第七話「フェスのことを知れば、フェスはもっと楽しいかもよ?」
これはフェス13回前に書いたものであります、と先に記帳しておきます。
今日も今日とて静かな住宅街の一角、妙に大きい日本邸宅にまず一人。サティスファクション都である。それ以外には、犬飼美咲の姿があるだけである。そう言う訳でオーソドックスな二人会話で今回は進む模様である。
「訳の分からない説明はさておき。フェスよ、美咲」
「フェス?」
「フェス」
「フェス、というとお祭りだね。何をするの?」
「戦うのよ」
「戦うの?」
「そう、戦うの。日本中の皆が、二つの勢力に分かれて、戦うのよ!」
バアン! と、けたたましい音が突如なる。見ればサティスファクション都の腕が二つ増えて、ドラを鳴らしたのだ。そこまでする必要があるのかと言う気がするが、そういう気持ちになったのだ、という顔を、サティスファクション都はしている。
「もうちょっと具体的に話してくれないと意味が通じないよ、都ちゃん」
「そうね」
サティスファクション都は腕とドラを引っ込めると、元ある腕でペンを持ち、再び、しかし一つだけ出した腕の持つ紙にすらっと一筆。
“フェスのことをを知れば、フェスはもっと楽しいかもよ?”
「じゃあ、フェスのことをちゃちゃっとまとめておきましょうか」
「そもそもフェスってどういうことをするの?」
美咲の質問に、サティスファクション都は明確に答える。
「言ったでしょ? ナワバリバトルよ」
「……それ、いつもと同じじゃない?」
「そうね。基本的にはナワバリバトルだから、そう思っちゃうわよね。でも、違う所もあるのよ?」
「どう違うの?」
「まず、街中が華やぐの。美咲もプレイしているなら、昨日のうちにハイカラシティにトレーラーがあったのは気付いているでしょう?」
「うん、なんかあったね。あれがどうなるの?」
「それは……見てのお楽しみってことにしましょうか」
「いきなりはぐらかすの?」
「最初の時の何とも言えない高揚感を、奪うのは勿体ないと思ってね。慣れてくると、ああ、始まるのか。ってだけになっちゃうし」
「慣れちゃったの?」
「流石に12回全部やってると感慨も何もないわね。それはさておき、次の違いはね、先にも言ったけど、二つの勢力に分かれて、戦うことよ」
「それが、いつもと違うのはなんとなくわかる。今までのナワバリバトルだと、特に勢力とか無かったし」
「そうね。通常のナワバリバトルだと、8人が集まった後ランダムでチーム編成されるけど、フェスの場合は互いの勢力の4人ずつでなるのよ。そして、繰り返し同じチーム、同じ面子で戦う、というのも可能なの」
「普通のだと、味方だったり敵だったりだものね。となると、結束感が出るってこと?」
「そうね。特に前回の12回目で同じチームが続くと何回同じか、ってアイコンが出るようになったから、より一緒に戦っている感が強まるわね。上手いことバランスの取れたチームでやれると楽しいわよ? ピーキーなチームでも楽しいし、同じブキ使いが集まるのもまた楽しいわね。そして、勝てば勝つほど自陣営の勝率が上がるのね。それが最終的な陣営の勝敗に影響してくるの。勝てば当然、いい目が見られるの」
さて、次。とサティスファクション都。
「普段のナワバリバトルとの違いとして、称号とフェスパワーについて話しましょうか」
「称号と、フェスパワー」
「そう。まず称号ね。これはバトルした後に入る特別なポイントで上がるものね。勝利すれば勿論高く入るけど、塗っただけでも少しは入る。そういうポイントを溜めて、称号を上げていくの」
「上がると何かあるの?」
「前にギアパワーの話で、スーパーサザエの話はしたけど、覚えているかしら?」
「なんだかあったね。ギアパワーのサブのやつをつけたり付け替えたりするのにいるとかなんとか」
「そうね。で、この称号が高くなればなるほど、そのスーパーサザエの貰える量が増えるの。自陣営が勝てば、更に多くね」
「それが、いい目なんだね」
「そうね。でも、負けても称号が高ければ、そこそこは貰えるから、挫けなくても大丈夫よ?」
ただ、とサティスファクション都。
「最高の称号のえいえんになるまでには、結構時間かかるけどね」
「どれくらい?」
「……まあ、遅くても5時間くらいよ」
「わりとあるね」
「腕前次第では、2~3時間程度で済むんだけどね。でもまあ、フェスは丸一日、24時間あるから、上手くタイミングを見計らってプレイに没頭すればいいだけよ」
「それ大分廃人な台詞だと思うよ、都ちゃん」
「私もそう思うわ。でも、それだけスーパーサザエは魅力なのよ! だって普通に回すと三万だから、一つ三万として、えいえんで敗北陣営だとしても18個もらえて、だからポイント換算すると54万よ!? そこまで稼ぐ時間を考えるとどれだけ美味しいか!」
「確かに通常だと何十時間もかかるね……」
でしょ? とサティスファクション都。
「それはさておき、フェスパワーについても話しておきましょうか」
「フェスパワーってなんなの?」
「それはね、まあ、自分の腕前の数値、と言う程度かしら。最初にランクとガチマッチのウデマエ辺りを勘案して最初の値が出て、それからフェスを戦って勝利すると上がり、負けると下がっていくの」
「だったら明確な腕前というべきなのかな?」
「それがはっきりするのは結構戦わないといけないわね。ウデマエがC帯くらいだと1000出発で、そこから一回で20くらい上がって、だからね」
「長くやっているとある程度分かってくる、と言う感じなのかな?」
「そうね。前回のフェスでは上位は2000とか行ってたけど、そこまでは相当やってないと出ないでしょうから、あんまりガチに考えないでもいいことかも知れないわね」
ああそれと、とサティスファクション都。
「仲間はフェスパワーが近い者同士で組まれるし、相手も同じくらいのフェスパワー帯だから、無茶苦茶腕前の差があってぼろ負け、というのは少ないわね。導入前は相手が異常に強いと感じる場面も多かったけど、これで少し緩和した感じね」
さてと、とサティスファクション都。
「フェスについては大体こんなものね。美咲、どういうことをするか分かった?」
「色々と要素が増えたナワバリバトルをする、でいいかな?」
「まあ、ぶっちゃけそういうことだけどね。でもね、それだけのことだけど、なんだか妙に楽しいのよ? チームを組んでいると感じる時の楽しさとか、普段ガチ専の人達のプレイの違いを感じたりだとか、自分は余裕で勝てていると思ったのに最終結果で負けてえーっ!? ってなるのとか」
「最後、楽しいの?」
「当然よ。全力でやった後、というのはそれはそれは楽しいものよ? 結果がどうあれね。確かにえいえん狙って何時間もとか、パワー上位を狙ってとかは大変だし、あんまり強くオススメしないけど、それはそれでやっただけの楽しさはあるからね? そういう時間を、ちゃんと遊びとしてきっちり楽しむのが、ゲーマーとしての務めだと、私は思うわよ?」
そんなものかな、と美咲。
そんなものよ、とサティスファクション都。
「フェス、存分に楽しみましょう」
そう言って、サティスファクション都は話を終えた。
フェス手前だったのでちょろっと書いておきました。フェスは初めての時は本当に上がりましたが、流石に13回目では目新しさというのは。といいつつやるのだから自分も十分ガチ勢なのかなー。とかなんとか。




