第9章:首都への道
朝の太陽が高く昇り、村を背にセラフィナと俺は出発した。俺は体にちょうどいい大きさの穏やかな茶色の牝馬に乗り、長い白髪を厚い三つ編みにして風に煽られないようにまとめていた。胸元には銀色の三日月ペンダントが光を反射して時折輝いている。
セラフィナは俺の横を白い背の高い牡馬で進み、銀の鎧が陽光を浴びて輝き、金髪を兜の下に綺麗にまとめていた。
俺は鞍の上で体を捻り、門に集まった村人たちに向かって最後に手を振った。何人かの子供たちが元気よく手を振り返し、大人たちは控えめな笑顔と頷きを返してくれた。「太陽の吸血鬼」に対してまだ警戒している者もいたが、昨夜の戦いの後、大半は感謝の気持ちを抱いているようだった。
「さようなら! 色々ありがとうございました!」
俺は高い声で叫び、腕が痛くなるまで手を振り続けた。
村はゆっくりと遠ざかり、木造の屋根と煙の筋が緑の丘の向こうに消えていった。胸に不思議な寂しさが込み上げた。
「……あの人たち、ちょっと寂しくなるな」
俺は独り言のように小さく呟いた。九ヶ月間、森の中で一人きりで魔物の魂と根性だけで生きてきた。焼きたてのパン、好奇心に満ちた質問、そして恐れ混じりの視線さえ、今思えば……人間らしくて、普通で、ずっと欲しかったものだったのかもしれない。
セラフィナがこちらを見て、青い瞳を優しく細めた。
「あの人たちは、あなたを『悪魔召喚士と守護精霊から村を守った少女』として覚えているわ。今度は良い噂として広がるはずよ。ああいう小さな村は、優しさを簡単に忘れないものよ」
俺は頷き、手綱を握り直した。短い足が鐙にやっと届く程度で、見た目通りの若い旅人そのものだった。
「それで……王都に着いたらどうするの?」
俺は話を先に進めた。「ギルドに登録したり、俺の……状況について調べるって言ってたよね」
セラフィナは鞍の上で背筋を伸ばし、騎士団長らしい公式の口調で説明を始めた。
「まずは王国最大の都市、エルドリア王国の王都ヴァロリアへ向かうわ。人口二十万人を超える大都市で、中央冒険者ギルドと王立文書館がある。道中を順調に進めば、四〜五日で着くはずよ」
彼女は指を折りながら続けた。
「到着したらまず:
1. 冒険者ギルドに登録する。Bランクのフレイムドレイク単独討伐とAランク守護精霊撃破への協力実績があれば、即座にCランク、場合によってはBランクも可能。クエスト受注、ギルド施設利用、銀行口座、そして何より法的な保護が得られる。ギルドは貢献し、規則を守る限り、種族はあまり問わないわ。
2. 銀の騎士団本部を訪ねる。私が上層部に紹介して、暫定的に私の名で保護を依頼する。儀式なしで太陽の下を歩ける能力は極めて稀有よ。騎士団は超常的な脅威や異端を扱っているから、あなたの身元確認もでき、余計に好奇心旺盛な魔導士や吸血鬼狩りから守ってくれるはず。
3. 王立文書館か大図書館を利用する。『血の蝕の戦争』とノクターン一族の没落に関する記録があるわ。あなたが見た記憶の断片が本物なら、血統やそのペンダント、そしてなぜ幼体の吸血鬼であるあなたが、何世紀もかかるはずの力を発揮できるのか……その手がかりが見つかるかもしれない」
セラフィナは真剣だが優しい表情で俺を見た。
「最後に……あなたをどう見せるかは慎重にしなくては。白髪に真紅の瞳、そして幼い外見は必ず注目を浴びるわ。奇跡と見る者もいれば、脅威や価値ある獲物と見る者もいる。貴族派閥、魔導士ギルド、地下の吸血鬼社会……王都には様々な勢力がいる。私ができる限り守るけど、あなた自身の強さが最大の盾になるわ」
俺は真剣に聞きながら、ゲーマーの頭で「メインストーリー」をすでに整理していた。
「いい計画だね。ギルド登録でお金とクエスト確保、騎士団の後ろ盾を得て、図書館でノクターン関係を調べる。基本的に、俺の変な転生事情を実際の力と資源に変えるってことか」
セラフィナは俺の言葉の半分も理解できていない様子で片眉を上げたが、それでも微笑んだ。
「あなたは本当に適応が早いわね、リリス。見た目通りの年齢の子供なら圧倒されて当然なのに、まるで何度も作戦を練ったことがあるような口ぶりだもの」
俺は肩をすくめて、内心でニヤリとした。「森で考える時間はたっぷりあったからね」
道は広く続き、開けた草原、ところどころの森の塊、緩やかな丘を縫うように続いていた。草地には野花が咲き乱れ、遠くでは普通の鹿の群れが平和に草を食んでいる。九ヶ月間「家」と呼んでいた危険な魔物だらけの森とは大違いだった。
しばらくは心地よい沈黙で馬を進め、蹄の音と時折聞こえる鳥のさえずりだけが響いた。俺はその時間を使って、先ほどのステータスを頭の中で復習した。
レベル67。高魂力。多数の達人ランクスキルと便利なサブスキル。完全適応はまだフル稼働中。三日月ペンダントが道の先と答えへの期待に反応するように、わずかに温かくなっている気がした。
昼近く、小さな小川のほとりで馬を休ませて昼食を取った。セラフィナが干し肉、硬いパン、チーズ、リンゴといった簡単な旅の糧を広げてくれた。俺は魂の精髄ばかりの生活から久しぶりの人間の味に夢中で、夢中になって頬張った。
「本当に血は全く必要ないのね?」
セラフィナがリンゴを齧る俺を見て、興味深そうに尋ねた。
「うん」
俺は口いっぱいに頬張りながら答えた。「魂で満腹にもなるし強くなれるし。人間の食べ物はただ……気持ちいいんだ。怪物らしくない感じがして」
彼女は考え深げに頷いた。
「その能力だけでも、多くの吸血鬼が羨むわ。上位種は長期間血なしで生きられるけど、それでも渇望は残る。でもあなたは完全にその呪いから解放されているみたいね」
午後も馬を進めながら、セラフィナは王都の情報をさらに教えてくれた。
「ヴァロリアは区画ごとに分かれているわ。貴族街、商人街、冒険者街、そして非人間種が集まる小さなアンダーダーク地区もある。王は公正だけど慎重で、種族間のバランスを保っている。ただ、魔界との緊張が再び高まっていて、昨夜のような召喚士が大胆になってきているのよ」
俺は一言も聞き漏らさず、ギルドのクエストや安全にレベルを上げる方法、隠しダンジョンなどを既に考え始めていた。
夕方、道から少し離れた開けた場所で野営の準備をした。セラフィナが焚き火を起こそうとしたので、俺は火操作で素早く火を着け、彼女から感心した視線を送られた。
星が出始めた頃、俺は寝袋に横になり、空を見上げた。村はもう遠く、手を振って別れた記憶がまだ胸に残っていた。
「あの人たち、本当に懐かしいな……」
俺は小さく呟いた。「あの人たちは初めて、俺をただの怪物や弱い女の子じゃなく見てくれた」
セラフィナは焚き火のそばで剣を磨きながら言った。
「あなたは村をより安全な場所にして去ったのよ。それだけでも素晴らしいこと。大丈夫、いつか王国英雄として戻れる日が来るかもしれないわ」
俺は小さく微笑み、牙が火の光にきらりと光った。
「そうだといいね。今は王都に集中しよう。登録、調査、強くなる。そして……ノクターン一族の血が本当に何を意味するのか、あの記憶がなぜ戦争と喪失ばかりを見せるのかを突き止める」
賢者の声が頭の中で静かに、応援するように響いた。
『先は長い道のりですが、主の成長は目覚ましいものです。冒険者ギルドと銀の騎士団の後ろ盾があれば、多くの扉が開くでしょう。油断なく。力は味方だけでなく敵も引き寄せます』
俺は目を閉じ、夜風が頰を撫でるのを感じた。
明日もヴァロリアへ向けて進む——王国の中枢で、俺の第二の人生が本格的に動き始める場所だ。
507歳の魂を宿した、14歳の吸血鬼の少女の体。
大賢者、盗んだ数々のスキル、そして一人の騎士の守護を携えて。
王都が待っている。
そして俺は、次のステージを始める準備ができていた。




