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星と樹の距離

 彼女との映画、それは特別な空間。何もかもが違うものに感じられた。空気から帰りの空の色まで。

 カガナは中村レイと手を繋ぎたかった。いつそれを言い出すのか、その時と勇気を模索していた。結局は何も変わらない、あんまり話も弾まなかった。

 本当に見たいのはその後の物語、でもそれを知ってしまったら全てが台無しになるかもしれない。


 映画を見た次の日の朝。

「おはよう」と中村レイは変わらぬ笑顔でカガナに朝の挨拶をした。

「うん、おはよう」カガナはすこし俯き、目を合わせることが出来ずに返した。

 女の子を楽しませることが出来ない、その部分でカガナは心底自分を嫌っていた。席につき、そして今日もまた窓の外から校庭を見つめる。




 星は荒廃し人々がどんどん死んでいた、男には娘がいた。突きつけられた現実は娘の代で人の世は終わるだろうということ。

 男は故郷を出て舟に乗り旅に出た。星々を巡る長い旅。空間を掻き分け、黒い渦を超えて出た先は見慣れた風景、故郷の情景、それが嘘だとわかっていても。

 移住出来る星を見つけてどうするのか、残っている全ての人を運ぶ舟はない。ここが旅の終わり、永く永く、続く自問。

 傲慢、偽善、欺瞞、怠惰。

 見透かしたのか、舟は去っていく、遥か彼方の空、故郷と同じ蒼、懐かしい夕焼け。

 男は十分に苦しんだ、苦労した。辿り着いた先は一人、一人と大きな樹が一本、見慣れた街はあっても人は誰もいない。


 目を覚ますと人が沢山いた。人々が彼を英雄と讃えた。

「娘さんが待っている、急いで!」群衆の誰かが言った。夢を見ているようだ。

 時空の隔たりが親と子を置き去りにし、娘の命はもう幾ばくもない。娘は男より沢山歳を取っておばあちゃん、再会して二人は泣いた。一言二言の会話、男は去った。死に目にあってはいけない。あなたにはまだやることがある。それは別れの言葉。

 龍=舟が彼を見下ろしていた。

 「行こう、星々を巡る深遠なる旅人よ、ここはまだ安住の地ではない」



 映画はそこで幕を閉じた。

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