13.神託を授かる。目指せオンリーワン!
「はぁ…。」
休み時間、隣で溜息をつくクロンスさんに俺は話しかける。
「溜息なんてしてどうしたの?もしかして原因不明の体調不良?だったら、ステータスオー、」
「体調は万全なのでステータスなんちゃらは辞めてください!恥ずかしいので!」
「それじゃあどうして憂鬱そうなの?」
「………今日は、神託を授かる日ですから。」
「神託って?」
「主から一人一人に下るものです。それによって私達は特別な能力を頂けるんですよ。」
「それが嫌なの?」
「………私には神託なんて下りませんよ。だって呪われていますから。」
クロンスさんは物憂げにそんなことを言う。もし、その神託を授けるのが俺の出会った女神ならひとこと文句を言ってやる。
呪いなんてのを理由に友人へ神託を下さなかったらそうしよう。コンタクトの仕方は未だによく分からないけれど。
そして、彼女が不安視する神託を授かる時になった。
「よし。各々前に出て手を組め。そうすれば自ずと神の声が聞こえるだろう。」
学校の敷地内にある白い教会で担任はそう言う。今日の授業はその神託とやらのためか、教会で行うのだ。
「次、クロンス。」
「は、はい。」
「いってらっしゃいクロンスさん。」
俺は隣に座っていたクロンスさんを見送る。きっと大丈夫なはずだ。呪いだなんてのがあってもそれは彼女の否ではないのだから。
もしあの女神が授けるのならば、大人しくクロンスさんに神託をあげてほしい。
静かに手を組む彼女を見守っていると、クロンスさんは少し驚きその後俯いて席に戻ってきた。
「次、ヤシキ。」
「は、はい。」
クロンスさんにはどう声をかければ良いか分からなかった。なので何も言うことは出来なかった。
神託を下さなかった神への苛立ち。そして、肝心な時に言葉をかけられなかった自分への苛立ちが腹の中を渦巻く。
俺は前に出て手を組む。そして目を瞑り、大声を出す。
「馬鹿野郎!何が神託だよ!神様なら皆、平等に救え!何でも出来るんじゃないのかよ!それなら悩んでる人のことだって救えるんじゃないのかよ!」
声が、教会中に響く。隣にいた担任は俺の行動を止めることはない。目を瞑っているので彼がどんな顔をしているかは分からない。少し怖い気としたが、それよりも俺は腹立っていた。
すると、突然頭の中へ声が響く。
『成る程。それが貴方の意志なのですね。それでは授けましょう。貴方は無知なる愚者です。この力、贖罪のために使いなさい。』
「ヤシキ。神託は下ったか。」
「……声が聞こえました。」
「そうか。なら、それが神託だ。戻れ。」
「はい。」
担任は怒ってはいなかった。そして、それは声の主もであった。もしあの声が神だとするのならば、そもそも怒りなんて感情は湧かないのかもしれない。
俺はそうして神から『無知なる愚者』と称されて神託を受け取った。




