79.おかえりをあなたに
宿屋までの帰り道、たまたまパンの中にお肉を入れたミートサンドが屋台で売っていたので、昼ご飯にと五個買って帰り、アマダスと私は自分の部屋の扉を開く。
「ただいまじゃ!」
「おかえり」
相変わらず上機嫌なアマダスと、やっと落ち着きを取り戻せた私は早速ベットに座って、ミートサンドを食べ始める。
「美味いぞ!」
「うん。美味しいね」
出来立てでまだ温かく、少し硬いパンの中に薄く切られた柔らかいお肉が沢山入っていて、ものすごく美味しい。
そんなミートサンドを私はゆっくり、アマダスは勢い良く食べ、私が一つ食べ終わる頃にはアマダスは三つ目に手を伸ばしていた。
私は最後の一つを取り、はむっと一口ずつ食べ進んでいき……半分程食べた時、急にお腹いっぱいというか、体が何故か受け付けなくなった。
私はそれを不思議に思いながらも、残すのは嫌なので、
「アマダス、お腹いっぱいになったから、あーん」
「おっ!くれるのか?あーん」
すでに三つ目を食べ終わっていた、アマダスに全てあーんしてあげて、ミートサンドはなくなった。
それから、
「ふぅー」
私はどこか疲れてベットに寝っ転がると、アマダスも私の隣に寝て、抱きついてくる。でもなんだか、いつも通り抱きしめられているはずなのにそれが苦しくって、出来るだけ優しく言う。
「アマダス、あんまりぎゅってしないでくれたら、嬉しいな」
「す、すまん。これでいいか?」
アマダスは少し焦ったように力を抜いてくれ、私はアマダスの頭を優しく撫でながら、
「ありがとう」
お礼を言って、目をつむる。そして数分と経たず私は眠りに落ちた。
◆
……熱い、苦しい、体が重い。誰かが何かを言っている。起きないと……でも、体が言う事を聞いてくれない。
私は一体どうすれば……なんとかしないと、どうにか……あぁ、だめだ。このまま私、暗闇に……
「パランっ!」
アマダスの今にも泣きそうな、私を呼ぶ声が聞こえて、いきなり意識が覚醒し、バッと目が覚めて明るい光が目に差し込んでくる。
それと同時、体が異様に重くて熱っぽく、寝ているときにかいた大量の汗の嫌な感覚が、全身を襲ってきた。
「はぁ……はぁ……」
おまけに荒い息を繰り返さないと苦しくて、私は必死に体を起こして、アマダスを見る。でも、それだけで体はフラフラで、
「パ、パラン、大丈夫か?」
そんな状態の私を、アマダスは泣きそうになりながら必死に心配してくれる。でもこれは、
「……大丈夫じゃ……ない……かも……」
「ど、どうすれば良いんじゃ?我、分からんぞ……そうじゃ、回復魔法は……」
私は首を横に振って、意味がないと伝える。回復魔法はあくまで傷を治す魔法で、熱だったり、体のだるさなんかをなんとか出来るものじゃない。
正直私も、ここまで体調が悪くなったのは初めてでどうすれば良いのか分からない。
おまけにここはアトヤ王国で、頼れる人なんてミラーナさんとラトしかいない。ミラーナさんは流石に気が引けるので、私は迷惑をかけること承知で、必死に口を動かす。
「アマダス……ラトを呼んできて……冒険者……協会に……いる……」
「大丈夫じゃ、分かったぞ!冒険者協会におる、ラトを連れてくれば良いんじゃな?」
アマダスの言葉に私は頷くと、アマダスは物凄く焦りながら部屋を出て行った。
そして部屋に一人残った私は、体をゆっくりと倒してベットに横になり、馴染みのない天井をただただ苦しい中見つめながら、アマダスの帰りをひたすらに待った。
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