表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者物語その2 格闘家エイミーの指南書  作者: 琥珀糖玉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/10

ピンチの合間の合間

善意が当たり前ではない世界が

当たり前だったから、

見返りを求められない親切は怖かった。

だからエイミーは基本

人と距離を取るようにしている。

だから拾われた時にもそうだった。

怪我を治療され、食事を与えられ、

一緒に来るかと問われた。


恐ろしかった。


なぜそんなにも

手放しに優しく手厚いのか。

油断した頃に寝首をかかれるのではないか。

そう思いながら生活できないと思った。

だからあえて最初に言った。

殺し屋なのだと。

何人も殺しているのだと。

こんなのほほんとした2人と

共に過ごせないとエイミーは思った。

だから向こうから離れるように告げたのだ。



「…そしたら…?」


「…まずリョウからは

ハリセンでどつかれたわ。」

っすっぱーんと。

「…それはそれは良い音だったわ」

とエイミーは言った。


「一緒に来るか?に対して

私、殺し屋なのよってどんな返しやねん」

エイミーを叩いたハリセンを弄びながら

リョウはもう一打振るった。

っすっっぱーーんと

更に良い音がした。

エイミーならば、

避けようと思えば避けれた速度だった。

だが何故か出来なかった。

「仮に本当やったとして、

だから何やねん!

それを言ったら

ウチらが怖がって

離れるとでも?

見くびらんでもらいたいわ!

こちとら人間観察した上で

拾う人間を吟味しとんねん!」


介抱することを

自分達で選択しているのだと

とんでもないやつを拾ったという

災難に遭っているわけではないと

リョウは言った。

「殺し屋なら、

悔やんだり悼んだりはあんたがせぇ!

離れるかどうかは

あんたの生い立ちやない、

行動とウチらの気持ちで決める!

あんたも一緒にいたいかどうかは

あんたの気持ちと

ウチらの行動で決めんかい!」

ハリセンでどつかれた頭が熱い気がした。

言われたことのないことだった。


「…私が決める?」

「あったりまえやん。

あんたの人生やろ。

あんたが決めるんや。

まぁもっとも。」

と顎で指し示されると

クリスがエイミーの腰にしがみついていた。

「離れたい言うても

離さん奴がいるやろうけど。

相手に決めさせんと、

嫌なら嫌やていうんやな」

エイミーを熱く見つめるクリスが

コアラのようにしがみついていた。

「絶対一緒」

四字熟語のように短く告げられた。

「…本当なのよ。本当に殺し屋で」

「そんなのボクにはどうでもいいことなの」

そんなの、と聞き咎めたエイミーを

クリスはまっすぐに見ていた。

「本当にそうなら、

気の毒な人もいたかもしれない。

でもボクにとっては

傷が治ってないのに離れようとしてる

今のエイミーの方が大事だもん。

絶対離れないもん」

絶対、と掴まる腕に力を込めた。

「…えぇと…」

「絶対一緒」

「…でも」

「絶対一緒」

困ってリョウを見たが、

我関せずとばかりに茶を淹れ始めた。

カップ3つ分。

それをエイミーとクリスと自分の前に置いて、悠然と座った。

「諦めり。少なくとも

治療するまでは絶対一緒や」



そこまで話して、エイミーは息を吐いた。

「…私にもよくわからない感情なんだけど。

あの二人が悲しい思いをするのは嫌なのよ。

だから私に出来ることはするの。

相手がどんな奴なのか見極める。

危険なことは先陣を切る。

…それで幻滅されても」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ