27.聖教国からの使者
幽霊城から戻ってきたレフィ達は早速その結果をユウスに伝えた。
「そうか……。強力な幽霊が住み着いていたんだな。ありがとう、これで安心してあの城を手放せ……、いや、贈ることができるよ。そうだ、何だったらレフィくんにあげようか?」
「絶対いりません!」
あんな大きな城、絶対に目立つもんね。それに広すぎて移動が大変だし、住み心地悪そうだし、それなら今の家の方が絶対にいいよ。
即答するレフィを見て、ユウスはため息を吐く。
「まぁ、さっき幽霊を見たばかりだもんな。それじゃあ仕方ないか」
理由は違うんだけど、まぁそれでいいかな。
「これが本当の依頼料だよ。あとは、今すぐじゃなくてもいいし、何か困ったことがあったら頼ってきてくれ。私にはそのくらいのことしかできないが……」
ユウスは金貨が入れられた袋を渡してくると宿屋の方へ向かっていった。
◇
それからしばらくするとまだユウスが王都に残っている理由がわかる。
「えっと、もう一度パーティを開く?」
再びパーティ案内の手紙が届いた。
それを兵士から受け取った瞬間にレフィはため息を吐いていた。
そして、ルルカの方を振り向くと彼女は首をかしげる。
「パーティ? 一度行ったからもういいよ。だってあんまり楽しくなかったもん」
いや、むしろ開催すらしてなかったのだけれど……。
まぁルルカが行くつもりないのならわざわざ行く必要ないもんね。
ひとまずこの手紙のことは忘れることにした。
それよりも今日の依頼だ!
レフィはパーティ案内以外に届いていた手紙を見る。
そこに書かれているのはすべてレフィに対する依頼なのだが、そのことごとくが浄化に関するものだった。
幽霊騒ぎのある家の浄化
別の町にある溝の浄化
いつもしている依頼ばかりだ。
やり慣れている分簡単に終わるけど……。
パラパラと依頼を眺めていると妙に高価な紙を使って送られてきた手紙があった。
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聖女レフィ殿
あなた様こそが我が国の信仰の対象である聖女様に違いない。
なればこそ我々は近々あなた様をお迎えに上がろうと思う。
ミクロマルク聖教国教祖ユグニクス・アウランデーゼ
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なんだこれ?
「お兄ちゃん、何が書かれていたの?」
レフィの表情が不思議だったのか、ルルカが手紙をのぞき込んでくる。
そして、レフィ同様の反応を見せてくる。
「えっと、お兄ちゃんってお姉ちゃんだったの?」
「ち、違うよ!!」
それにレフィはそもそもミクロマルク聖教国なんてところは知らない。
それならばどうやって名前を知ったんだろう?
それにこの家の住所も……。
なんだか、その手紙がすごく怪しいものに見えてきて捨てたくなる。
でも、後々使う必要があるかもと一応手元に置いておくことにした。
そして、他の依頼をまとめていった。
同時に依頼を受ける訳にもいかないもんね。
◇
そして、依頼をこなしつつ過ごしてきて数日が過ぎた。
普段と変わらない生活を過ごしていると、玄関のドアが叩かれた。
誰か来たようだ。
レフィは玄関の方に向かっていき、扉を開ける。
すると突然扉を叩いていた男の人が頭を下げてくる。
神官服に身を包んだ中年男性。
当然ながらレフィは会ったことのない人物だった。
「お初目にかかります。聖女さま……」
レフィはキョロキョロと周りを見る。でも聖女と呼べる人物はいない。
あえて言うならルルカくらいかな。
「お兄ちゃん、お客さん?」
ルルカが不思議そうに聞いてくる。
「うん、ルルカにお客さんだよー」
「い、いえ、そちらのお嬢さんではなく、あなた様にお話があるのです」
「えっと、僕に用とのことですけど、なんで聖女扱いされているのですか?」
「それはあなた様が上級クラスの幽霊を浄化することのできる能力者だからです。それほどの神聖魔法の使い手なら聖女さまに違いないと」
レフィはため息を吐いていた。
「だから僕は男ですよ? 聖女のはずがないです」
「そんな些細なこと、問題ありません。我々と一緒に聖教国へ参りましょう」
無理やりレフィの手を掴もうとしてくる。
すると二人を割って入るようにリルが姿を見せる。
「お前たち、いい加減にしろ。レフィを無理やり連れて行くのであれば私が相手になるぞ」
リルが鋭い視線を男性に向けるが、彼は涼しい顔つきをしていた。
「無理やりだなんてとんでもない。我々は聖女さまのご意向のままに動くのですから。本日は突然の訪問で困惑されているご様子なので、また日を改めさせていただきますね」
男性は頭を下げて去っていった。
◇
「なんかすごく面倒な事に巻き込まれた気がするよ……」
流石にここまでになってきたら別の国に行くことも考えようかな。
「あの幽霊、意外と有名なやつだったのかもしれないな」
リルがポツリと呟いた。
それにしては簡単に倒してしまったんだよね……。
でも、そうだよね。あの人は神聖魔法と言っていた。でもレフィ自身が使えるのはポーション作成だけ。
そこをうまく使えばあの人たちからは逃れることができるね。




