二十六話
みんな、感想まってるぜ!ちなみに作者は褒めると伸びるタイプです。どこが?んなこと言わせんなよ!
「ふ、不死身?」
真っ先に思い浮かんだオレの一言に
「そんなに万能じゃない。ただ他人より死ににくい体なだけだ」
その本人が否定する。
「例えば…首を斬られようが、頭部を砕かれようが、心臓を隙間なく刺し貫かれようが、全身火だるまになろうが死なない位に」
「それを不死身って言うんだよ!!」
オレの突っ込みにホトは肩をすくめる。
くそ、なんかその「どうしようもないだろ」って態度がムカつく。
『《不死神》の特性を受け継いでも限界はある。要はその限界を超えるまで滅すればいいだけの事だ。決して不死身ではない』
ファラは実に前向きだが発言内容が怖い。
肉片も残さず何度でも殺しまくってやる…ともとれる発言だし。
「そう何度も殺されてはやらんよ」
ホトは剣を引き抜き、切っ先を剣龍に向ける。
「唯一剣技、死頭」
切っ先から魔素を展開。
濃密なまでの魔素が形作るは骸骨の頭部だけ。
大きさは頭部だけで二メートル、赤黒く鈍い光を放つ二つの目がファラ達を見据える。
視認後、口を開く。
『キアアアアア!!!』
叫ぶ悲鳴は鼓膜を破る勢いで耳に直接叩き込む威力!
その場に倒れ伏すオレの視界に入るのは、ファラ達だ。
さすがにオレの様に不様なサマはさらしてないが、反撃できる余裕まではなさそうだ。
こんな音害で剣技を発動できる集中力など誰もない!
「さて次々いくぞ、その隙だらけな身に死の祝福あれだ」
だが例外はいる。そしてホトは、今現在発動している剣技とはまた別に魔素を展開!
「唯一剣技、死手」
でたらめな魔素量での二重剣技を発動!!
形作られるは巨大な骸骨の二つの腕。
突き出されたその両腕は、ヒジまでしかないが三メートルはある規格外なサイズ!
それだけでも驚愕しているのにそれぞれの手に握られた法杖に目がそらせない。オレが凝視したそれは、信じられない事に魔素を展開している。量だけならホトやファラ達に劣るが、魔素の質がこの場にいる誰とも違う!
つまりは…あの腕だけで剣技を発動しようとしてる!?
だがそれはオレの早とちりだった。
『外法剣技、死白掌』
頭部が詠唱した。同時にようやく事態に気付く!
あれは…頭部と腕は元々同じ存在なんだと。
つまり、ホトの唯一剣技はある一つの存在の部分召喚!
おそらくは最初の『死翼』すら一部分に過ぎない。
なのにあの防御力。剣龍を召喚したのは恐らく、ファラ達に対する嫌がらせ以上の意味はなかったという事か!!
これがホトの本気かよ!?
そして、ホトが部分召喚した頭部と両腕はその身を犠牲にし、外法剣技を発動。
使い捨てにできる、まさに最悪にして最高の攻撃手段!
剣技発動直後に、骸骨の頭部と両腕が崩れゆくと同時に白い炎へと変化、その白炎がファラ達を球体状に包み込み……爆散!
オレはそれを呆然と見上げていた。
その威力を身にしみて知っているだけに、絶望感しかない。
外法剣技はその身を差し出した分量で威力が上下する。
発動者の魔素量も大事ではあるが、犠牲にした物が大きいほどにその威力は爆発的に飛躍。
オレの左腕を犠牲にしただけでも凄まじい威力なのに、ホトは部分召喚した別の何かの頭部と両腕を犠牲にした。
威力だけでもオレが発動した時の十倍以上……無事で済むはずがない。
そしてその予想は的中した。
その巨体がグラリと崩れ落ち、双頭の龍は地面に倒れた。
『グゥ……ヌゥ…………』
うめき声をあげるファラ達の元へ、オレは全力で走り寄る!
……ひどい傷だ。
剣龍の強固なはずの皮膚や鱗が焼け爛れている。いや、あの外法剣技を直撃して生きているだけでもすごい生命力と賞賛すべきか。
「ファラ、ルシス無事か!?」
自分でも、これが大丈夫なわけあるかと罵倒したいが、今はそれどころじゃない!
意識だけでも何とか繋ぎ止めておかないと!
『た…わけ……ぶじ…に…………みえる……か?』
ファラが苦笑?しながら答えた。
まだ返事できるくらいは大丈夫って事か。
『ふ……かく…………けん…しんが……これ…ほど…………とは……!』
ルシスは悔しさのあまり、震えている。
その目からは涙が流れていた。
「いや~獣同然の存在がよくもまぁ粘ったもんだ。ワタクシに、少しばかりとはいえ本気を出させるとは、さすがは最後の剣龍と褒めるべきかな?」
「……黙れ」
「おいおい…お前には感謝してほしい位だぜ?あのタイミングでワタクシが来なかったら今頃死んでたし、こうして今、剣龍を瀕死状態にしてやったんだ」
「黙れ」
「何を怒ってんだよ…お前がソレと契約するか?今なら気軽に屈服させて剣神になれるぞ?な~にコイツらの調教なんてかんたん……」
下らん事を、未だにのたまってるホトに全力を込めた右ストレートを顔面に叩き込む!
「……なんでそんなに熱くなってんだ?正直だせぇぞ、若造?」
だが顔面に叩き込まれる前に、難なくホトが左手で受け止めていた。
「女を泣かせている奴の方がよっぽどだせえよ、ジジイ」
「…せっかく剣神になれるチャンスをやったのに、棒にふるとは馬鹿だな」
ホトがオレの足を払い、一回転して背中から地面に叩きつける!
「ガッ!?」
「年長者の好意を踏みにじると後が怖いぞ」
そして掴んでいたオレの右腕をヒジからヒザで叩き折る!
「グガアアァ!!?」
皮膚から変な方向に骨が飛び出している。
そのあまりの激痛にショック状態で意識を失いそうだ…
「剣神は二本も神剣を所持できんし…適当な部下を候補者にして屈服させるか?だがそうすると他の二人がやかましいか?」
オレの存在などもはや忘れ去ったかの様にホトが一人ブツブツ呟きながらファラ達の元へと近付いていく。
くそっ!
またオレは何も出来ないのか!?
あの時と同じ…アベルが両親を斬殺したあの時のように!
何も…出来ないのか!!
「何をやってる、戦友?」
不意に上から声がした。
空耳?
だがオレの視点から足が見えた。
ホトでもなく、ファラやルシス達でもない、誰かがそこにいる。
「誰だ?」
ホトが歩みを止めて誰かを見てる。
今のホトの発言からして敵ではない可能性大だ。
「ここに転がっている芋虫もどきの元同僚だ。不本意だがな。はぁ、早く自分の墓を建てる場所を探さないといけないのに…我ながら嫌になる位のお節介焼きだな」
そしてこの口調は思い当たるフシがある!
見上げたそこには見知った顔。
「フレイ」
「やあ、カインの方が先に死にかかってて嫉妬するよ」
死にたがりの同僚が、相も変わらず無表情・無愛想に皮肉を語る姿がそこにはあった。
はい、作者も予想外の展開です。まさかお前がここで来るかと!キャラがあまりに自由に動きすぎて振り回されてます、マジでね。




