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剣と龍と神  作者: カナメ
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四十三話

某漫画にありました。諦めが人を殺すと。作者が気に入っている名言です。

あれから更にレラフの部下らしき剣使が邪魔してきたせいで、余計な時間をとられていた。



危なげなくも一掃、ようやくコロシアムの外周部に到着した直後、信じられないほどの二つの魔素が衝突!

その余波に吹き飛ばされそうになるも、何とか内部へと突入した時、目の前にはヴェルガードを跪かせたレラフ。

そんなレラフが笑いながら告げる名は…



『鬼神』



それは世界の敵なのか、オレには分からない。

ただ真実なのは敗者だという事。

龍に撃退され、このロードギアという世界を追われた存在。

剣鬼達の神。

幾体もの龍をほふった最強の鬼。

そして龍神と相討ち、朽ちた神。



その鬼神が…ヴェルガード?

何の冗談だ?

確かにあの突撃バカは強いが……人の範疇はんちゅうだ。

人外の強さではない。

だがレラフは確信をもって語りかけ、ヴェルガードは否定すらしない。

唖然とするオレは言葉がない。



「おや?招いた記憶にない客人じゃな。ここは遠慮してくれんかのぅ。今からこの愛しい奴隷を可愛がらなければならんゆえ」



ここでようやくレラフがオレの存在に初めて気付いたみたいだ。

いかん、ほうけている場合じゃない。

鬼神どうこうは気になるが……オレがここまで来たのはオッサンの頼みやらもあるが極々、個人的な意味合いの方が強い。



「出来ない相談だ」



だから突っぱねる。



「妾の邪魔をすると?」



不快……というより楽し気にオレを見つめる。

どうやら正面から逆らう奴は珍しいみたいだ。



「拘束剣技、影縫」



レラフの剣技はオレじゃなく、負傷したヴェルガードに放たれる。

念のためにヴェルガードの動きを封じた……つまりは遊ぶ気になったらしい。



「ちぃ、こんな事せずとも動けぬわ」



「念のためじゃ。せっかく捕まえたのに、遊んでいる間に逃げられては本末転倒じゃ」



オレを遊び相手に…いや玩具扱いする気満々だな。

その思い上がりを裏切りたいが…ファラとルシスいないしな。

最悪、強制召喚という手段はある。

だがこのまま神剣である二人に頼りきるのも、オレの成長にはつながらない。

何よりちっぽけではあるが男としてのプライドもある。

ギリギリまでオレ個人の力であらがわせてもらおう。……後が怖いけど。



「さて、楽しませよ」



パチン!

見えない斬撃が三連続で迫ってくるがそれをことごとく弾く!



「やるではないか」



お姉さんに褒められるのは嬉しいが、こういう殺伐とした場面では遠慮したい。



「ならば次は剣じゃ」



一気に肉薄し、その凶刃をオレ目掛けて振り下ろすレラフの斬撃!

初撃を何とか受け流す……が!

更に休みなく繰り出される死の刃が容赦なくオレの肉体や神経を少しずつだが削っていく!



「なるほどのぅ、剣の腕もまずまず」



つばぜり合うが全く押しきれない。

すでに女の握力どころか剣精も比じゃねぇなこれ!?

パンッ!

不意な衝撃。

何だ?

グラリと己の体が崩れ落ちそうなのを踏ん張る!

口の中を切ったせいか、鉄の味がする液体がぬるりと唇の端からこぼれる。

何をされた?

レラフが何かをしたのは確定している。ならば何をされた?



「頑丈じゃのぅ。普通ならこの一撃で気絶するのじゃが」



つまりは危惧どおり、警戒すらして無視する何らかの攻撃がある!

この間合いは危険だ!

剣術、体術ともにオレより数段も上だ!分かりきっていた事実だが、やはり強い!



「逃がさぬ」



レラフの追撃がくる!

すぐには壊さないように急所は避け、オレの肩、腕、太ももなどを切り裂くが、切り落としはしない。

絶妙な力加減でオレの肉体、精神ん削りとっていく!

強い!

ホトの時に思い知らされた実力差を、改めて見せつけられ体が震える。

オレも少しは強くなったかと勘違いしていた!自惚れだ!

だが……最高にいい相手だ!!



ギィィン!



「むっ?」



ここにきてようやくまとめにレラフの斬撃を受け止めた。

ファラやルシスなら難なく出来る事も、オレにはまだ難しい。

だが出来なくはない。

こうやって一歩一歩、着実にオレは経験を積んでいる。

強くなっている!

レラフが更に繰り出す攻撃を全部とはいかないまでも、二つ捌き、三つ捌き……やっと半分程は捌ききる事が出来てきた。

だがその代償は安くはない。

すでにオレは全身切傷だらけ。

呼吸は荒く、全身を血で染めてはいるが幸い、致命傷はない。

…レラフに至ってはまだ傷一つないが。

だがオレは嬉しい。目に見える形で自分が強くなっていく事が。

命を削られながらも、オレは充実していた。



「…変わった男じゃ。劣勢なのに嬉しそうに笑いおって」



レラフの指摘で、オレはそこで初めて気付く。

オレは笑っている!



「嬉しいからな」



事実だから否定はしない。



「面白いのぅ……名は?」



名を聞かれる位までには興味をもたれたらしい。

玩具からは格上げしてもらえそうだ。



「カイン!」



躊躇う事なく名乗る。



「カイン、喜べ。妾の奴隷にしてやる」



……オレより遥かベテランの剣神に多少は認められた事を素直に喜ぶべきか?

…毒されてるな。



「いや、遠慮して……」



「カインはいたぶられるのが好きみたいじゃしのぅ。そこそこ頑丈な点も考慮して長年楽しめそうじゃ」



……評価ポイントはそこですか。

なるほど、一方的に斬られながらも笑っていたからその評価ね。



「さて、そうなると調教する奴隷が二人に増えたか。時間ももったいない、さっさと終わらせようかのぅ」



奴隷化は決定事項かよ。

そんなこちらの都合など無視して、レラフが剣を振り上げる。

常人には考えられない魔素を展開している。

一気に決める気だな。

そろそろここらがオレ個人の限界点。

見誤る気はサラサラない。

と、いうわけだ。

頼むよ。

この不甲斐ない男に



「ファラ、ルシス…剣神カインの名の元に力を貸してくれ」



その加護を。



「あいよ」



「承知しました、マスター」



実に気負いもなく、だが頼もしい二人がその姿を現す。



オレの両隣に立つ美女二人を確認し、確信。



オレが負ける要素はないな。

やっとヒロイン達の再登場。最近は影が薄かったですが決して忘れてたわけじゃないですよ……メイビー?

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