第52話 結界に阻まれた
よし、着地に成功した。すぐ先には入り口の巨大な門がある。
まだゴーレムは俺達に気づいていない。幸い奴との距離はかなりある、気づかれずに侵入できそうだ。
「ラズリー、よく頑張ってくれた。あとは俺だけで十分だ。奴にバレないよう安全な場所に逃げて隠れていてくれ」
「……ぴきぃ……」
ラズリーが拒んでいるみたいだ。ご主人様が心配なのはわかるが、今はお前の体の方が大事だ。さっき負傷した尻尾も癒えていない。
「わかったよ。だけどいいか、絶対に無理をするな」
もし万が一のことがあれば、またラズリーに乗る必要が出てくる。その万が一がないことを祈るが。
とにかく、一刻も早くセリナのもとへ。あの入口の門を突破すれば、セリナが連れ込まれた神殿がどこかにあるはず。
門の目の前まで来た。でも俺がくぐろうとしたその瞬間、見えない壁に阻まれた。
「なんだ……これはバリアか?」
透明な壁がかすかだが赤い光を帯びている。これは魔法でかけられた結界だ。くそ、なんとなくそんな予感はしていたが、これは厄介だ。
となれば、やっぱりあのゴーレムを倒さないと無理なのか。いや、どこかに抜け道はないか。
「ん? あそこは……」
右側の切り立った岸壁の中腹部に小さな洞穴がある。人一人入れそうだ。
あそこまでの高さは、だいたい五十メートルくらいか。
だけどその真下の部分には地面がない。ここは空に浮かんでいる島だからな。俺が今いる突き出した陸地部分と、あの岸壁は三十メートルくらい離れてる。
現役時代何度もロッククライミングのトレーニングをしたから、崖をよじ登るのは簡単だ。でも普通にダッシュしても、あの岸壁まで飛んで届きそうにない。
ラズリーがまだいるじゃないか。いや、やめておこう。さっきかなり無理をさせた。ここは俺一人でいく。
スキル〈ハイジャンプ〉と走り幅跳びとの重ね合わせだ。
ギリギリまでダッシュし、そこから〈ハイジャンプ〉をすればなんとか届きそうだ。
「……やってやるか」
陸上競技は専門分野じゃない。ちょっと不安だが、己を信じるんだ。
「はぁあああ!!」
届いた。うまくいったな、いや行き過ぎたか。洞穴部分よりもさらに上まで来てしまった。
あとは下におりるだけだ。足を踏み外さないよう、慎重に崖をつたって洞穴部分まで来た。
「よし……ここまでくればもう……」
「残念、ここは罠だ」
暗闇の中で声が響いた。赤紫色のローブを身を包んだ魔道士だ。
「まさかこんな場所まで来れるとは思わなかった。念のため、待ち伏せしておいて正解だった。やはり想定外の力を秘めているな、お前は……」
「邪竜教団の者か。悪いが……通してもらえるか?」
「どうやら我々の秘密を知ってしまったようだな。ならば、なおさらここは通せん。死んでもらおう」
やはり聞く耳もたずか。わかっていたことだが、別に倒すことは造作もない。
「ぐふっ!」
魔道士とだけあって隙だらけだ。〈神経突き〉でなんなく気絶だ。
でも伏兵にしては弱すぎる、それにこいつは「罠だ」と言っていた。
まさか。嫌な予感がする。
ゴゴゴゴゴゴ!!
突然地面が揺れた。ここは空の上だ、地震なわけがない。
「ぐっ!? なにが起きてる!?」
今度は一気に光が差し込んできた。なんと天井に円形の穴が開いた。
あの穴から出ても、外壁のてっぺんに出るだけだが、もしかしたらそこから島の中へ入れるのか。だめもとだが、試すか。
「あがってきちゃ駄目!」
突然どこからが女性の声が聞こえた。すぐに正体がわかった。
「その声……まさか!?」
次の瞬間、彼女が天井の穴を覗いて俺を見下ろした。間違いない、あれはシモーヌだ。
「やっぱりシモーヌか。どうしてここにいるんだ!?」
「サリア様のあとをつけてきたのよ。それより、ゴーイチ。そこにいては危険よ! 入口から外に出て!」
「外に出ろと言われても、門にバリアが張られているんだ。その穴から外に行けないのか」
「ダメよ。いいから、私を信じて! あのゴーレムの弱点ならわかるわ!」
ゴーレムの弱点だと。そうか、やっぱりあのゴーレムを倒さない限りは結界が解けないのか。
さっきの魔道士の発言もあるからな。しかしここから出るには一つ問題があるぞ。
「安心して。そう思って、これを持ってきたんだから!」
「そ、それは!?」
いつもご覧いただき誠にありがとうございます!毎日ご覧になっている読者様には心から感謝いたします。
この作品が気に入ってくださった方は高評価、ブックマークお願いします。コメントや感想もお待ちしております。またツイッターも開設しています。
https://twitter.com/rodosflyman




