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萬呪事引受協会は、お仕事内容豊富です。

萬呪事引受協会は、大きく分けて8つの部署に分かれている。新人魔女は、その中の総務部、製造部、警ら部、狩魂部、呪魂部、解呪部の研修を順番に受ける。

研修が終了後、総務部を始めとした各部署のトップが話し合い、研修態度、成績の評価、魔女の素質、本人の希望なんかを鑑みて所属が決定する。

数ある部署の中でも生前の恨みが強い魔女ほど狩魂部を希望する傾向にあるらしい。前述の生き長らえた12名は全て狩魂部に所属している。彼女達の前世が経った末路は涙なしには語れないし、辛すぎるものだった。フィオレンティーナもそうなのだと思ったら余計辛くなった。


さて。

協会の総務部は、協会の細々したことから、魔女や協会の歴史、一般教養などの教育も担い、協会内でも仕事内容が多岐に渡るため製造部と合わせて4ヶ月の研修となっている。警らと狩魂部は、それぞれ1ヶ月、呪魂と解呪部が其々2ヶ月の研修期間となる。私は、現在呪魂部の研修期間中で、やっと指導者の手が離れ10個ほどの呪魂玉(呪い玉)を任されている。因みに狩魂部での指導員はフィオレンティーナだった。彼女は“転生は2回目”だと教えてくれた。初回の生では、この世の地獄だと思う程の拷問を繰り返し受け、右目と左足を失った状態で助け出されたらしい。殺して欲しいと願ったのに誰も殺してくれず、絶望の中、発狂し32歳で亡くなったそうだ。14歳の時に捕まり、助け出されるまでの6年間は、何故死ななかったのか、助けられてからは、何故生き長らえているのか分からず発狂した。

フィオレンティーナの生き甲斐は自分を痛め付けた男の魂の生き様を確認し、いずれは堕ちて行くだろう魂を自らの手で狩り取ること。

狩魂部は協会の花形、エリートであると言われているが狩魂は年に数回のみなので普段は警ら部の一員として働いている。

セシリアは家族に虐げられてはいたが、貴族令嬢としての教育は受けていたので一般教養はほぼ問題なしとされた。同じ頃に魔女となったキャスカは読み書きが出来なかったので今も時間があれば総務部の教育担当者の元に通っており、セシリアも時間が合えば教えている。

「もうすぐしたら、セシー解呪部だね。」

「えぇ。でも覚えることが沢山ありすぎて、1日があっという間に終わるのには驚きました。元家に居た時は時間の経過が進むのは夜だけで昼間は中々時間が過ぎていかなかったのに。」

食堂のA定食は、ちょっと豪華で美味しいの!

あ、食堂で料理を作ってくれている方々も魔女である。

製造部薬膳課に所属している食のプロ達だ。各国にある食に関する文献を調べ時に違う世界に転生したことのある者達に聞き取り調査をして調味料の開発にも余念がない集団でもある。けれど、彼女達のお陰で協会のご飯は美味しいのだ!

「私もあと半月で解呪部に行くから宜しくね、先輩!」

キャスカは麺料理好きだから毎日B定食。今日はキノコたっぷりパスタ。

「ふふっ、一足先に解呪部の先輩になったロザリーは変わりないですか?」

今月洋服を買いすぎたと少々金欠のロザリーは、カレーライスと言うスパイスの効いたものを食べている。

今日のメニューで一番安いご飯だ。

「もうすぐオリエンテーション期間が終わるから部署決めじゃん?そっちが気になんだよね。」

「でも希望も聞いてくれるんでしょ?ロザリーは、どこ希望なの?」

「自分なりに向いてるなって感じたのは、総務部の受付担当係かなぁ、色々酷い目に合って来たけど人との繋がり失くしたくないって思っちゃった。」

みゃうがロザリーにすり寄る。ううっ、可愛い!総務部の受付担当係は、呪いや不可思議な事情によって困ったことになっている魔女の魂を持っていない一般人のお悩み相談窓口だ。中には呪いとは無関係なものもあるけど、受付場がお婆さん達の寄合場みたいになってて基本のんびりしている。

「私は、頭悪いから体動かす部署がいいな。でも、今の呪魂部も好き。」

呪い玉って人の恨み辛みが納められているものだけど暗闇に光る青い砂はとても綺麗だ。

『人の不幸は蜜の味』って言う言葉があるだから、呪いの砂はキラキラ綺麗なのだと説明があった。万近くある呪い玉の管理は簡単そうで大変だ。

「そういえば、マリアンナさん、赤ちゃん出来たんだって!」

明るくキャスカが言った。

マリアンナさんは、呪魂部の先輩だ。

そう、魔女の中には結婚して、家庭を持っている人も多い。結婚かぁ……。

「セシリアは、結婚とか考えてないの?」

「なんとなく良いものとは思えないのよねぇ、妹に婚約者を寝取られたってのもあって、男の人を信じるの怖い。」

「キキョウさんなんか、どう?ライバル多そうだけど。」

持っていたスプーンが止まる。

「私、相手は男の人がいいです。」

2人の手が止まる。

何かおかしいこといったかしら?

ロザリーが口を押さえて震えている。

キャスカはゴクリと喉を鳴らすと笑い出した!な、何?

「まさかな展開!」

「キキョウさん、気の毒すぎる!」

三者三様の魔女達。一体なんなのよ。



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