15.ミリーナ
まさか再びここにやってくるとは思わなかった。
レフィはミリーナに連れられて王城へとやってきた。
「えっと、もしかして君って……」
「そういえば自己紹介がまだでしたね。私はミリーナ・リーゼンベルグ。このリーゼンベルグ王国の第二王女です」
王女様……。確かに高貴な身分の子だなとは思ったけどまさか王女様だったとは……。
「も、申し訳ありません。王女様とは知らずに僕は……」
「ふふっ……、あなたなら今までの態度でいいですよ。それよりもずいぶん慣れていらっしゃるのですね。普通の人ならここに来ただけでガチガチになって動けなくなるのに……」
まぁ、つい先日も来たところだからね……とは言えずにレフィは苦笑を浮かべた。
「ではこちらです。お入りください」
案内されたのは以前に来た謁見の間ではなく個室のようなところだった。
ミリーナが軽くノックをすると中から「入れ」という国王の声が聞こえる。
「失礼します」
「えっと、お邪魔します……」
「おぉ、ミリーナ。よくぞ帰ってきてくれた。っとそなたはドラゴン退治の……。今日はどうされましたか?」
国王はミリーナの顔を見た瞬間に頬が緩んでいたが、その隣にレフィがいるとわかると慌てて顔を繕った。
「はいっ、以前お話しさせていただいた盗賊退治の方がこの方なのですよ」
「なるほど、王都でも手を焼いていたあのSランク級の盗賊を退治してくれたのはそなただったのか。どうりでドラゴンも楽々倒せるわけだ。なるほど、ミリーナの話も半信半疑だったが、そなたが……ということなら信じられる。よし、ミリーナ、例の件は許してやろう」
「ありがとうございます」
ミリーナは嬉しそうに頭を下げていた。
ただ、レフィは一人話について行けずにポカンと口を開けていた。
「も、申し訳ありません。あと、レフィ様へのお礼ですね。盗賊の懸賞金も出ておりますので……えっと?」
ミリーナが指を折って数えていた。
するとそれを見かねた国王が苦笑する。
「確か金貨百枚ほどじゃったな。大事に金庫にしまってあるぞ。あとはミリーナを助けてくれた礼としてそなたにはミリーナの婚約者になってもらおうと思うがいかがだろうか?」
えっ?
突然の申し出にレフィは困惑する。
さすがに突然こんなことを言われてもミリーナも困るだろうと彼女を見てみる。
ミリーナは頬を赤く染めて、恥ずかしそうに顔を隠していた。
確かにミリーナはかわいいし婚約者になるなら楽しい生活が待っているだろう。
ただ、ミリーナは王女だ。
もしかすると魔法スキルを持っていないことでミリーナに迷惑をかけるかもしれない。
少し考えた結果、レフィは答える。
「ちょっと考えさせてもらってもいいですか? 僕も色々と問題がありまして……」
あともう一つの問題がレフィ自身の実家のことだった。
さすがに勘当されているので、話すこともできない。
こんな人物を婚約者にしてはミリーナがかわいそうだもんね。
ただ、ミリーナはどこか悲しそうな顔をしていた。
「わ、私にどこか至らないことがありましたか?」
「いえ、これは僕の問題になりますので……」
レフィの答えにミリーナは少しだけホッとしていた。
「そうじゃ、そなただけではなくそなたの親にも挨拶をしておきたい。どこにいるのか教えてもらえないだろうか?」
「いえ、僕には両親はいません。魔法が使えないから勘当されていますので――」
さすがに国王に聞かれては答えざるを得なかった。
顔を伏せながら答えるレフィを見て、国王は申し訳なさそうに「すまない」と呟いた。
「大丈夫です。そのおかげで今はいろんな世界を見ることができていますので。ですので、生活が落ち着くまではほかのことは考えられないかなと……」
「なるほど、そなたの事情も理解した。ミリーナもそれでよいか?」
「はい、私はいつでも待たせてもらいますので」
よかった。これでしばらくはこの件について回答しなくていいだろう。
安心したレフィはミリーナから金貨だけを受け取ると家へと戻っていった。
◇◇◇◇◇
レフィが出て行った後、国王が大声を上げる。
「だれか、誰かおらぬか!!」
「はっ、どうされましたか?」
すぐ側にいた兵士が慌てて部屋に入ってくる。
「今すぐにアールデルス男爵を呼んでくるのじゃ!!」
「でも、今でしたら王女様ご帰還のパーティでこちらに向かわれていると思いますが……?」
「ならば、この町に到着次第すぐに王城に来るように通達せよ!」
「か、かしこまりました」
普段はかなり温厚な国王がここまで怒るのは珍しく兵士も動揺を隠しきれなかった。
そして、通達のために部屋を出て行くと国王は椅子に深々と腰掛ける。
「ふぅ……、まさかあの少年が魔法馬鹿のアールデルス家の生まれだったとは……。兵士の話を聞く限り少年のスキルは【ポーション作成】。ただ、かなり上位のレベルだろうな」
レフィは家名を言わなかったが、国王は『魔法が使えないから勘当された』の部分でアールデルス家の少年ではないかと当たりをつけていた。
あれほど有能な少年を勘当したとなるとさすがにアールデルス本人に話を聞くよりほかはなかった。
確かに【ポーション作成】スキルはかなり外れの部類に当たる。これは基本的にポーションしか作れないこととほとんど高レベルのものがいないことに起因する。
ただ、あの少年はいろんな効果のポーションを使い回している……。
一体どれほどのレベルの持ち主なのか……。ぜひミリーナとの婚約、うまく進めないと……。
次回は家具を買いに行きます。のんびりした話です。
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