第78章:魂魔導師の怒り
墓地の最深部にある収容ポッドに、細い亀裂が走り始めた。
黒い結晶の表面に蜘蛛の巣状のひびが広がり、赤いルーンが次々と明滅して消えていった。中に満ちていた濃厚な液体が激しく渦を巻き、何か古く、激しいものが目を覚ましつつあるかのように蠢いていた。
間を警備していた悪魔たち——主にグレーター・デーモンと中級の忌まわしき存在たち——が、巡回の手を止めた。彼らはポッドを訝しげに見つめた。一部は首を傾げ、また一部は低く唸った。
「何が起きている?」一体のグレーター・デーモンが唸った。
誰かが反応する間もなく、ポッドが砕け散った。
地下が激しく揺れた。上空から遠くの爆発が街を揺るがしていた。
グランダ、ヴァラク、シーラが地下の間での虐殺を終えた直後、最初の衝撃波が襲ってきた。天井から埃が降り注ぎ、残る血と霊的オゾンの臭いが、上空から漂ってくる焼け焦げた建物の刺激臭と混じり合った。
「爆発か……」ヴァラクが大剣を強く握りしめながら呟いた。「地上からだな。」
グランダの紫色の瞳が細められた。混沌の中から、微かな見覚えのある魔力の気配を感じ取っていた。古く、精密で、現在は大きな圧力を受けているものだった。
「エレンディア」彼女は静かに言った。「戦っているわ。そして本気を出している。」
言葉を続けることなく、シーラが巨大な狐の姿へと成長した。グランダとヴァラクがその背中に飛び乗ると、紅き死の霊は崩れゆくトンネルを突き破り、真紅の彗星のように地上へ飛び出した。
彼らが見た光景は、混沌そのものだった。
マンチェスターは燃えていた。
かつて美しかった黄金の街は、今や戦場と化していた。建物は瓦礫の山となり、通りはひび割れ、瓦礫が散乱していた。遠く中央広場では、巨大な魂の収穫儀式の魔法陣がまだ脈動を続け、残されたわずかな魂を貪り食っていた。下級悪魔たちは野良犬のように街をうろついていたが、それよりもずっと危険なものが近くで起きていた。
西区画で再び爆発が起きた。
シーラが半壊した屋根の上に着地した。グランダとヴァラクが降りて縁に駆け寄った。
目にした光景に、ヴァラクの瞳さえ見開かれた。
破壊された広場の中央で、エレンディアが命がけで戦っていた。
古代のハイエルフは、彼らが見た中で最も酷い状態だった。ローブは引き裂かれ、血で染まっていた。腕と胸に深い傷が走り、片方の目は腫れて塞がっていた。左手にはルーンを幾重にも刻んだ杖を握り、右手では重力魔法を流し込んで立っている体を支えていた。
彼の前に立つ二体の強敵。
一体は巨大悪魔獣 —— 十五メートルを超える巨体を持つ黒い鱗の怪物で、複数の頭と、岩すら紙のように引き裂く爪を持っていた。巨獣は咆哮を上げ、巨大な前肢を振り下ろした。腐敗したエネルギーの衝撃波がエレンディアに向かって押し寄せた。
もう一体は、上位悪魔ゼヴォルだった。
彼は背が高く、痩身で、残忍なまでに洗練された外見をしていた。青白い肌に長い黒髪をポニーテールに結び、紅く輝く瞳を持っていた。額から二本の湾曲した角が生え、血のルーンが刻まれた暗い鎧を纏い、自分が無敵だと信じているような傲慢な態度で立っていた。
エレンディアは巨大悪魔獣の一撃を浴びて建物に吹き飛ばされたが、幸いにも体に張った結界でダメージを軽減していた。それでも重傷を負い、血を吐きながらも這い上がってきた。顔にはわずかに怒りの色が浮かんでいた。
ゼヴォルは、エレンディアが巨獣の次の攻撃をかわす姿を見て高く笑った。
「どうした、老人! これが有名なエレンディア・ヴォスの実力か? 魔王たちと渡り合ったという人物から、もっと期待していたのだがな!」
エレンディアは言葉で答えなかった。
杖を地面に叩きつけた。
【グラビティ・エリア ― アブソリュート・クラッシュ】
巨大悪魔獣の周囲の空気が、途方もなく重くなった。巨獣の脚が崩れ落ち、巨体が割れた石に沈み込んでいく。重力が指数関数的に上昇した。骨が折れ、巨獣は内側から自分の体重に押し潰されるような苦痛の咆哮を上げた。
最後に響いた湿った音とともに、巨大悪魔獣は肉と砕けた骨の山となって崩れ落ちた。
ゼヴォルの笑い声が途切れた。
エレンディアは重傷を負いながらも堂々と立ち、荒い息をしていた。あごから血が滴り、開いている片方の瞳には冷たい怒りが宿っていた。
「私は魔力を溜めていた」彼は嗄れたが落ち着いた声で言った。「受けた一撃ごと。耐え続けた一秒ごと。お前の魔力の流れ、魂のエネルギー、攻撃パターン……そしてあの巨獣の弱点を分析していた。」
杖をゼヴォルに向けた。
「これはお前を力で圧倒するための戦いではなかった。フィールドワークだ。」
ゼヴォルは一瞬、言葉を失った……そして再び、以前より大きく笑い出した。
「フィールドワークだと!? この老いぼれが! 半分死にかけていながら研究だと? なんと惨めなことだ!」
屋根の上から見下ろしていたヴァラクが、一歩前に出ようとした。明らかに心配そうだった。
「グランダ、俺たちは——」
グランダが彼の腕を掴み、静かに首を横に振った。
「干渉しないで。」
ヴァラクが驚いた顔で彼女を見た。
「エレンディアは邪魔をされるのを嫌うの」グランダは冷静に下の光景を見ながら言った。「特に相手を分析している最中はね。彼にとってはこれがただのフィールドワークなのよ。お前の魔力、魂のエネルギー、能力を研究しているの。ゼヴォルがどれだけ強いのか、そしてどうやって壊せばいいのかを正確に理解したいの。」
彼女は小さく含み笑いを浮かべてヴァラクを見た。
「それに……エレンディアは、こんな戦いをずっと待っていたのよ。」
下では、ゼヴォルの笑い声がようやく静まった。彼は初めて本気の感心した様子を見せていた。
「面白い……普通のエルフなら、とっくに命乞いをしていてもおかしくない。なのに……お前は血を流しながら俺を分析しているのか。」彼は両手を広げた。「よかろう、老人。ではお前の小さな研究が、どれだけ続くか見てみようではないか。」
片手を掲げると、血のような赤いエネルギーが集まり、長い禍々しい剣が形成された —— ブラッド・ダスト・リーパー・ソード。刀身からは呪われた血が滴り、石に触れて燻るように音を立てていた。
ゼヴォルは剣をエレンディアに向けた。
「来い。では見せてみろ。幾世紀にわたる『フィールドワーク』が何を成し遂げたのかを。」
エレンディアは完全に静止したまま、腕を組み、杖を片手にゆるく持っていた。その表情は冷静で、ほとんど退屈そうですらあった。
「では始めよう」彼は言った。「ただし、忠告しておくが……私はすでに分析のほとんどを終えている。」
ゼヴォルの眉がピクリと動いた。
上位悪魔が突進した。
そして、本当の戦いが始まった。
ガラスのような結晶が激しい衝撃で外側へ爆散し、粘性の高い液体が石の床に飛び散った。破片の間から、一つの影が優雅に飛び出し、完璧な体勢で着地した。
グランダ・シェアフィールドがゆっくりと立ち上がった。
長い銀髪が月光のように彼女の周りを流れていた。かつては温かく優しかった紫色の瞳は、今や漆黒に染まり、その中心にわずかな紫色の光の輪だけが残っていた。古代のルーンが生き物のように彼女の肌を這い、輝いていた。右手には、美しく彫られた杖が具現化していた——その先端は、輝く鎖に包まれた銀色の百合の花が咲いたような形をしていた。
彼女は周囲を取り囲む悪魔たちを見た。
その声は、静かだった。あまりにも静かだった。
「あなたたちは、みんなの魂を引き裂いた。私たちの仲間をポッドに閉じ込めた。そして魂の魔導師を檻に閉じ込めるなどという、図々しい真似をした……そして、許されるとでも思っていたのね。」
悪魔たちは一瞬、動きを止めた。
そして一斉に突進してきた。
グランダは杖すら掲げなかった。
彼女のオーラが爆発的に広がった。
純粋な霊的圧力が、半径百メートル以内のすべての悪魔に叩きつけられた。下級悪魔たちは即座に膝をつき、体を震わせた。グレーター・デーモンたちもよろめき、突然湧き上がる本能的な恐怖に瞳を見開いた。空気そのものが濃くなり、暗くなった。
「逃す機会があったのに殺さなかったのが、あなたたちの不幸だったわ」グランダは静かに囁いた。
彼女は杖を掲げ、その先端を地面に叩きつけた。
【タイム・ストップ ― クロノ・セヴァランス】
ちょうど二秒間、間全体が凍りついた。
悪魔たちが宙に浮いたまま、爪を伸ばし、咆哮を上げかけた口を半開きにしていた。壊れた松明の炎も動きを止め、黒い血の雫が紅い宝石のように浮かんでいた。
グランダが動いた。
彼女の杖が残像を残して高速で動き、凍った悪魔たちの間を銀色の亡霊のように舞った。一振りごとに首や胸、核を切り裂いていった。
時間が再開した瞬間、十五体のグレーター・デーモンが同時に崩れ落ちた。体が綺麗に切り裂かれ、黒い体液が遅れて噴き出した。
残った悪魔たちは恐怖に顔を歪めた。
グランダは微笑んだ。
邪悪で、冷たく、恐ろしい微笑みだった。
彼女はこれからを楽しむつもりだった。
杖を高く掲げ、先端に紫色の光を集めた。
「来なさい、シーラ」
地面が割れた。
巨大な霊獣が大地から噴き出した——小さい建物ほどの大きさを持つ、真紅の狐のような存在だった。九本の燃える尾が背後に翻り、瞳は純粋な殺意に輝いていた。紅い炎が体を包み、爪からは魂を腐敗させるエネルギーが滴っていた。
【シーラ ― 紅き死の霊】
巨大な狐が咆哮を上げ、墓地全体を震わせた。
グランダは杖を前方へ突き出した。
「フロスト・ヘヴン」
瞬時に間の温度が急降下した。空気そのものが結晶化し、五十メートル以内のすべての悪魔がその場で凍りついた。咆哮の最中の者も、突進していた者も、すべてが絶叫の姿のまま完璧な氷の彫像となった。
シーラが楽しそうに笑った。低く、女性的で、喜びに満ちた笑い声がトンネルに響いた。
「おお~っ、グランダったら、いつもいい雰囲気を作ってくれるわね!」
巨大な霊獣が前へ躍り出た。巨大な顎が三体の凍ったグレーター・デーモンを同時に咥え込んだ。彼女は強く噛みしめた。氷も、中にいた悪魔も、きらめく破片となって粉々に砕け散った。黒い血と凍った臓器が、グロテスクな紙吹雪のように間に飛び散った。
シーラは止まらなかった。
彼女は凍った群れの中を紅い竜巻のように駆け抜け、切り裂き、砕き、貪り食った。爪や牙が触れた瞬間、凍った悪魔たちは血の雪となって爆散していった。
グランダは静かにその後ろを歩いた。
杖を掲げ、詠唱を始めた。
【ソウル・レンド・ヴォルテックス】
彼女を挟み撃ちしようとした悪魔の群れの上に、巨大な紫色の渦が現れた。彼らの魂が激しく体から引きずり出され、空中で引き裂かれた。空になった肉体は操り人形のように崩れ落ちた。
【エターナル・ソウル・クルーシブル】
別の群れが輝く紫色の球体の中に引き込まれた。中では魂がゆっくりと潰され、焼き尽くされ、何度も書き換えられた。叫び声は体が灰になるまで響き続けた。
【コンセプト・イレイジャー】
逃げようとした一体の悪魔を、グランダは杖で指し示した。その存在の概念そのものが消去された。体も魂も記憶も、「生きていた」という事実さえも、ただ消え去った。そこにあった空間は、見ているだけで痛みを感じるような空虚になった。
彼女は一切の慈悲を示さなかった。
生きながら四肢を切り裂かれる者もいれば、魂を焼く炎で内側から焼き尽くされる者もいた。闇の魔力で結界を張って抵抗しようとした者も、グランダはただ歩み寄って素手で魂を握り潰した。
彼女は退屈していた。
数分にわたる虐殺の後、グランダは歩みを止めた。
まだ残っていた数十体のグレーター・デーモンと、恐れて近づけなかった数体のアークデーモンを見下ろした。
「もう飽きたわ」彼女は静かに言った。
杖を最後に掲げた。
【ソウル・エンペラー・ドミナンス:クイーン・オブ・ハーヴェスト】
間全体が眩しい紫色の光に包まれた。
まだ立っていたすべての悪魔が、魂を激しく掴まれたのを感じた。抵抗も、逃亡も、慈悲も存在しなかった。
魂、霊的エネルギー、そして存在の概念そのものが体から引き裂かれ、炎に群がる蛾のようにグランダへと引き寄せられた。彼らは声ではなく、存在そのもので叫んだ。
グランダの上空に、巨大なアバターが形成され始めた。
純粋な紫色の魂のエネルギーだけでできた、背の高い天使のような女性だった。六枚の翼と長い髪を持ち、瞳には銀河が宿っていた。両手には光と闇でできた天秤を持っていた。
ヘカテ —— 宇宙世界魂の女神。
収穫されたすべての魂がアバターに吸い込まれていった。悪魔たちの本質、力、そして存在の根幹そのものが燃料となった。アバターは吸収するたびに大きく、輝きを増していった。
最後の悪魔の魂が取り込まれたとき、アバターは両手を掲げた。
収穫されたすべての魂が、その体内に封じ込められた —— 圧縮され、浄化され、永遠に閉じ込められた。二度と還ることはなく、二度と転生することもない。彼らは完全に消滅した。
間は静寂に包まれた。
グランダは血の海の中心に立っていた。
数百の悪魔の死体が床に散らばり、黒い血が石の隙間を川のように流れていた。空気は焼けた肉と霊的なオゾン、そして死の臭いに満ちていた。銀髪のいくつかが紅く染まっていた。紫色の瞳がゆっくりと通常の色に戻り、スーパリアスキルの効果が解除されていった。
ヘカテのアバターは光の粒子となってゆっくりとグランダの杖の中に還っていった。
彼女は長く息を吐いた。
「……みんな、もう大丈夫よ」彼女は小さく呟いた。「でも、まだエレンディアを探さないと」
トンネルの入口から足音が響いた。
大きな影が間に入ってきた。片手にグレーター・デーモンの首を掴み、角で持っていた。切り口から血が滴っている。
ヴァラクだった。
至高の悪魔は足を止めた。
燃えるような赤い瞳が、目の前の光景を捉えた。死体の山、黒い血の川、残る紫色の残響、そして薄れゆく巨大な天使のアバター。
彼はゆっくりと視線をグランダに向けた。
「……これ、お前がやったのか?」
グランダは彼の方を向いた。疲れた様子だったが、口元には小さく満足げな笑みが浮かんでいた。
巨大な狐の姿のままだったシーラが、もう一体のグレーター・デーモンの残骸を咥えながら顔を上げ、ヴァラクを見て赤い瞳で言った。口を動かしながら。
「彼女は、まだ魔力の十パーセントも使ってないわよ」
ヴァラクの瞳がわずかに見開かれた。
再び carnage の光景を見つめた。破壊の規模と、穏やかで聡明だったハイエルフの仲間が、数分でこの場所を悪魔の墓場に変えたという事実。
彼はゆっくりと手に持っていた悪魔の首を下ろした。
「……二度と彼女を怒らせないようにしよう」彼は静かに言った。
グランダは小さく笑った。疲れていたが、素直な笑いだった。
彼女は上方へ続くトンネルの方を見やった。
「エレンディアはまだどこかにいるわ。魔力の気配が……微かだけど、生きている」彼女の表情が硬くなった。「動かないと。上空の儀式はまだ続いている。リリスは戦っているし、ミラも傷ついている。時間がない」
彼女は杖を血に染まった石に打ちつけながら、出口に向かって歩き始めた。
ヴァラクはしばらく彼女の背中を見つめ、それから後を追った。
後ろでは、シーラが食事を終えて小型の狐の姿に戻り、グランダの後ろを忠実なペットのようについてきた。
彼らが去った後の間は、静寂だけが残っていた。
数百の悪魔がこの場所に入ってきた。
そのうちの一人も、生きて出ることはできなかった。
グランダ・シェアフィールド —— 魂の皇帝は、目覚めた。
そしてマンチェスターの悪魔たちは、遅すぎたが、なぜ自分たちの種族が数千年にわたって魂の魔導師を恐れてきたのかを、身をもって知ることになった。




