍛えた鋼鉄製の剣。値は張るが信頼できる。
・簡易鍛造:本格鍛造から手間のかかる工程を極力抜いて、剣として最低限機能する程度に作る製法。品質はピンキリだが、いずれにしろプロが使うには心許ない。
・鋳造:鉄を鋳溶かして型に流し込んだもの。刃物というより鉄の棒であり、まともな剣と打ち合えばすぐに折れ曲がってしまうが、丸腰の相手を殴り殺すには十分な代物である。雑貨屋や古道具屋などに並んでいる。
【銘】
この時代の大陸製の剣は、銘の入れ方に暗黙のルールがある。簡易鍛造なら工房のロゴのみ、本格鍛造であれば工房のロゴに加えて打った職人の名前を、いずれも刃の根元近くに小さく刻み込む。見習いの習作の場合はこの限りではない。また特別な品の場合、剣自体の名前を刻み込む場合などもある。
【剣の砥ぎ方】
大陸西部においては、伝統的に三つの砥ぎ方が存在する。
・鋭角砥ぎ:とにかく切れ味重視の砥ぎ方。反面耐久力は低く、刃こぼれしやすくなる。一般人の護身用向け。
・鈍角砥ぎ:切れ味を若干落とし、代わりに耐久力をやや重視した砥ぎ方。用心棒に人気。
・丸砥ぎ:触っても切れないくらいに切れ味を落とした、特に耐久力を重視した砥ぎ方。軍人や傭兵が戦場で使うのに向いている。
【聖剣/霊剣/魔剣】
超常的存在を宿し、その力を借りて圧倒的な力を行使することのできる剣(稀に、剣の形をしていないものもある)。いずれも持ち主を選び、剣に認められた者でなければ鞘から抜くこともできない(鞘に入ったまま振り回すことは一応可能)。認められるための条件はそれぞれ異なるが「卓越した技能の持ち主であること」は最低限満たさなくてはいけない。ぞれぞれの剣の使い手を「聖剣士」「霊剣士」「魔剣士」と呼ぶ。
ただし、認められても完全に使いこなせるとは限らず、持ち主の力量が足りない場合は、副作用として何らかのペナルティを受けることがある(例えば「使うと一時的に左半身が麻痺する」など)。
いずれも、作られたばかりの新しい剣(もしくはそれ以外の武器に類するもの)を前に儀式を行い、超常的存在を呼び出して宿らせることにより作られる。ただし、宿る者のランクが高ければ高いほど、剣自体も品質の高いものである必要があり、また材質に関する制限も多くなる。
・聖剣:天使が宿る剣。一騎当千。融合状態ならば通常の物理攻撃に対してほぼ無敵になれる。ほとんど戦略兵器だが、使い手は非常に限られるため、聖剣が市場で流通すること自体が少ない。上位の天使が宿るものほど強力だが、使い手は更に限られる。
・霊剣:天使でも悪魔でもないもの(精霊やそれに類するもの)が宿る剣。一騎当千までは行かず百程度で、聖剣ほどの無敵の防御性能も無いが、融合状態の聖剣への対抗手段には一応なり得る(霊剣による攻撃は「通常の物理攻撃」ではないため)。使い手はそれなりに限られるが聖剣ほどではないため、市場にもそこそこ出回っている(かなり高価ではあるが)。
・魔剣:悪魔が宿る剣。強さは様々で、ユニークな能力を持つものが多い。特別な血を引いていないと使えないとも言われる。教会からは存在自体が邪悪な品とされているため、当然まっとうな市場には出回っていない。
【剣の状態】
聖剣/霊剣/魔剣には力の解放具合に段階があり、より先の段階に至ることにより更に大きな力を行使することができる(一方でペナルティもきつくなる)。
・休眠状態:適切な所有者が存在しない状態。ただの抜けない剣。
・待機状態:所有者はいるが特に力を発揮していない状態。大した力は発揮できないが、通常の手段では壊せない。所有者が普通に持ち歩いている時は大体この状態である。
・開放状態:剣が単体で力を発揮している状態。いくらかの力を行使することが可能で、所持者に対してそれなりの防護を与えるが、この状態を維持すると徐々に体力を消耗し、更に刀身が光るためかなり目立つ。ここまでは、剣に宿る存在の同意を得ることなく、所有者のみの判断で移行できる。
・融合状態:剣と所有者が共鳴している状態。剣から溢れた力が実体化し、所有者の服や防具を変化させ、全身を覆うようにして所有者の身を守る。あらゆるダメージを剣が肩代わりするため所有者が傷を負うことがないが、限界を超えると先に剣が破壊される。この状態に移行するには剣に宿る存在の同意が必要で、またこの状態を続けると心身ともに激しく消耗する。
【天使】
創世神の意志代行者と言われる存在。最下位の壱次元天使から最上位の玖次元天使までの九階層に分かれるが、このうち現世に降臨することができるのは下から三つのみとされる。壱次元から参次元までのどれであるかは、頭上の輪の構造から判別することができる。
頭上の輪を除けば人間に似た姿をしているように見えるが、これは単に天使が人間と接する際にそのような姿を取っているだけである。本来、天使に性別は存在しないが、多くが男か女のどちらかの姿およびメンタリティを持っている。
最上位の玖次元天使は創世神の身体の一部から生まれたとされ、別名「御柱」とも呼ばれる。彼ら(彼女ら?)は多くの民の信仰の対象となっているが、それぞれ教義がバラバラであるため、いずれか一つを選んで信仰されることが多い。ソルディランド王国では「武天使」信仰が事実上の国教となっているが、国内でも地域によっては他の「御柱」も同様に敬われていることもある。
主な「御柱」には以下のようなものが存在すると言われる。
・武天使:「忠義や礼節を重んじ、常に己を鍛え備えること」を説く。軍人や用心棒などが特に信仰している。
・魂天使:「精神的自立と他者の尊重」を説く。自らの意思の通りに行動することを推奨する一方で、他者の自由を侵すことを戒める。
・他には和天使、破天使などが一般に知られている。
【悪魔】
創世神に仇なす「力あるもの」の総称。かつて天使だったものが創世神を裏切った姿とも、天使を生み出す際に使われた力の反作用で生まれた存在とも言われる。
かつて大陸西部は悪魔の勢力が強かったが、ほとんどが天使および天使と組んだ人間により放逐されたと記されている。
人間の姿で降臨し、人間との間に子をなすことができたとも、そうして生まれた子たちの末裔には今でも悪魔の血が受け継がれているとも言われている。
【精霊】
創世神が世界を創り出しす際に用いたエネルギーの残渣に、何らかの意思が宿ることによって生じた存在とされる。
昔は各地で精霊信仰が盛んに行われていたが、御柱信仰が一般的になった今では一部地域を除き、かつてほどの勢いは無くなっている。
【聖別と祝福】
教会の秘跡により、神に属する品として定義付けることを「聖別」と呼ぶ。主に教会内の儀式で使う道具に対して行われる。聖別されることによりその物品は聖なる力を帯び、一部の物質はその物性すらも大きく変化させる。特に、銀を聖別して得られた「聖銀」は擬似的な物理強度が大幅に強化され、聖剣の刀身に欠かせない材料とされる(ただし純粋な聖銀は高価すぎるため、そのまま使われることは少ない)。
「祝福」はいわば「聖別」の簡易版であり、祭りの日に教会から一般に広く振る舞われる品に対して行われることが多い。聖別された品を市中で手に入れようとすれば極めて高価となるが、祝福された品はそれほど高価ではなく数量的にも比較的手に入りやすい。