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私、産まれ故郷ではチートでした。  作者: 霜月満月
第六章 二度目の二人旅
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109話 二年前と違うこと

話は続いて。


「さてルリ姫、リヒト様。そろそろ夕食の時間になりますし、続きの話は明日にしましょう。部屋も前回と同じく、このお部屋をお使いくださいね。」

「‥‥‥リヒトと同じ部屋ですか?」

「おや?別々の方が良かったですか?」

「いえ。‥‥一緒の部屋でいいよな?ルリ。」

「‥‥確認だけど、リヒト。本来、未婚の男女が寝室を共にするのもよろしくないって知ってるよね?」

「‥‥‥テントはいいのに?」

「あれは非常時だからでしょ?」

「あ~‥‥そうだった~!」

「まあ、もう遅いけどね。」

「あ。」


「ルリ。リヒトさんに手、出されたのか?」

「ううん。ちゃんとその線引きはしてくれてるよ。昨日はルーカスさんの屋敷に泊めてもらったんだけど、一緒の部屋だったんだよ。」

「‥‥‥リヒトさんの自制心がすごいわ‥‥マジで尊敬する‥‥。」

「その自制心を発揮しないといけない状況を自ら作ってるけどね。」

「‥‥‥今もそうだったな。」

「うん。私達の国は法律もちゃんとしててね。未婚の女性に例え婚約者でも結婚するまでは手を出しちゃ駄目とかね。」

「二人は婚約してるんだよな?ルリが指輪してるし。」

「うん。」

「‥‥‥大変だな。リヒトさん。」

「ああ‥‥でも結婚まであと二年もあるんだよ‥‥。」

「‥‥‥でも今日も一緒の部屋がいいんだよな?」

「ああ。それは譲れない。」

「‥‥‥何で自ら戦いの道を選ぶんだろうな?」

「さあ‥‥?」

「ルリ、優人。そんなの決まってるだろ?」

「「え?」」

「ここはシュハイト大陸。俺達の国があるエヴァンジル大陸じゃない。優人達は信頼してるけど、ルリが心配なのは変わらない。側にいていつでも守れる様にしておきたいんだよ。」

「「‥‥‥」」

「ルリ。」

「なに?」

「婚約者がすっげぇ格好いいこと言ってるぞ。」

「‥‥‥だね。」

「リヒトさんはルリしか見えてないんだな。」

「当然。ルリは10年以上片思いした相手だからな。」

「‥‥マジですげぇ‥‥リヒトさん。」

「だろ?‥‥で、一緒でいいか?ルリ。」

「いいよ。」

「‥‥今度はあっさり言ってくれるんだな。」

「‥‥あんな格好いいこと言われたらね‥‥しかも自ら自制心との戦いに身を投じる覚悟があるなら私が文句言うのは違うかなって。私も嫌な訳じゃないし。」

「そうか‥‥。」

「じゃあ、夕食は俺達と一緒に食べるか?」

「いいの?」

「勿論。部屋で食べるの、寂しくないか?」

「寂しくないって言ったら嘘になるね。」

「だろ?」

「では、移動しましょうか。」


そして夕食後。


「ガリアさん。伺ってもいいですか?」

「はい?どうぞ。」

「私達の正体、どうしてご存知だったんですか?」

「ああ。それはですね、どこの国も全ての商人達の口を閉じるのは無理ということですよ。」

「あ。噂を元に何かしらの調査を?」

「そんなところです。それにエヴァンジル大陸のそれぞれの国の王族は一度は旅に出るでしょう?外見の特徴で分かることもあるのです。ただ、リヒト様は前回来て頂いた時には既に成人後で特徴そのままで分かりましたが‥‥」

「私はまだ成人前でしたから、目の色だけでは特定できませんよね。でもリヒトと一緒にいたことと、後々の巫女が現れたという噂で私のことかなということですか?」

「その通りです。」

「では、アンスロスの方もそんな感じで私の存在がバレたのかもしれませんね。」

「あ。人間の国にも?」

「はい。ここに来る前、偶々会った方が親切な人で、上が巫女を誘拐する算段をしているから触れ回って巫女本人にも伝わる様にしてくれと。それで対策でもしてほしいとまで仰ってました。」

「ルリの正体には気付いてなかったのか?」

「うん。名乗ってないし、気付いてる風でもなかったよ。」


「‥‥‥ルリ姫。」

「はい?」

「今の話ですと、あなたを狙ってエヴァンジル大陸に人間が侵攻してくる可能性があるのでは?」

「‥‥‥はい。私もそう思います。でも、色んなことが二年前と変わりました。」

「色んなこと?」

「二年前の私はこの世界のこと全てを全く知らない状態で、弱かった。でも、バラクさんやリヒト。騎士達に剣術を教わって、リヒト程じゃないけど強くなった。巫女として精霊術も使える。ここなら魔術も使える。知識も沢山詰め込んだ。私は十分に戦えるし、前回より旅をする速度をあげても大丈夫。‥‥‥守ってみせますよ。国を、そして民を。私を狙って国民に被害を出すなら許しません。」

『!!!』


「‥‥‥ルリ姫はちゃんと王族ですね。」

「なんなら私はアンスロスの地に戻って、精霊術で一瞬で帰ろうかとも思ってます。」

「「「「「え!?」」」」」

「ルリなら一瞬で帰れるのか?」

「こんな長距離は試したことないから確定はできないけどね。」

「こちら側では無理なのですか?」

「‥‥‥使えなくはないみたいですが、難しいかもしれません。あと、アンスロスの人達がいつ頃動き出すかは分からないのですぐに帰るべきかの判断に迷ってもいます。」

「‥‥‥ルリ姫、リヒト様。我々を信用頂けますか?」

「「え?」」

「恐らく、この数日の内にアンスロスへ潜入調査していた者が戻ってきます。その者には動向調査をしてもらってますので、もしかしたらエヴァンジル大陸に本当に侵攻するか否か。そして、侵攻するならその頃合いも知ることができるかもしれません。‥‥それをお待ち頂くことは可能ですか?」

「「!!!」」

「‥‥‥むしろよろしいのですか?」

「はい。陛下ならば迷わずそうするでしょう?」

「当然だな。リヒトさん、ルリ。待ってみるか?」

「‥‥リヒト。」

「ああ。」

私はリヒトと頷き合った。


「「待たせてください。」」

「「「「「!!!」」」」」

「‥‥‥信じてくれるってよ。ガリア。」

「ええ。」

「‥‥ガリアさん。」

「はい。」

「どうしてそこまでしてくださるんですか?」

「ふふっ。陛下と同じく、お二人を気に入ってしまいましてね。折角陛下にできたご友人ですし、お二人を害するなんて許せないんですよ。私も‥‥陛下もですよね?」

「勿論。」

「「!!!」」

「ふふっ。リヒト、私達は出会いに恵まれてるみたいだね。」

「だな。」

「二人共、それはこっちのセリフだ。‥‥ということは二人共まだ数日、ここにいてくれるんだよな?」

「あ。このまま世話になっていいのか?」

「ああ。むしろいてくれ。」

「じゃあ、甘えさせてもらうな。」

「ああ。頑張れよ~?リヒトさん。」

「え?」

「ルリと一緒だからな。」

「「あ。」」

「リヒトさん。自制心が折れそうだったら言ってくれ。別々の部屋、用意するから。」

「‥‥‥‥ああ。」


そして今日のところは解散になり、リヒトと二人で泊まらせてもらう部屋に戻った。


「さて、先にお風呂入っていい?」

「え!?あ、ああ。‥‥どうぞ。」

「ぷっ‥‥ふふっ‥‥」

「な、なんだ?」

「昨日までは大丈夫だったのに、今日は挙動不審だなって。」

「‥‥‥昨日まではちゃんと風呂は別々だっただろ?」

「あ。そういうこと?‥‥‥ん?二年前は?同じ部屋だよね?ここ。」

「だからルリの髪が乾くまで隣の部屋にいただろ?」

「あ。そういえば、隣に逃げてたね。リヒト。」

「逃げたって言うな。」

「逃げたじゃない。」

「‥‥‥‥入るんじゃないのか?」

「ふふっ。いってきま~す。」

と言ってルリが備え付けのお風呂場に消えていくと。


「二年前と違うのはルリ自身の体型もだってことを自覚してくれないかな‥‥。」とリヒトは呟いていた。



そして今回も二間続きの隣の部屋にいったリヒトが、本棚にあった本を適当に選んでソファーに座って読んでいると。


「リ~ヒト、何読んでるの?」

と後ろからルリがリヒトの首に抱き付いて手元を見ようとしたが‥‥


「る、ルリ!?」

と、動揺したリヒトが本を落とした。


「「あ。」」

「‥‥‥なんで落としちゃうの?リヒト。」

「‥‥ルリがいきなり抱き付くから‥‥」

「いや?」

「な訳ないだろ?」

「ふふっ。良かった。リヒトもお風呂入っていいよ。」


と言ってルリが離れようとするが、ルリの両手を掴んだリヒトに阻まれた。


「? リヒト?」

「‥‥‥ルリ。」

「ん?」

「二年前と違うのはルリの体型もだぞ?」

「へ?」

「今も後頭部に柔らかい感触が‥‥」

「!!!」

「お風呂上がりだからいい匂いだし‥‥」

「り、リヒト?」


すると、ルリの両手を掴んだままリヒトは僅かに振り返って、


「襲ってほしいのか?ルリ。」

と黒い笑顔で言った。


「!!!‥‥‥‥。」

「‥‥‥そこで黙るのか。」

「‥‥‥‥ごめんなさい。」

「なにが?」

「今のはリヒトを驚かすだけのつもりだったの‥‥自制心を試したかったんじゃないの‥‥でもリヒトに言われて気付いて‥‥‥だから、ごめんなさい‥‥。」

ルリがしゅんと沈んだ顔をして謝ると、


「‥‥‥そうか。なら、次同じことをしたら‥‥覚悟するんだな。」

「え!?」

「できれば結婚後で頼む。それなら遠慮なくルリを襲えるからな。」


今度はにっこりと笑顔で言ったリヒトはルリの手を離し、落とした本を本棚に戻してから「じゃあ、俺も入ってくる。」と言って去っていった。


リヒトの自制心に感謝しつつも、最後の言葉と笑顔に逆に顔を引き吊らせたルリだった。

ルリの14歳と16歳の違いを書いてみようというのと、今のルリ達が魔族の地に行ったらを書きたかったのでちょうどいいなと書いてみてます。

最後の方の(くだり)は作者が書いてみたかっただけでもありますが、一番はリヒトの我慢の限界を示しておこうかと思ったからです。

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