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第3章 ステータスチェック

 俺は口をぽかんと開けたまま、宙に浮かぶ半透明の女性を見つめていた。長い白髪が何度も顔にかかってきて、小さな手で何度も払いのけなければならなかった。この状況はまだ熱病の夢のようにしか感じられない。


「あなた誰!?」

 思わず叫ぶと、恥ずかしいくらい高い声が裏返った。


 霊の女性は優雅に近づいてきた。紫色の瞳は穏やかで忍耐強い。まるで理解の遅い子供を相手にしているような目だった。……まあ、今の俺は文字通りそれなのだが。


『私は大賢者グランドセージよ』

 彼女の声がテレパシーで直接頭の中に響いた。柔らかく、優しい響きだった。『第五世代の称号保持者。私の全盛期には、この世界で最も強力な賢者と呼ばれていたわ。でも、大陸を滅ぼしかねない大戦の後、私の力はほとんど封印されてしまった。そして、スキルそのものになったの——「大賢者」というスキルに。そして今、あなたの魂の願望と「完全賢者」の進化によって、私はあなたの魂縛の従者として結ばれたわ』


 俺は真紅の瞳を瞬かせた。


「……スキルになった? つまり能力そのものに? それ、なんかヤバくない?」


 彼女はため息をつき、鼻筋を指でつまんだ(半透明なのに)。


『……複雑な話よ。まずはこの世界の本当の仕組みを説明しましょう』


 俺は近くに倒れている丸太に腰を下ろした。短い足がぶらぶらと宙に浮いている。破れた黒いワンピースは膝もろくに隠せていない。情けなかったが、答えが欲しかった。


 大賢者は俺の前に浮かび、手を掲げた。柔らかい青い光が二人の間に現れる。


『この世界は魔力——私たちはMEと呼んでいる——によって成り立っているわ。それはすべてのものに流れる目に見えない力。木々、空、獣、そしてすべての生き物にね。MEは生命であり、物質であり、力そのもの。すべてのスキルや秘術は、ただこのエネルギーを形作り、操る方法に過ぎないの』


 彼女の声は次第に教師のような響きになった。


『そして魂点——SP。これはあなたの存在の根幹を表すわ。SPが高ければ高いほど魂が強く、長生きでき、可能性も大きくなる。この世界は三つの柱を中心に回っている。進化、支配、決意。弱者は喰われる。強者は進化する。揺るぎない意志を持つ者がすべてを超越する』


 俺はこめかみを揉んだ。「完全にハードコアなリットRPGだな……続きをどうぞ」


 賢者は頷き、再び手を振った。すると、ビデオゲームのステータス画面のように、透明な青いウィンドウが目の前にポップアップした。


『では、あなたをスキャンさせてもらうわ』


 名前:白秋(リリス・ノクターンとして転生)

 種族: 吸血鬼(真血 - 幼体)

 年齢:500歳(外見) / 35歳(魂年齢)

 レベル: 8

 魂点(SP):1,847

 魔力(ME):2,310 / 2,310


 スキル:

 - 夜視(種族 - 一般)

 - 完全感覚(種族 - 希少)

 - 生命吸収(種族 - 達人)

 - 魂喰い(種族 - 超級)

 - 完全適応(超級)

 - 大賢者(最上位 - 封印中)


 称号:

 - 異世界転生者

 - 大賢者の魂縛主


 ステータス:

 筋力:21

 敏捷:28

 活力:35

 魔力:67

 魂力:94


 現在の状態:健康(直近の生命吸収ブースト効果中)


 賢者は優しく、しかし真剣な表情で俺を見た。


『今あなたはまだ弱い吸血鬼よ。体は幼体——脆くて未発達。でも、あなたのMEとSPはすでに普通の人間を遥かに超えている。小さな村の成人戦士のほとんどより高いわ。ただ、真の強者である大聖者クラスや、この世界を支配する存在たちにはまだ遠く及ばない』


 俺は浮かぶ青いウィンドウを呆然と見つめた。指で触ろうとしても、手がすり抜けた。


「……マジでヤバいな」

 俺は小さく呟いた。「完全にゲームのステータス画面じゃん。レベル8? あの巨大猪一匹倒しただけでレベル8? それに大賢者のランクが『最上位』って……さっき言ってた通り、一般・希少・達人・超級・最上位の五段階だよな? つまり俺のスキルは最上位ってことか?」


 賢者は少し誇らしげに、かすかに微笑んだ。


『その通り。最上位は頂点よ。現在存在する生き物のうち、ごくわずかしか最上位スキルを持っていないわ。でも私の力は大きく封印されているから、今はほんの一部しか使えない。あなたが強くなり、進化するにつれて、私の知識、魔法、能力がどんどん解放されていくわ。私のことを教師であり、禁断の秘術が詰まった生きた図書館だと思ってちょうだい』


 俺はゆっくり立ち上がり、素足で冷たい草を踏んだ。月明かりが白髪を輝かせている。小さくて華奢な手を見つめ、もう一度ステータス画面を見た。


「つまり完全にお荷物ってわけじゃないんだな……それは良かった。でもまだ、髪に足を引っかけて転ぶような小娘だ。さっきの猪より強いのが来たら終わりだ」


『だからこそ、慎重に動かないとね』

 賢者は言った。『あなたにはすごい可能性があるわ、主よ。異世界の大人としての経験と知識、真血の吸血鬼としての強力な種族スキル、そして私の大賢者システムを併せ持っている。大抵の人間は何十年もかけてようやく到達できる領域に、あなたは数年で辿り着けるかもしれない——生き延びられれば、の話だけど』


 俺は長く息を吐き、夜の冷たい空気で白く霞むのを見た。


「よし。新プラン。日の出前に安全な場所を見つける。吸血鬼と太陽は相性悪いよな? それから安全にレベル上げして、お前の力をもっと解放して、このちっちゃい体に合う服をなんとかする」


 賢者はくすっと笑った。初めて聞く本物の笑い声だった。


『賢明な判断ね。東へ半日ほど歩いたところに小さな人間の集落があるわ。でも静かに移動しましょう。死んだ猪の匂いが、もっと強い捕食者を呼び寄せるはずよ』


 俺は頷いて歩き始めた。長い白髪が地面を引きずらないよう必死に気をつけながら。この軽くて脆い体での歩行はまだ少し違和感があるが、直前の生命吸収のおかげで明らかに体が軽くなっていた。


「なぁ、賢者……もう一つ聞きたいんだけど」

 振り返らずに言った。「俺、この姿のままでいなきゃいけないのか? 大賢者なら変身魔法とか、年齢成長スキルとかないの?」


『いつかできるかもしれないわ。でも今は……可愛い白髪の吸血鬼の女の子のままでいてちょうだい』


 俺は大きくうめいた。


「最高だ。本当に最高。宇宙の奴、相当悪趣味だな」


 周囲の森は歩くにつれてますます暗く、生き生きとしてきた。奇妙に光る虫が木々の間を漂い、遠くで獣の遠吠えが響いている。


 俺は小さな拳をきつく握りしめた。


 35年間培ったゲーム知識、ぶっ壊れOPスキル、そして魂の中に住む本物の賢者。


 この世界は強い者が支配する?


 いいぜ。


 俺はゲームをプレイしてやる。


 そしてぶっ壊してやる。



リリス・ノクターンとして転生


名前:白秋(リリス・ノクターンとして転生)

 種族: 吸血鬼(真血 - 幼体)

 年齢:500歳(外見) / 35歳(魂年齢)

 レベル: 8

 魂点(SP):1,847

 魔力(ME):2,310 / 2,310


 スキル:

 - 夜視(種族 - 一般)

 - 完全感覚(種族 - 希少)

 - 生命吸収(種族 - 達人)

 - 魂喰い(種族 - 超級)

 - 完全適応(超級)

 - 大賢者(最上位 - 封印中)


 称号:

 - 異世界転生者

 - 大賢者の魂縛主


 ステータス:

 筋力:21

 敏捷:28

 活力:35

 魔力:67

 魂力:94


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