三十話
主人公にチート要素はいりま~す。まぁ剣神って設定がもうチートだけど。
オレが契約した神剣の特性は《剣殺》
神剣以外なら例えそれがS級の聖剣・魔剣でも破壊できるすごい特性をもつ。
更にでたらめな性能が、神剣は破壊できないがその特性、剣技を一時的とはいえ無効化する……まさに、反則技だ。
更にホトに発動した『唯一剣技、剣殺』は、その特性を最大限使用した必殺だ。
最低条件として剣を敵内部に突き刺さないとダメなのだが、その刺し貫いた部位から体内にある魔素を暴走させる…エグい技だ。
そしてその相手が高位であればあるほどに威力を増す。
高位剣使はみな体内に膨大な魔素を溜め込んでいる。
これは別にいつでも戦闘できるという準備だけのモノではない。
体内の臓器、血液、細胞とありとあらゆるモノを強化している結果だ。
それにより老化は遅れ、筋肉は効率よく成長、病気知らずになり、剣龍ほどのでたらめな自己再生は出来ないが常人よりはケガの治りが早くなる。
この事から高位剣使の外見と年齢にはギャップがあるのが基本だ。
そして剣神はこれの更に上位存在。
剣神は契約した瞬間から不老であり、契約した剣龍の生命力の恩恵で、滅多な事では死ねない体になる(各々の剣神により個体差はあるとの事)。
内包する魔素量もそれに拍車をかけ、人間という枠組みを超え、神となる。
その神の技というほどではないが、剣神の中にはその膨大な魔素を体内で細胞ごと組み換え、自分の肉体を最盛期に戻した存在すらいるらしい。
ちなみにこれくらいは剣神なら誰でも出来るらしい。
…………恐ろしいな剣神。
細胞を弄くり回して肉体年齢変えるとか…その発想についてけない。
まぁその魔素量が今回は仇となったわけだが。
オレはホトのその有り余る魔素量を剣技により暴走させることで体内から破壊、殺害した。
この説明をルシスから聞いた時、何だか剣神を殺す事に特化していると感じたのはオレだけか?
だが、そのおかげで勝てたので良しとしよう。
ドサッとオレはその場に座りこんだ。
最初の一撃をホトが剣で受けてくれて助かった。
その特性上直接、剣と剣を合わせねばその能力が十全に発揮できないのだ。
だから最初の一撃を避けられたりしてたら目もあてられない。
倒れ伏せていたのはオレでもおかしくなかったのだから。
だからこの勝利はギリギリ。
ただ単に運がよく、賭けに勝っただけ。
「まだまだ修行が必要だな」
『安心しろバカ弟子。アタシがみっちり鍛えてやる』
『僭越ながらワタシも手伝います』
「未熟な弟子で申し訳ないけど頼むよ、二人共」
剣神になれたからって喜んでばかりにはいられない。
不可抗力とはいえ結果として剣神は揃ってしまった。
世界の管理者は完全に剣神に移行したのだ…………世界規模でこれから戦争が起きる。
「ところで剣神一人が死んだけど、この場合どうなるんだ?」
「すでに揃った時点で管理者は移行したから何も。いつか現れる管理者の世代交代までに全滅は避けたいね」
「なに!?」
オレの疑問に答えたのはファラでもルシスでもなく、いつの間にか去ったフレイでもなかった。
倒れた死体から声が発せられたのだ。
そしておもむろに死体が起き上がる。
「ふぅ…これだけ殺されたのは久々で復活に手間取ったな」
事も無げに、そうほざくホトにもう傷はない。
「まだ…生きてたのか!?」
あれだけ内部をメチャクチャにし、機能どころか修復不可能なダメージを脳や心臓、内臓の類いにも与えたのに、まだ!
「そうだな、他の剣神だったら死んでたかもな。ただワタクシは死ににくい体に特化している、世界中の誰よりも。この程度なら許容範囲内だ」
「くっ!」
すぐさま剣を構えるオレをしかし、ホトは手を突き出し制止する。
「お互いこれ以上の戦闘行為は得策じゃないぞ。さすがのワタクシもダメージは大きいが、お前を殺すだけならまだ余力はある。だがそれはしたくない」
「…何故だ?」
ホトには確かにハッタリじゃなく、まだ余力はあるとオレも気付いてはいる。
確かにこれ以上の戦闘は得策じゃない。
「こう見えて新たな剣神の誕生を祝福してるんだ。管理者は剣龍から剣神へと移行、世界は戦いに明け暮れる…ワタクシ達がまいた火種もよく燃えるだろう」
恍惚した表情にオレは吐き気がした。
そんなに戦いたいなら剣神だけでやってろ。
「さて、そんな面白い時代がくるのにその体は不便だろ?」
「…オレの左腕の事か?」
「隻腕は日常生活やこれからの戦いに不利だ、だからその腕をどうにかしてやる」
義手でも用意してくれる気かと考えたが……あの外道がそんな親切な物を用意するわけがない。
それに半ば確信がもてたのでさっさと断るに限る!
「いや遠慮して……」
「そんな必要はない。いい材料もちょうど調達できたんだ、大人しくしてろ」
ちょっ!?
こちらの都合はガンムシか!!?
それに材料?調達?他人の体をどうする気だ!
ホトは瞬速でオレを仰向けに組み伏し、右腕の関節を極め拘束!
抵抗したのにこのザマとは……ちょ、こいつ体術スキルも半端ないな!
『カイン!』
『マスター!』
二人が叫ぶがホトは牽制し、動きを封じる。
「スト~プ、何もせずそのまま剣の状態を維持しろ剣龍。なーに悪いようにはするようなしないようなだ」
「どっちだよ!」
「さぁ、左腕を生やしてやる」
「おいおい、お前の手なんか借りなくてもオレは自分の力で腕を再生できるぞ!!」
剣神の力を使いこなせればそんな芸当が出来るのは学習済みだ。
「確かに確かに。だが使いこなすのと、再生に十年単位はかかるぞ?他の剣神も長い時間をかけて細胞やら魔素をいじっているんだ。成り立てのお前さんには難しいし当面は無理だ」
言い切りやがった!
「それに言ってるだろ?これから戦乱の時代だ、そんなお勉強の時間もない。だから今回はワタクシの好意に甘えろ」
「野郎の好意なんか嬉しくねぇよ!」
「な~に、遠くない未来にきっと感謝するさ。何せ、お前さんに移植するのは剣鬼の肉だ」
「おまっ!!?ふざけんなよ、剣鬼の肉って!」
「人間に移植するのは初めてだが…拒絶反応も当然あるだろう。だがまぁ剣神になったんだから肉体組織云々は自分で調整してくれ」
まさかの丸投げかよ!?
「ワタクシからのプレゼントだ、おめでとうカイン」
そしていつの間にかオレ達の側に剣鬼の死体。
いつの間に転移を!
そしてその死体に、余力とみられるホトの魔素が展開、何ともいえない音をさせて死体が徐々に形を変えていく。
そしてホトは無事?に死体一つを凝縮して、左腕を形成した。
「マジで外道か!!?そんな得体の知れない物を他人に移植するってどんだけ変人だ!」
「はいはい、泣いて喜ぶのはいいが礼は後にしろ」
「喜んでねえよ!」
そしてオレの必死の抵抗虚しく、左腕は移植された。
ホトさん絶好調です!




