学園生活
【主要人物紹介】
ラウ
剣神シンから転生した少年。
魔法学校の二年生。
ナタリー
ラウの幼馴染。
一緒に入学するために王都へ来た。
ビスタ
ユーフィリアスの長女で王女。
ラウとナタリーの同級生。
ラウは寮の部屋で考えていた。
自分に何が足りないのだろう。
もちろんシンに比べて
圧倒的に強さが足りないのは分かる。
前世と今とで違うものーーー
一つが目標だというのは明白だ。
前世は「魔王討伐」という
自分の意志とは関係ない、
しかし使命とも言える目標だった。
しかし今は違う。
人生を楽しむという目標がある。
動機が弱いかもしれない。
答えは出ないが強くなるために
考えていくのもいいかも知れない。
それからのラウの学生生活は
かなり忙しくなった。
授業では戦闘や生活に役立ちそうな
魔法、魔道具について
今まで以上に真剣に学んだ。
ニフィー先生の基本魔法学はもちろん
クロス先生の魔装具学も
モンストル先生の調理学も
アラモンド先生の基本戦闘術も
身に付けるべく真剣に臨んだ。
基本魔法学では魔法生物について
学んでいた。
「魔法生物はあらゆるところにいます。
精霊たちは見えない場合も多く、
人に協力的な存在から
どちらかというと敵対している存在まで
多種多様です。」
それなら魔法生物を見るには
どうしたらいいのだろうか。
ドラゴンは魔法生物なのだろうか。
学べば学ぶ程、沢山の疑問が湧いてくる。
殆どの疑問はナタリーが解決してくれた。
ビスタの件でお金の心配がなくなった
ナタリーは7年生までの教科書を
買い漁って勉強に励んでいた。
「魔法生物は特定の魔法を使ったり
波長を合わせた
魔力を目に込めたり
専用の魔道具を使う事で
見える様になるの。」
「ドラゴンは魔法生物に分類されることも
あるけど、誰にでも見える物理的な身体が
存在する珍しい部類ね。」
といった具合だ。
一体どこまで先に進んでいるのか
ラウにも皆目見当が付かなかった。
学校の授業の中では唯一、
ブライアン先生の体操学は
ラウが元々出来る事が多く
気を抜ける時間だった。
得意科目と言ってもいい。
前世で剣士として無意識に
魔力を使った身体の使い方を
極めていたラウは断トツの成績だ。
そこでもナタリーは優秀さを見せた。
瞬歩の基礎までたどり着いているため
ラウを除けばぶっちぎりの動きだ。
時にはブライアン先生を
圧倒することさえあった。
「すごいわ!
さすがナタリーね!」
「ありがとう!
ビスタもすごいよ!」
ナタリーファンクラブの会長
ビスタが褒めちぎる。
とはいえラウとナタリーが
抜けすぎているだけで
彼女もとても優秀だ。
さすが勇者の娘だった。
今のところクラスもとても平和だった。
相変わらず意識の中では
貴族と平民の差別はある。
しかし王族であるビスタが
平民であるナタリーやラウと
これだけ仲良くしている状態で
表立って平民を攻撃するような
愚かな貴族はなかなかいなかった。
一組は成績上位者のクラスである。
もともと向上心が高い者が多い。
結果として貴族と平民の
対抗意識はいい方向に働き
お互いがお互いに負けまいと
モチベーションが高まり
クラス全体がレベルアップしていた。
学校がない週末にやる事も多い。
ラウはセルマの剣術の向上指導
イリスとの魔法修行、
ユーフィリアスとの剣術修行だ。
だがラウは嬉しかった。
シンは最強だった。
それゆえ、日々の研鑽は
昨日の自分を超える、という
不明瞭な目標を立てて
あらゆる工夫をする必要があった。
しかし今は違う。
魔法においてはイリス
剣においてはユーフィリアスと
目の前に明らかな壁がある。
彼らに近付き超えるという
見えている指標があった。
特にユーフィリアスとの修行は
相乗効果をもたらしていた。
転生して少年になったとはいえ
ラウは元剣神である。
剣においては天才というレベルですらない。
それはユーフィリアスとの
修行を始めて数か月経った頃だ。
「最近私自身も
前より強くなったのを感じます。」
とユーフィリアスが言った。
それはラウも感じていた。
最初の手合わせから数回で
ラウはユーフィリアスと
ある程度戦える様になっていた。
毎回、次には勝てると思うのだが
それから何度もの手合わせしているが
ずっと勝てないままだった。
ラウの力が向上していない訳がない。
考えられることは
ユーフィリアスも強くなっている
という事だ。
「それは俺も感じていた。
いつまでたっても追いつけないとは」
力が近いライバルの存在は
お互いを高め合うのにうってつけだ。
それを証明するかの様に
二人は同時に強くなっていった。
ラウは剣神の生まれ変わりだが
ユーフィリアスも勇者なのだ。
まだまだ伸びしろがあっても
なんの不思議もなかった。
さらに勇者特有の力もある。
シンでさえ、
剣技で負ける事はありえないが
総合力では分からない。
ラウはそんなユーフィリアスと
研鑽を重ねていった。
しかしイリスとの修行は
そうはいかなかった。
魔王討伐PTグラディウスの
天才魔法使いイリス。
今世で初めて魔法を学んだラウとは
雲泥の差があった。
人生3周目のラウは
今世で追いつける気がしない
と考えてしまう程の差だ。
だが、イリスは
ぶっきらぼうな口調とは裏腹に
教えるのが本当に上手かった。
恐らくどの先生に指導してもらうより
ラウの能力は向上している。
「もう少しだけど。」
転送魔法ももう少しで
身に付けられそうで
ラウも気合が入る。
ラウは忙しくも
充実した生活を送っていた。
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