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萬呪事引受協会に恋の花が咲きそうです。

衝撃の事実でした。

キキョウさんが、男性だったなんて。

呪魂玉を見つめながら思う。

女の人にしては背が高いし、胸ないし……。とか思っていたけども。同時期に協会に入ったミネルバさんが、ゴリゴリの女戦士系の体格だったから色々なタイプの魔女さんがいるもんだと、線の細いキキョウさんの性別を女性だと思い込んでいた。

よく考えたら声だって女性にしては低いなぁとは思っていたけど、喉仏なんか見たことないし!

私が猛反省中に件の彼が訪れた。

「ひゃっ!」

近くにいた先輩や同僚が何やらニヤニヤしながら持ち場を離れていく。ちょっと!見捨てないで!


「やぁ、セシリア……息災かい?」

掛けられた声はいつも以上に低く聞こえた。

油の切れた扉みたいにぎこちなく振り向く。

「セシリアは、私を女性だと思っていたんですって?」

掛けられた声に頭を下げる。

「す、すみません!やたら、色気のある美人(女性)だと思ってました。」

頭を上げる瞬間に見たキキョウさんの表情はよく分からなかった。

「何回、生まれ変わっても女顔なのがコンプレックス何ですよ、私は。」

ため息。

「そのせいで辛い目にも合ってきましたし。でも、まさか……自分のアピールが全く通じてなかったとは……。」

アピールとは?

首を傾げたのが分かったのだろう、キキョウさんの笑みが深くなった。

でも私の困惑顔を見て彼は口元に手をやりブツブツと呟いていた。

「……いや、覚えてなくていいか……。しかし、やっと、」

「あ、あの、キキョウさん?」

大きく息を吸ったキキョウさんが私を見つめる。

「一目惚れです。結婚を前提に付き合って下さい。」

彼女、もとい!彼のイメージにないド直球な告白。何回かの前世でも経験がない。

「因みに、私以外の男など許しませんし、諦めません。」

何か言おうとすると、

「上層部会議に行ってきます。今日1日呪魂玉と私のことだけ考えていてください!では!」

キキョウさんは足早に出ていった。

えっ?返事は……?

にしても、キキョウさんの呟き、私の前世にあんな美形いた?繰り返す転生だけど容姿はそれとなく引き継がれる。

ブツブツ言っていたキキョウさんの言葉からすると、私と彼の間には何かしらの縁があるらしい。

思い出した方がいいのかな?

妹の件があって、暫く恋なんて出来ないと思っていた私の胸の中に何が芽吹いた気がした。


魔女だったことを思い出すと同時に魔法についての記憶も甦り、願うことで指先にほんの小さな光が灯った時は感動した。

毎日の忙しい業務中にも関わらずキキョウさんは必ずお茶か食事に誘ってくる。

彼が誘いに来たときはロザリーもキャスカも都合が…とか言って去っていく。

戸惑いの中にいる私に呪魂部の課長が眉を下げて言った。

「あなたに意識してもらえて嬉しいのねぇ。キキョウくんのあんな浮わついた顔久しぶりだわ。」

「……久しぶり?」

「魔女の記憶を押し込めている人に魔女は干渉出来ないのは習ったよね?」

選んだ人生。その人生を尊重するのが協会の方針だった。

魔女が自分の人生を悲観し人生を呪うほど悔いた時、対象が呪魂玉に恨みを溢れさせた時くらいしか魔女の記憶は芽吹かない。

「だから、あなたの因縁の魂が恨みを溢れさせた時、キキョウくんは、“これでやっと、彼女と会える!”って浮かれちゃってね、狩魂部のエースに出動を命じたの。」

人事部の課長であるキキョウさんが狩魂部のエースを動かした?

「キキョウくんは、人事部 

の課長だけど、元狩魂部のエースで狩魂部と警ら部の人事を担ってる部長でもあるのよ。あれ?聞いてない?」

「人事部としか聞いてませんでした。」

ちょっと待って!狩魂部の元エースってことは、フィオレンティーナみたいな人生を歩んだことがあるの?その人生に私が関わって?

猛烈に彼のことを思い出さなくてはと考えてしまった。


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