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幸せなポーションライフを  作者: 空野進
1.3.パーティ
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25.幽霊城

 どうしてこうなってしまったんだ……。


 ライバルドは牢の中でうなだれてしまった。

 確かに国王からの褒賞に目が眩んだ事もある。

 ただ、あの場で魔法を使おうとしたのはどう考えてもやりすぎだった。


 それもこれもあのレフィのせいだ!


 未だに右手に魔力を込めるがピクリとも反応しない。

 どうやら本当に魔法が使えなくなっているようだ。

 でも、ミリサなら……。回復魔法が使えるミリサならこんな不可解な状態も治してくれるはずだ。それならばなんとかして彼女に会いに行かないと……。


 そのためには……どうにかしてこの牢を出て行かないと!!


 ◇◇◇◇◇


 王城を出てきたレフィは町を歩いていると急に声をかけられる。


「やぁ、レフィくん。また会ったね」


 振り向いてみるとそこにいたのはユウスだった。ただ、以前のやつれた様子ではなく、すっかり血色がよくなっていた。


「お久しぶりです。お元気になられたようで何よりです」

「君のおかげだよ。でも、お礼をする前にいなくなるなんてひどいじゃないか」


 だって、ユウスに伝えるとレフィ自身の家のことまで知ってしまうのでは……という危惧があったから仕方ないよ。……とは言えずにただ乾いた笑みを見せていた。


「ごめんなさい。ちょっと先を急ぐ用事ができましたので……」

「うん、だいたいこの町に来て事情を察したよ。ドラゴンが現れたと聞いて急いでこの町に来たんだよね?」

「う、うん、そうです。ど、ドラゴンは危険ですもんね……」


 これはとても一撃で倒したとは言えない雰囲気だね……。


「それはそうとあのときのお礼は、まだ忘れてないよ。なんでも欲しいものを言ってくれていい」


 急にそんなことを言われても困るな……。

 お金はさっき大量に国王にもらった。特にこれと言ってほしいものは……。


 あえて言うなら面倒ごとが起きない静かな場所で過ごしたい……ってことだけど、それはユウスに伝えた時点で叶わないもんね。

 誰も知らない場所……、例えば全く違う国に行くとかも面白そうだよね。

 問題は幽霊のルルカが遠くまで行けるのか……だけど。


 あっ、そうだ!


「それなら依頼がほしいです! 何か僕にしてほしいことってないですか?」


 レフィにくる依頼の大半が溝の浄化だ。これは最初に兵士長からの依頼を解決したのが大きかった。

 それなら似たように別の依頼を解決したらそれと同じ依頼が来るんじゃないだろうか?


 そんな淡い気持ちを抱いて聞いてみる。


「そうだな、それならちょうど困っていた問題があるのだが、それを頼んでもいいだろうか? ただ、それはお礼じゃない気が――」

「お礼です!!」


 レフィがはっきり言い切るとユウスは腑に落ちない表情を見せながらも依頼を教えてくれる。


 ◇


「それで受けた依頼がこれなのか?」


 リルがあきれた表情を見せてくる。

 それもそのはずでレフィたちの前にあるのは怪しげなお城だった。


「うん、溝の浄化以外の依頼が欲しいと言ったんだよ……」

「でも、浄化には違いないな……」


 一応ユウスは元々人が住んでいたところだと言っていた。

 ユウスからの依頼はここの中を綺麗にして欲しいとのことだった。おそらくはあの汚れ落としのポーションを見ての依頼だろうけど、それだけでは終わらないよね。


「それにしても随分王都から離れてしまったな。ルルカは大丈夫なのか?」

「んっ? 何が心配なの?」


 不思議そうな表情を見せてくるルルカ。

 もしかして、町を離れても大丈夫なのだろうか。


「あっ、そういえば町から離れても全然大丈夫だね。前までは離れることなんてできなかったのに……。どうしてだろう?」


 ルルカが首を傾げてくると、リルが怪しげな目つきを見せてくる。


「もしかして、実体を持たすだけじゃなくて、そのまま蘇生してしまったのか?」

「そ、そんなことないよ。蘇生ポーションなんて僕は――」


 ポンッ!


 レフィの手元に一本のポーションが現れる。

 状況を考えるとどう見ても蘇生ポーションだろう。


「……」

「……あ……はは……」


 目を細めて、じっと見てくるリル。

 レフィは乾いた笑みを浮かべながら、とりあえず蘇生ポーションなんて持ってたら争いの種になってしまうので、その辺に流しておく。

 そして、何も見なかったことにした。


「うん、よし!」

「『よし!』じゃないだろ! あんなものを見つかったら国家間で戦争になってしまう! どうしてそんなものを作るんだ!」


 リルが怒るのもよくわかる。

 レフィも争いの火種を撒くなんてしたくなかった。


 二人でそんな言い争いをしているとルルカが注意してくる。


「二人とも、そんなことをしてたら危ないよ。なんだかここにいる幽霊……おかしいの。怖がらせたり、驚かせようとはしていないような……?」


 ルルカが手を額において悩んでいた。


「驚かそうとしてないってことは害はないの?」

「ううん、もっとこう……殺意? みたいなのを感じるの……」


 不安げにお城を見上げるルルカ。

 そんな彼女の頭にレフィは手を置いた。


「大丈夫だよ。今回はなんていったっていいものがあるんだからね! 浄化も一瞬で終わるよ!」

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