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剣と龍と神  作者: カナメ
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五十二話

ちょっとネタにつまってました~。お待たせしました!待ってた人はありがとう!待ってなかった人もありがとう!

半壊した砦からガレキが崩れ落ちる。

砦の内壁は完全に拠点としての機能が果たせないまでに徹底的に破壊されていた。

そしてその蹂躙した張本人達が本来の姿から仮の姿でこの地に降り立つ。



一人はショートの紅髪に白い腿丈の外套を着た気の強そうな美女。

もう一人が銀髪ロングにシルバーフレームのメガネをかけ、灰色の膝丈の外套を着たクール美女。



そんな場違いとも言える美女二人が、未だ燃え上がる砦が消火されていない周辺を闊歩する様子は、何だか現実味のない光景に映るだろう。しかしそんな事を気にも留めない二人の内の紅髪の美女、ファラは



「少しはすっきりしたな」



と笑顔で見渡す。

それを肯定するように頷く銀髪美女、ルシスも



「剣鬼の大半も同時に片付いたしね」



実に爽快といった表情だ。



「これで指揮官クラスの奴等も消滅してたら楽なんだけど……」



不意に談話する美女二人に同時に剣が振り下ろされるが、まるで予定されていた行動のような自然さで二人は一瞥すらせずに難なく回避する。



「そううまくはいかないか」



さほど期待してなかったように呟くファラの前には巨体の剣鬼が。

ルシスの前には左目に切傷のある剣鬼がそれぞれ対峙した。どちらの剣鬼も一見すれば人間だが、目だけは黄色く爛々と光っている。

その目に込められた感情は憎悪……などではなく意外にも歓喜だった。

それに気付いた美女二人が眉をひそめる。

予想していた眼差しの内容があまりにも違ったのがその理由だろう。



「…何故そんなに嬉しそうなんだ?」



かつて世界を巻き込んだ戦争相手、仇敵とは口もききたくないルシスがそう問うほどまでに剣鬼は笑みを浮かべている。負の感情など一切なく、まるで子供のような無邪気さゆえに。



「そりゃあ嬉しいさ!なんせ王達の伝承でしか聞いたことのない剣龍が目の前にいるんだぜ!しかも今まさに戦闘突入直前だ!!興奮するなって方が無理だろ!?」



左目に切傷がある剣鬼…十郎太が我慢できないとばかりに体を上下に動かしている。

まさに当てはまる気分はウキウキ状態というのは誰の目から見ても明らかなほどに。

巨体の剣鬼…デクリオンが補足するように



「すでに剣龍と直接戦ったことのある剣鬼は数が少ないのだよ。だからこそ我々の同族数万の軍勢を撃退した龍と戦える……そんな機会に恵まれた我ら二人は実に運がいいのだよ」



説明したがデクリオン本人も妙に興奮している様子だ。

そんな剣鬼二人の反応に



「……何だか予想外の展開ね」



ルシスが微妙な表情でファラに呟く。



「同感だ。こんな奴等に好かれてもこちらは少しも嬉しくない。……カインの左腕となった剣鬼はその分まだみどころがあるな」



「そうね。時間はかかったけど今はマスターを主人として認めたからまだこいつらよりはマシね」



そんな何気ない二人の会話に突然、十郎太が食いついた。

興奮状態から一転、美女二人を見つめる眼差しは鋭くなった。



「剣鬼……だと?」



先ほどまでの陽気さは一変、殺気まで発する十郎太の豹変に、ファラとルシスは同時に戦闘態勢をとる。



「……先に出発したのはレギオンの先発隊のみ。ならばその剣鬼はかつての同僚って事だ。そいつの所在をお前達は知ってる口振りだな?」



知っているといえば知っているな」



ファラの応えに十郎太の殺気が更に増す。



「ならば色々と聞かせてもらおうか?左腕やらカインとかいう奴の存在を、な」



一筋の光の線が十郎太の首に襲いかかる……が、それを紙一重で回避した。

光の線の正体はルシスの斬撃。

光速ともいえる斬撃は十郎太からしてもよく避けられたと自画自賛してもよい反応だった。

今のルシスの斬撃はそれほどまでの速度だったのだ。

だからこそ、完全には避けられなかった。

十郎太が自身の首筋に手を当てるとヌルリとした感触……血だ。



(かすったか。首と胴体が未だに繋がっている事に喜ぶべきか?)



十郎太の前に対峙しているルシスからは、十郎太に全く見劣りしない殺気が放たれていた。

剣鬼たる十郎太の背筋が凍ると感じるまでに。



「貴様ごとき存在がマスターの名を口にするな。答えるべき言葉は何一つとしてない、これは決定事項だ」



心が底冷えするような絶対零度の声が恐怖を刻みこむ。

ファラと対峙しているデクリオンの顔にもはや歓喜は皆無。ならば直接ルシスと対峙している十郎太は?

その顔色は青くなっていた。

この時点で十郎太はようやく悟った。

龍の逆鱗に触れてしまったと。



「……マスター、ね。どうやら剣神の一人だって事は確定か。会うのが楽しみだ」



強がると同時に自分自身を奮い立たせる意味もこめて強気な発言をするが効果は低いようだ。

だが震えは止まった。

今はそれだけでも十分だった……が。



「貴様はマスターには会えんよ。ここでワタシが塵芥ちりあくたにするからな」



どうやら本気はこれからだったらしい。体全体が軋むと錯覚するまでに押し潰さんとするプレッシャー。

いやもやはこれは錯覚などではなく事実、体が軋んでいる。体感できるまでにルシスから見えない圧力が発せられている。

もはや十郎太の顔色は青から白へ変化していた。

文字通り、血の気が引いているを体現している。



(こ、これが剣龍!!!?)



剣鬼という種族の中でも選ばれし八鬼衆の十郎太が絶句するほどのオーラ。

かつて世界の管理者の一角だった龍の幻影が冷然と十郎太を見下ろしていた。



(外見は確かに人間の女。だが中身は正真正銘、化物だ。我々剣鬼以上の!)



剣鬼の王達は忘れていない。

剣龍の強さを。

その恐ろしさを。

だから後世に残るように正確な情報を伝承として伝えた。

剣鬼という種族全体に。



だが果たして伝承だけでその恐ろしさ、強さは十二分に伝わるだろうか?

答えは否だ。

実際体感、体験しなくてはその恐怖の一端しか理解できないだろう。

いや、それすらも怪しい。

現に二人の剣鬼は当初、剣龍を前に歓喜した。

剣鬼の王達ならばどうだっただろうか?

きっと過去の経験から即座に戦うか退くかを判断し、行動に移っただろう。

結果、経験の違いこそが現状につながる。



「ファラ、加減はなしだ。さっさと片付ける」



「了解。このままでやるつもりだったけど、ルシスがその気なら仕方ないな」



そして幻影は実体へと切り替わる。

同時に見下ろしていた剣鬼が今度は見上げる側にも。



そこにかつて、幾千の剣鬼を殺戮した双頭の剣龍が顕現した。

今現在も八鬼王を震わせる強さを誇るその牙は、たった今二人の剣鬼だけに向けられた……。

次はカインサイドにご案内です。

いつになるかは未定です、すんません!!

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