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剣と龍と神  作者: カナメ
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七十話

本日三話目!

一応明日も投稿予定!まる!

ファラを救出して無事にロードギアへ帰ってきたオレ達は早速、二手ふたてに分かれることにした。

ヴェルガードが率いるパーティーメンバーはオッサンと道雪と十郎太の四人。

……どいつもこいつも近接戦闘しか出来ないバランスの悪いパーティーだが、ヴェルガードは問題ないと断言した。

いや確かにこのメンバーなら近接戦闘なら大抵の敵は相手にならんだろうが本当に大丈夫か?

搦め手に対応できるのか、こいつらは?



「大丈夫、問題ない」



ヴェルガードはそう言い切るが……なんだろう不安だ。むしろ不安しか感じない。

そんなオレの心配など杞憂だと笑い飛ばしてヴェルガード一行は出発した。





















「というわけでマスター、我々は傭兵としてアースガルズ王国に参戦するのですね」



「あぁ、無難にね。ホトや『剣鬼』側で戦いたくないだろ?」



「あぁ絶対に嫌だ」



ファラが死んでも嫌だって位に力強く否定した。

まあオレもその気持ちはわかるので何も言わん。

こちらのパーティーメンバーはオレとファラとルシス、そして対『剣鬼』戦のアドバイザーでもあり、ヴェルガードとの連絡役でもあるキーリカだ。

もちろん、戦力としてもアテに出来る頼もしい存在だ。

何せ現在の『鬼界』の支配層である『八鬼王』の一人だし。ジーッとキーリカを見つめるオレに、キーリカが何を勘違いしたのか赤面している。

……外見も中身も色男なキーリカは、しかしさりげない仕草が妙に色っぽくてドキリとする場面が少し、いや多々ある。これがギャップかと思わず唸るほどに。



「カイン、遂に『剣鬼』に対しても色狂いしたのか……。残念だが正気に戻す為にも一度殺さなくては」



「いきなら物騒な発言はやめて下さいファラさん。剣を構えるな。あと命は一つしかないから皆一生懸命に生きるんだよ」



命の大切さについて懇切丁寧に、三十分かけて説明してようやくファラは落ち着いてくれた。

オレはキーリカを見つめるだけでも命がけかよ。



「どうしたんだい、カイン?わたしを情熱的に見つめて……欲情したのかい?」



おいコラ、そんな不穏な発言を思いつきで口にするな。

そんな事をしたら……。



「早速か、カイン?命の大切さとやらはどこにいった?」



いやどこにも行ってないし、移動すらせずにそこにあるから。

まずは冷静になれファラ。



「マスター、ワタシ達には飽きて『剣鬼』を選ぶのですか?ならマスターを殺してワタシも死にます」



飽きてないし、これから先も飽きることはないからとりあえず剣はしまえルシス。

あと発言がヤンデレ気味だから気をつけて。

主にオレが。

何とか思いつくままに口を全力で動かした結果、二人は落ち着いてくれた。

そんな精神的に疲れはてたオレに、キーリカは容赦なく追撃してきた。



「それで?何か物珍しいものでも目に止まったのかい?わたしの胸はあの二人に比べると控えめだからあまり触っても楽しめないと思うが?」



「お前は一々他人をからかわないと話せないのかキーリカ?」



「おや気を悪くしたかな?すまない、性分なんだよこれが」



「……やれやれ。オレがお前を見つめていたのはその目が気になってたからだ。他の『剣鬼』とは全然違うからな、色が」



そう、今まで見てきた『剣鬼』は目が黄色だった。

生まれ変わりであるヴェルガードは除外しても道雪や十郎太、それにキーリカの私兵である『剣鬼』も全員が。

なのにキーリカだけ違う。

気にならない方がおかしい。



「この翡翠色の目がそんなに不思議かい?」



「あぁ、今まで見たことないからな。翡翠色の眼球なんて」



「それはそうだろうね、これは特注品だから」



「特注品?」



それはつまり……。



「私のこの目は義眼だよ……あぁ、そんなに気まずそうな顔をしないでくれ。わたしはこの目を気に入っているんだから」



「……やはり失明したキッカケは前の大戦か?」



「ご名答」



キーリカが楽し気に答えるが、オレはまるでそんな気になれない。

可能性としては低くても、キーリカの目を奪ったのはもしかしたらファラやルシスなのかもしれないのだから。

オレと同じ答えに行き着いたのか、今まで敵意をこめてキーリカを睨んでいた二つの視線が消失した。



「……何だかやけに落ち込んでるみたいだがわたしの失明に貴女方は関係ないぞ。確かに『剣龍』との戦いで失った目だが半ば自業自得だったし」



「そうなのか?」



「あぁ、それにこの義眼にも愛着があるし、見える世界は失った目と同等……いやそれ以上に美しく映るからな」



ニコッと笑うキーリカの笑顔は『剣鬼』とは思えないほどに人懐っこいものだった。



「そうか。……さてルシス!」



「はい、何でしょうかマスター」



場の空気を変えるようにオレはルシスを呼んだ。



「聞きたいことがあってな。オレ達は傭兵として今回の大戦を戦うわけだが具体的にはどうするんだ?ヴェルガードからはあまり目立つなとも言われているが、傭兵としてオレはこれからが初仕事だから勝手がわからん」



だから困った時のルシス先生だ。

ファラは?

ルシスにどうせ丸投げするから最初からルシス指名だよ。



「では説明させていただきます。戦争における傭兵には稼ぎ方が二種類あります。まずは依頼主に指定された戦場で戦う『請け負い』タイプ。もう一つが『賞金首』タイプです」



ファラが内容を補足するようにルシスの説明に割り込んでくる。



「前者は世間一般の傭兵の稼ぎ方だ。報酬は戦争前に話し合い、一定だ。プラス戦果の出来高払い、もちろん戦争自体に勝てばだが」



割り込んでくるなら最初から説明役に立候補すればいいのに……。

まあ説明役に買って出ても途中で飽きてルシスに丸投げするのが目に浮かぶが。



「負ければタダ働きか。参戦する国を見誤ったら目も当てられないな」



だから負けた側の傭兵はすぐさま野盗やらに鞍替えするわけだ。

傭兵ギルドに属している傭兵はそんな事をしたら『七欲』の処罰対象になるけど。

ルシスに聞いた限りでは『七欲』って傭兵ギルドを取り締まる立場で結構大変な仕事らしい。

……人格、性格はこの仕事にはあまり関係ないのか?



「はい、ですから傭兵は勝てる国を慎重に見極めます。出来なければ死ぬだけですから。我々の場合、今回ばかりは参戦できる国を選べませんけどね」



「ファラやルシスは本当にいいのか?」



オレが何を言いたいのか分からず、二人は首を傾げている。



「二人は今まで戦争には一切関わってこなかっただろ?いいのか、人間同士の戦争なんかに巻き込まれても?『剣鬼』が参戦するタイミングはまだ先だ、当分はアースガルズ王国とミクトラン帝国との二大国での戦争になるはず。二人……いやキーリカを含めた三人は参戦時期をズラしてもいいんだぞ?」



「マスター、まるでこれは自分だけの戦争だと勘違いしていませんか?」



ルシスの鋭すぎる言葉に、オレは二の句を告げられない。

そんなつもりで言ったわけじゃないんだが。



「今回の戦争はロードギア全体の問題です。個人の信条、好き嫌いはこのさい別問題です」



ハッキリと言い切るルシスには何か鬼気せまるものを感じられたので、オレはそれ以上なにも言えなかった。



「さて、話を戻すぞ。後者の『賞金首』タイプは敵対国の有名な将を討ち取り、その首を味方の国に受け渡すと金を貰える」



ファラが気を取り直すように話を進めだした。

しかしその説明内容はまんま賞金稼ぎだな。



「このタイプは有名どころを倒さないと金を貰えないのがネックだが、報酬は『請け負い』タイプに比べて桁が一つか、その将の立場によっては二つほど違う」



まさに一攫千金だな。



「無名の将を何人討ち取っても意味はないのか」



「はい、ですが稀に戦場で派手に暴れた敵を討ち取っても賞金は出ます。ただ有名な将に比べるとどうしても額は見劣りしますが」



「アタシたちはどちらかと言えば『賞金首』タイプとしての参戦だな。ヴェルガードが目立つなっていう意味でもすぐ別の戦場に移れば問題ないだろうし、その方が色々と自由に動き回れるだろう」



「なら決まりだ。オレ達は『賞金首』タイプとしてこの戦争を戦い抜く。最終目標はホト達の計画阻止だ。『剣鬼』はそのついでだ」



「「「了解」」」



こうしてオレ達は大戦へと身を投じていく。

長くて短い大戦はこれから始まり、徐々に激化していく。

最終的な勝者はこの時点では誰も分からず、また予測すら難しい。

後に『鬼神大戦』に並ぶ世界規模の今大戦は『剣神大戦』と呼ばれる。

未来の歴史書にはそう書かれた過去の大戦だ。


正式に大戦名も決まりました。思いつきで考えた名前ですけどこれでいいなと作者は一人納得してます。


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