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天狗のあまねとテングの隆生  作者: イリ―


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20/34

あまねと葉子

 あまねが王子稲荷に戻ると葉子(ようこ)拝殿(はいでん)から出てくるところだった。


「お帰りあまね様。丁度よかった。ついさっき連絡があってね。ほら、これだろ?」


 楽しそうに何かを振っている葉子のその手にあったのは三つの竹筒(たけづつ)だった。葉子はそれをあまねに手渡した。


「どうだった? 楽しかったかい東京観光は?」

「楽しかったよ。本当にいろんなものがあって……」


 葉子は(いぶか)し気にあまねを見た。


「それにしちゃあ元気がないね。小田切(おだぎり)さん、居たんだろ?」


 あまねは(うなづ)いた。


「もしかしたら、わたしは隆生を傷付けてしまっただけなのかもしれない」

「それも仕方の無いことなんだろ。なに大丈夫さ、小田切さんはきっとあまね様の気持ちを分かってくれるよ」


 葉子は弱々しいその背をそっと()でた。あまねは小さく頷く。


「でも葉子殿、その時は……」

「そうだね。でも、それをどうしたいかは小田切さんの気持ち次第。それにあまね様は引く気も無いんだろ?」


 うん、とあまねは管の筒を眺めた。


「明日、隆生にちゃんと話そうと思う」

「いいのかい、待たなくて?」

「大丈夫だと思う。隆生ならきっと分かってくれる。それにもうあまり時間も無いんだと思うんだ」

「辛いね。一緒に行こうか?」


 あまねは首を振った。


「気持ちは嬉しいが、神社を空けるわけにはいかないだろ。それに、これはわたしの我儘(わがまま)だから葉子殿を巻き込みたくない」

「そうかい、別に巻き込んでくれてもいいんだけどね。でも何かあったらいつでも言いな。あたしはあまね様の味方だからさ」


 ありがとう、あまねは目を伏せて小さく頭を下げた。



 翌日


 あまねは荷物を(まと)めて、いつものように新宿の南口にやってきた。

 隆生の姿はまだない。

 あっという間だったと思う。行き交う人々を眺めながら、あまねはこの二日を思い出していた。

 色々なところを見て回った。豊川のみんなに会えた。葉子殿と友達になった。管も手に入れた。そして隆生にも会えた。

 あとは。


「おそいなぁ、隆生……」


 あまねはビルの並ぶ空を見上げた。

 しかしその日、

 隆生はその場に現われなかった。


 


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