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ROLL.14:ウタカタ。

悲惨な光景を目にしたくないあまり、思わず目を閉じた。


ガギィィン――


「!?」

耳朶に突き刺さった、無機物同士がぶつかり合う音に驚いて目を開ける。

そこでオレの目に飛び込んできたのは―――――

驚きで目を見開く堂陰と原研のメンバー。

そして――


堂陰の兇刃を、朱に輝く刀で受け止めている、一人の武士の姿だった。


(あかがね)色の着物を纏ったその武士が口を開く。

「某の恩人に狼藉は許さぬぞ、堂陰」

朗々とした声が部屋に響く。

「き、きき貴様っ…!鞍富 獅子正!?」


やっぱり。


いっぱしのヒーロー気取りかよ。

ちょっぴり格好良いのが悔しいところだ。

「確かに、〈命〉還してもらったぞ」

刀を見せつける。

その刀は薄暗い空間の中でそれ自体が発光しているかのように灯火の仄明かりをさんさんと、まるでお天道様のように反射して輝いている。

その光景を見ながら、堂陰は口をパクパクさせている。

「貴様、死んだ筈では…そう、我がこの手で確かに其の首を…」

「死んでいると言うならば貴公も同じ事だろう。これを機に、某と共に天へ召されてはくれぬか?」

「馬鹿を言うな!」

狂ったように刀を振り回す堂陰。

だが、獅子正は其の斬撃を容易く見切り、堂陰の利き腕を、刀を握っているその腕を一刀の下に斬り落とした。

噴き上がる鮮血。

響き渡る絶叫。

「ぬぅうおォぉっ!獅子正貴様ぁっ!」

「我々は此処―現代―に居るべきではない」


―――淀み(この世)に浮かぶ泡沫(人々)は――


――久しく留まりたる(ためし)なし―――


――――いずれも儚く消え往く運命(さだめ)――――


そう言った獅子正がこちらを振り返る。

「黙雷殿。堂陰の供養、お願いできるか」

「……解った」

堂陰に向かって足を踏み出す。

オレの得物が彩光を放つ。

錆びて刃こぼれした部分を補うように光が刀身を包み込む。

コイツも、やる気みたいだ。

「止めろっ!来るな!餓鬼が、来るんじゃないッ!来るな、来るな来るな来るなぁぁッ!!」

戦意を失った堂陰が、傷口を押さえながら必死で叫ぶ。

あぁもう。

やりにくいったらありゃしねぇ。


けど、けじめはちゃんとつけとくべきだ。


「間流古典斬鬼術――――」


刀身の光が紅蓮に変わった。


「澌尽灰滅(しじんかいめつ)――」

その色はまるで悪しき魂を浄化する煉獄の業火のようだった。

「止め――」

「罪改めよ、鹿賀 堂陰」

オレの烈火の如き一突きが、堂陰を射貫く。

「今回、〈現象〉の意志は尊重できない。犯した罪は償うべきだ」

目も眩むほどの閃光が、室内に弾けた―――――。



しばらくして。



皆の目が回復した頃には、堂陰の姿はもう無かった。

「やった、か…」

部長が言う。

…論点ずれてません?オレらの目的は堂陰を倒す事では無かったはずだ。

ざり、と座り込んでいたオレの前に人の気配。

顔を上げると、そこには獅子正が。

「黙雷殿。そして皆様方、この度は厚く御礼申し上げる」

そして深々と頭を下げられる。

オレは立ち上がりながらその頭を上げさせた。

「いいって。自分達からやり始めたことだし」

「しかし、よく某の命が解りましたな」

「いや、武士の命ったらやっぱり刀だしな。何しろ鞘当てでこの無礼者メ、ズバーッってなるぐらいだし」

「ほぉ……」

感心したように風情の獅子正。

「まぁとりあえず、なんだ。外に出ようではないか諸君」

眼鏡を上げながら、部長がその場をたたんだ。

しかし――

「どうやって出ますか?あんなスライダー上がれませんよ」

「それは問題ない。大概このような所には建設者たち使ったもう一つの出入り口が存在する筈なんだ」

確かに。

映画とかでも良くあるよな、そんな話。

結果としてその言い分は正しく、出入り口を見つけたオレたちはようやく堂陰塚の地下古墳を後にしたのだった――



やった!ヘルプキャラの手助けもあったけど、ついにラスボス倒した!(笑)

…なんて(^_^;)

堂陰には彼なりの考えがあったかもしれませんが、やはり「罪には罰」なのでしょうね。


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