78.万物に愛されし少女
「ただいまじゃ!パラン、大丈夫か?」
扉が開くとアマダスは私の方へと一目散に駆け寄ってきて、何故か少し照れて頬を赤くしたラトが、続けて部屋へと入って来た。
「おかえり、アマ……んっ」
私は笑顔でアマダスの方を見ると、いきなり服を掴まれ、避ける間もなく唇にキスをされて、
「んっ♡……我は、パランが一番大好きじゃ!」
無邪気な笑みでそんな事を言われて……
「あ、ありがとう……」
「良いものが見れた」
「ほわわぁ〜」
私は顔が物凄く熱くなって、心臓をバクバク鳴らし視線を彷徨わせながらお礼を言うと、ミラーナさんの嬉しそうな声と、興奮したラトの声が聞こえて、さらに恥ずかしくなり顔を覆うと、アマダスは私からミラーナさんに視線を移す。
「話は終わったのか?」
「ええ。アマダス、昨日と今のお礼。受け取って」
「すごく綺麗じゃな!礼を言うぞ」
私と同じ金色の結晶のネックレスを貰い、嬉しそうに仕舞うと、
「パラン」
いつもの様に私の名を呼んでくれ、手を差し出してくれたので、掴んで立ち上がると、
「もう行くの?」
ミラーナさんが微笑ましそうに聞いてきて、
「おう!」
私より先にアマダスが元気よく答えると、
「また会いましょう〜!約束ですよぉ〜!」
まだほんの少し顔を赤くしているラトが、ニッコリと笑い、私とアマダスに握手を求めて来たので、ぎゅっと握ってあげ、
「またな!」
「またね」
アマダスと私が言葉を返すと、ラトは物凄く嬉しそうな表情を浮かべて、
「えへへぇ〜、いつでもお待ちしてますぅ〜!」
大きく手を振って来たので、私とアマダスも手を振り返すと、後ろでミラーナさんも小さく手を振り返してくれ、私とアマダスは部屋を出た。
それから階段を降りて冒険者協会を出ると、
「と、取り敢えず、宿屋に戻ろっか」
「そうじゃな!」
上機嫌なアマダスと一緒に、まだ恥ずかしくて心臓がバクバクしている私は宿屋へと戻った。
◆
「ふふぅ〜、パランさんとアマダスちゃん、本当に仲の良いカップルですねぇ〜、お姉ちゃん」
「うん。凄くお似合い」
パランとアマダスが帰り、部屋の中にはいつも通り、覇者兼冒険者協会南支部のリーダーミラーナと覇者兼冒険者協会南支部の副リーダーラトの二人だけになる。
「お姉ちゃん、パランさんはやっぱりぃ〜、スマーラ王国出身でしたかぁ〜?」
「うん」
「『邪紋』は消せましたかぁ〜?」
「いや、消せなかった」
可愛い妹の問いに、ミラーナは少し声を落として首を横に振る。そんな姉にラトは驚きながら、
「もしかしてぇ〜、【最上級】だったんですかぁ〜?」
「そう。本物を初めて見た。パランは間違いなく、あらゆる者に愛されてる」
「……愛され過ぎも毒ですねぇ〜」
外の景色ではないどこかの景色を窓から見ながら、ミラーナが言った言葉にラトは少し間をおいて、きっと姉妹で同じ景色を見ながら悔しそうに言葉を返した。
もっと力があれば、もっと強ければ、もっと魔法が扱えたら、二年前に全てが終わっていたはずなのに……
「パランの為にも、スマーラ王国の上位貴族と王、そして、王の後ろにいた奴を見つけないと」
「もちろんですぅ〜。苦しんでいる友達を〜、見殺しにするわけにはいきません〜」
ミラーナは怒りがこもった瞳で、ラトは拳を握りながら言葉を零して、辺りの空気をピリつかせながら、二人はいつも通り、スマーラ王国から逃げた王達を探すため部屋を出た。
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