14.神託の意味。神様、いったい何のつもりなんですか!
神託を受け取る授業後。放課後になって俺は教室でクロンスさんと話をした。
「正直驚きました。ヤシキくん、急に叫ぶので。」
「ご、ごめん。なんか腹たっちゃって。はぁ。こんなんだからガキって先生にも言われるんだろうね。」
頭を掻く。やはり自分はまだまだ未熟なようだ。
「俺、『無知なる愚者』って言われたんだ。そりゃあ馬鹿かもしれないけどさ、そんな直接的に言うことないよね。」
「そうだったんですね………。実は、私にも神託が下ったんです。」
「本当!?」
クロンスさんは神託が下るかと不安がっていた。だから、無事に下って良かった。と思う反面、ならばどうして彼女はあんな暗い表情をしていたのだろうか。
「私は『穢れた忌み子』と言われました。」
「っ!俺もう一回教会に行ってくる!」
「いえ、平気です。むしろ今はこの神託に感謝しているんです。」
「えっ?」
「神託が下ったということは特別な力が使えるということ。なら、開き直ってその力を使い倒してしまおうと思ったんです。」
俺は教会での行動が恥ずかしくなった。勝手にムカついて、勝手に熱くなっていた。当の本人はこんなにも強くあろうとしているのに。
悔しいが『無知なる愚者』というのは的確なのかもしれない。
「そっか。俺、手伝えることがあったら何でも手伝うよ。」
「なら一足先に神託の力を試してみませんか?」
クロンスさんはそう提案する。俺達に渡された力は魔法学校でも鍛錬していくようなのだが、彼女はそれを先にやってみたいそうだ。
俺も自分の力がどんなものか気になる。なので2人で試すことにした。
俺達は敷地内の森に移動した。そして手を組んで目を閉じる。神託を受け取った時のように静かに。
すると、体に変化が起きた。なんと俺の指先が透明になったのだ。いや指先だけでなく、体全体が視界に映らない。
「おぉっ!俺、透明になったみたい!」
「すごいですね。声は聞こえるんですが…。」
クロンスさんはキョロキョロとあたりを見回す。そう言う彼女には変化が見られない。
「クロンスさんの神託はどういう力なんだろう。」
「そうですね…。あっ、」
その時、落ちてきた葉が彼女の彼女の指先に触れた。瞬間、生き生きとした緑は色を失い、しわしわと枯れてしまう。
「成る程。こういう力なんですね。」
「…………強そうだね。クロンスさんの力なら触っちゃえば無敵だ!」
「ふふっ。ですね。」
彼女は落ち込みはしない。なら、俺だって変に気をつかったりはしない。思ったことをそのとおりに伝える。
クロンスさんは決して弱くない。どんな神託が下ろうともそれは変わらないと思うのだった。




