14.創造
『無窮の扉・第三層』
ここが薬草が取れる最後の階層。そして、弱い魔物しか出ないというのも三層まで。
「第四層からは広い場所はあっても、一層から三層までの大広間みたいに、壁がほぼないすごく広い空間は無くなるから、難易度がすごく上がるんだよ」
魔物がまたいない大広間を歩きながら、アマダスは私の言葉を半分聞いて、ドラゴンを探し回っている。
でも、戦っている音や形跡は特にない。というか……
「前の階層の時にも思ったけど、やけに静か」
冒険者協会の建物が空になるぐらいの人が、ダンジョンに行ったはずなのに、そもそもここまで誰一人として冒険者を見ていない。
そう考えると何かおかしいような……
「パラン、あっちに行ってみよう」
「う、うん……」
私は少し戸惑いながらも、止まることなく歩き続けるアマダスに付いて行く。
一歩、また一歩と歩く度に嫌な予感が心の中でこだまして……思わず私は口を開く。
「ア、アマダス……今日は帰った方がいい気がする」
「どうしてじゃ?パラン」
「すごく嫌な予感がする。だから……」
私がアマダスを引き止めようとした時、大広間の何かを囲む様に無数にたった柱と柱の間を通り抜けた。
その瞬間、体の底から湧き上がってきたゾッとする程の震えに体が支配され、
『ガァァァァゥ―――――グウォォォ―――――』
次いでドラゴンの鳴き声、それと血の匂いが耳と鼻を襲う。
「ア、アマダス……逃げるよ」
さっきまで影すらなかったドラゴンから、私は思いっ切りアマダスの手を引いて、後ろを向いて来た道を戻る。柱を通り抜けるまではたった二、三歩。そのはずが……
「なんで……なんで戻れないの?」
走っても走っても景色は一向に変わらない。同じ所をぐるぐると回っているようなそんな感覚で……
「パラン!パランっ!」
アマダスの声にハッとする。アマダス……アマダス、どうしよう……
「落ち着けパラン。我が何とかする」
振り返って見たアマダスは、不思議と落ち着いていて、その言葉を聞いて私は立ち止まる。
すると、アマダスは私をぎゅっと抱きしめて、初めて見る優しい笑みを浮かべながら、私の瞳を覗き込んで言う。
「パランは我が守るんじゃ」
その言葉を言い終わった瞬間、アマダスは後ろを向いてドラゴンへと駆け出す。
アマダスの初めて見る走る姿は、どこか洗礼されていて……白い魔力を纏うと辺りに火の玉を出現させ、こちらに向かって来たドラゴンにぶつける。
先程覚えたばかりというのに、私よりも威力が高いその火の玉一つ一つは、白い光を発しながら大きく爆発し、辺りに煙が漂う。
けれどドラゴンは煙を振り払って、アマダスを青い瞳で睨むと、地面が揺れるほどに大きな鳴き声をあげる。
『グォォォォォォ―――――』
傷一つ付いていないその体に、アマダスは少し苛立つような顔をしながら、また火の玉を無数に出現させる。
すると、それと同時にドラゴンは大きく翼を広げて……
「アマダス逃げてっ!」
私は精一杯の声を出して、アマダスに願う。
翼を広げたドラゴンの体はギラッと白に輝く。最初に見た時から嘘だと思いたかった。嫌な予感の正体がそれでないとそう……
ですが、そのドラゴンはアマダスと同じような魔力で体を覆うと、その巨体からは考えられない速度でアマダスに突進して行った。
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