12.チートスキルの真価。価値はあれども唱えるのは恥ずかしい!
「おはようクロンスさん。……あれ?体調でも悪いの?」
朝、登校した俺は隣のクロンスさんに尋ねる。
「はい。少し。でも、原因が分からないんです。」
「なるほど。あっそうだ!こんな時こそ………ステータスオープン!」
「っ、ヤシキくん、それ恥ずかしいので小声でやってください!」
俺だって恥ずかしいけれど小声じゃ反応しないんだ。あぁ、周囲のクラスメイトから鋭い視線が刺さる。
でも、これも友人のため。練習とはいえどもクロンスさんの体調不良の原因が分かるかもしれないのだ。
そう思っていたのだが、表示されたのはいつも通り数字と体調不良という4文字だけ。そんなことは知っているのに。全く。
「あれ…。前見た時より学力が25上がってる。クロンスさん、勉強頑張ってるんだね。」
「え?ま、まぁそうですね。」
「あっ!原因は勉強疲れじゃないかな!」
「うーん、そうかもしれませんね。」
そんなことを話していると、ふとあることに気付く。俺のチートスキルは能力値が見れる。この値が増えればその能力は向上、減れば弱まったということなのだろう。
ということは、成果が目に見えて分かるのだ。それもすぐ。これは大きいのではないか。
何せ、勉強や運動のモチベーションになるのだ。行う努力が正しいのかはっきり分かるのだ。それはかなり価値のあることだろう。
欠点といえば、大声でステータスオープンと叫ばなければならないことだが。
「そういえばそのステータスなんとかを先生に使ったことってありますか?」
「あっ、ないかも。先生が来たらやってみるよ。」
「えっと…健闘を祈ります。」
そうして担任がホームルームの為にやって来た。この機を逃さず、俺は勇気を出して大声を出す。
「ステータスオープン!」
その声と共に現れた数字に俺は驚く。全ての数値はなんと1000を優に超えていたのだ。賢いだろうクロンスさんでさえ200超えだというのに。
「やっぱり先生は凄いよクロンスさん…!あれ、クロンスさん?」
「……………。」
クロンスさんは目を合わせてはくれなかった。代わりと言ってはなんだが他のクラスメイトや担任は俺のことを凝視していた。
「…………ヤシキ。私のかかりつけ医がいるんだが、どうだ?」
「びょ、病気じゃないです!」
「病人は自覚していない者だっているからな。その、なんというか、無理は、するなよ…。」
「で、ですから至って健康です!」
「それはそれで困ったことだな…。」
担任の妙に優しい態度と生温かい目を受けて、俺は必死に抗議するのだった。




