加護を与えよ その3
満面の笑みを溢すメルリとは裏腹に、私は憂鬱に包まれていた。
そのもととなる現況はパソコンのモニター画面に写っている、プレイヤーの方々である。
大神殿の前に設けられた大広間に約三万人が放り込まれている。
ラッシュ時、それも満員電車の鮨詰め状態である。
「うわぁ」
入りたくないなぁ、これは……
扉を開けた途端に雪崩がおきて怪我人続出だよ。このまま放置しても圧死する人が出そうだ。
早く何とかしなくては……。
なにか良い方法はないか考えてみたものの、何も浮かばず。
「怜奈様。
転移してあげたらいかがですか」
「は?
魔法なんて使ったことがないのに、どうやれってのさ
なに、手を前に出して『転移』とでも唱えればいいの?」
小さな魔方陣が輝き始めた。
十人くらいの一塊で次々と外に転移していく、でっかいじゃぼん玉に包まれる。外の大神殿前の広場に転移した順番にじゃぼん玉が音もなく弾ける。
「さすが怜奈様です」
わかってらっしゃる~。
メルリさんや、それはあなたの思い込み!
私は、ただただ焦るばかりで、慌てふためくばかりだった。
え…… いや…… そこ?
全員が転移するのにさほど時間は掛からなかった。
私のかなでは、凄いもん見たわ、で終わった。
「怜奈様。
皆様の転移も終わりましたし。
これを読んで下さい」
A四用紙の紙を渡された。
と同時に神殿前に私の画像が映し出された。
「ようこそ。
ファルティアの世界へ。
プレイヤーの皆様。
プレイされる前に表記があったと思います。
再度ご確認頂くためもう一度申し上げます。
あなた方の肉体は消滅しファルティアの住人『時間を掛けて作製なさったキャラクター』へと転移致しましたことをご自覚頂きますよう。
尚 命はひとつしか御座いませんので、呉々も早まった行動は慎んで下さいますよう、お願い致します。
ご理解頂けた順に神殿内へお進みください」
何この内容 アホなの!
て、映像の下に群がる男達ちょっと、人の話し聞いてたの? 下から覗くんじゃない! しかもスカートって…… 下着丸見えじゃない!
読み終わると同時に画像は消えた。
『チ』見れなかった男子達が舌打ちした。
「……」さりげなく女子も混ざっているんですが…… なんなの