42.世界で一番怖い事
朝。太陽の光と、少しばかりのお腹の苦しさで目が覚める。
目を擦りながら、昨日食べ過ぎたからお腹が苦しいのだろうか?と、お腹を触ろうと手を伸ばすと、何かに当たる。
「これは……アマダス?」
どうやら当たった何かは、アマダスの頭で……私の服の中にアマダスは頭を突っ込んで寝ているらしい。
「ア、アマダス起きて、朝だよ」
私は驚きながらも体を揺すって、アマダスを起こそうとする。でも、全然起きる気配がなくって……それどころか、
「おお……美味そうじゃ……」
「ちょっ、んっ♡」
アマダスはなにか夢を見ているようで、ペロペロとお腹を舐めてくる。
「お、起きててばっ!アマダス。ねぇ!」
「これは、美味しいぞ……パラン……」
「本当にやめて……あっ♡んっ♡」
アマダスのせいで変な声が……早く起こさなきゃ。私はそう思って取り敢えず起き上がり、ベッドに座る。
そしてそのまま、引き剥がそうとアマダスの肩を掴んで押すと、ぎゅっとアマダスは腕に力を入れて私に抱き付き、離れまいと抵抗する。
そうなれば、いくら寝ているとはいえ元々私よりもアマダスの方が力が強いので……
「ア、アマダス……起きてるでしょ?は、離してよ……もうっ!」
案の定、私は負ける。それにちょっと腹が立ち、
「起きて、アマダス!じゃないと嫌いになるよ。今日は私一人で……うぐっ……」
私がちょっと怒りが籠もった言葉を口から出していると、思いっ切りアマダスに抱きしめられて、
「き、嫌いにならないでくれ……」
小さくアマダスは私のお腹でそう言葉を零した。いきなり返ってきた言葉に私は一瞬動揺しながらも、それを誤魔化して、
「今離れてくれたら、アマダスの事大好きになっちゃうかも」
早口になりながら、なんとか言葉に詰まらずに言い切ると、いきなり起きて服の下からばっとアマダスが顔を出したかと思ったら、
「本当か?本当かパラン!」
子供の様に笑いながら、ぴょこぴょこする。私は自分が言った言葉に後悔しながらも、返す言葉を必死に考える。
そして視線を逸しながら、小さな声でまた誤魔化す。
「か、かもだから、まだ……大好きにはならいかな……」
それにアマダスは何故か嬉しそうに笑って、ぎゅっと一回私に抱きついてから離れると、両手を大きく広げて、嬉しそうな顔そのままに機嫌良さそうに言う。
「パラン、ご飯を食べる時間じゃ!」
「まあ、それはそうだけど……ちょっと待ってね」
私は、よだれで大変な事になっているお腹を見る。これ、着替えた方がいいよね……
「アマダス、後ろ向いてよ。そして、私がいいよって言うまで、絶対に振り返らないで」
「分かったぞ」
私のいつもより強い言葉に不思議そうにしながらも、アマダスは後ろを向いてくれた。
それを確認して、念のため胸の下を見られないよう、アマダスに背中を向けて、素早くベッドの下にある服とタオルを入れてある場所に手を伸ばして取ると、お腹を拭いて服を脱ぐ。
と、丁度服を脱いで新しい服を持った時、視線を感じて首だけで振り返ると、
「そ、その……」
いつの間にやら振り返っていたアマダスと目があって……すぐに私は、アマダスからは背中しか見えていない事を確認して安心しつつも、ぎゅっと持っている服を握りしめて、震えながら、
「い、良いよって……言ってない」
ぎりぎりアマダスに届くであろう声で、ぽしょりと言うと、
「す、すまん」
アマダスは申し訳無さそうに謝って、また後ろを向いた。私はその隙にとにかく急いで服を着て、何回か深呼吸をした後、
「もういいよ」
出来るだけいつも通りの声でそう言い、振り返ってきたアマダスに手を差し出して、私は決心しながら手を握る。
……次からは絶対、着替える時は部屋から出よ、と。
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