80.だってあなたがいないと寂しいから
体調が悪くなると、心も比例するように弱くなる。私は昔から一人に慣れていたので、アマダスと会う前は風邪を引いて一人で寝込んでいても、平気だった。
なのに今は……
「……寂しい」
どれぐらい時間が経ったのか、苦しくて頭がボーッとするので分からないけど、十分ぐらいは経った気がする。
体調は一向に良くならないし、水を飲もうと思って魔法を使おうとしてみたけど、上手く使えなかった。
いくら風邪を引いたからって、魔法ぐらい使えるはずなのに……
私は荒い息を繰り返しながら、本当に風邪なのだろうかと疑問に思いつつも、考えるのすら面倒くさくなって、頭を空っぽにして目を瞑る。
それからどれぐらい経ったのかは分からないけど、もう寂し過ぎて、涙を浮かべながらアマダスの事を考え、
「……早く……帰って、来てよ……アマダス……」
思わずそんな言葉を口から零した時、階段を急いで上がってくる二つの足音が聞こえて、勢い良く扉が開くと同時に、
「パラン!」
「あららぁ〜、これは想像以上ですねぇ〜」
アマダスとラト、二人の声が聞こえて私に近付いて来てくれる。
そしてすぐにラトは私のおでこ、首筋、胸、お腹と順番に触って、私の手を軽く握ると何か魔法を使う。すると、少しだけ体が楽になって……
「パランは大丈夫なのか?」
「はいぃ〜。深刻ではないですねぇ〜。パランさん、熱と倦怠感以外は無いですかぁ〜?例えばぁ〜、吐き気、頭痛、痺れとかぁ〜?」
ラトの言葉に首を横に振ると、安心した様なニコニコの笑顔になって頭を優しく撫でてくれながら、ラトは口を開く。
「魔法の使い過ぎですねぇ〜。二日程安静にしていればぁ〜、ほぼほぼ全快すると思いますぅ〜」
言葉を言い終わると同時に、ラトは収納魔法からタオルと小さめの不思議な赤い果実を二つ出してくれ、
「明日、明後日で一つずつぅ〜、食べて下さいねぇ〜」
私に見せた後、机に置いてくれると、
「アマダスちゃん、後は任せても良いですかぁ〜?」
「おう!」
アマダスに言葉をかけて部屋を出ようとしたので、私は出来る限り大きな声で、
「ラトさん……ありがとう……」
お礼を言うと、ラトは振り返って優しく微笑み、
「友達なんですからぁ〜、気にしないで下さいねぇ〜」
軽く手を振って部屋を出て行った。それを見送って、私は少し楽になったので体を起こし、アマダスの方を見てから、
「アマダスも……ありがとう……」
お礼を言うと、
「無理するな、パラン。今日はゆっくり寝るのじゃ」
アマダスは優しく背中をさすってくれ、柔らかい声で言葉をかけてくれる。それが何だか異様に嬉しくって、泣きそうになったので、
「タオルを……取って……」
私は誤魔化すようにアマダスにタオルを取ってもらい、全身が汗でびしょびしょなので、
「……ちょっと……後ろ向いてて……くれる?」
一度アマダスに後ろを向いてもらい、胸の下の『邪紋』が見えない事を確認して、私は服を脱ぎ下着姿になって、
「アマダス……拭いて……」
アマダスにタオルを差し出して、私の体を拭いて欲しいとお願いした。
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