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13. ふたごニラ玉丼


「お待たせしましたー」

美味ウマそう、けどこれニラ玉?」

「うちの特製ニラ玉です。ごゆっくりどうぞ」


やはり、この形態のニラ玉は珍しいようだ。

さて、本日の黒板内容はこちらであーる。


『メニューはこれだけ!

 本日の店主の気まぐれご飯


 ふたごニラ玉丼

 鶏つみれのお味噌汁

 ※大盛り、ご飯おかわり無料

 ※※ニラ玉はご希望でツユだく可※※


 900円』



ふたごニラ玉丼は、名前の通り玉子を二つ使用。

食感を残しつつ甘辛に煮てあるニラの上にそのまま割り落として火を通したものである。

一般的なニラ玉を想像した方はごめんなさい。

でもうちのニラ玉のほうが間違いなくご飯に合うはずだから!

いや、一般的なニラ玉も好きだ!



カラカラカラ


「いらっしゃいませー…あっ!」

「こんにちは…また来ちゃいました」

「ありがとうございます!」


あの綺麗な女性のお客様!

また来てくれたんだー!嬉しい!


「ご飯少し多くしときます?」

声を潜めて先に聞いてみると、はにかみながら「お願いします」と頷いてくれたので、張り切って用意をする私である。



カラカラカラ



「いらっしゃいませー!あ、いつもどうも!」

ポテサラ君ことイヤマさんだ!


「大盛りツユだくお願いします」

「はーい、少々お待ちください」


さすが常連さん!初めて食べるメニューのなのにこのこなれ感。



「お待たせしました」

まずは、女性のお客様の分を、と。


「こんなニラ玉初めてです!美味しそう」

「ありがとうございます、あ、レンゲ使いますか?」

「お願いします」

「はい、どうぞお使い下さい」

「いただきます」

一口パクリ。


「ん〜!」


この反応だけて、お口に合った事だけはわかったので一安心。

さて、今度はイヤマさんへ。


「お待たせしました。ツユだくなのでレンゲをつけておきました。よろしければお使い下さい」

「ありがとうございます、あの…」

「はい?どうかされましたか」


真剣な顔で、意を決した様に話しかけるイヤマさんに、もしや今日のメニューがお気に召さなかったのかと内心ドキドキである。


「来月から、日曜日お休みなんすか」


あっ。メニュー関係ナカッター。ヨカッター。


「そうなんです…あ、そういえば日曜日も来てくださってますよね?」

「はい…」


そうだそうだ。

平日皆勤賞過ぎて、逆に思い浮かばなかったけど、イヤマさんは日曜日も来てくれていた。とはいえ、日曜日に関しては毎週では無かったはずだけど…


「職場も家も、近いんです。一人暮らしなんで、予定あえば日曜日もここで食べるのが楽だし、…美味いし」

「ありがとうございます…なんか、すみません」

「いえ、考えてみたら…今まで店長さん一人で営業大変でしたよね」

「とんでもないです。お気遣いありがとうございます」


イヤマさん、めっちゃいい人。

そんで家近かったのかー、ホントごめんなさい。

でも日曜日は休むよ、もう決めたよ。

うちがすごく儲かって、人を雇えるくらいになったら…いや、店主の気まぐれご飯を店主が作らないでどうするんだ。結局、私いないと駄目なシステムー…。

やっぱり日曜日は定休日だわ。なんかごめん。


「…ごゆっくりお召し上がりくださいね」

「ありがとうございます」


お詫びに今度、ポテトサラダの日には少し多目に盛ってあげよう。

完全なる依怙贔屓エコヒイキを心に決めつつ、厨房に戻った。




厨房から店内を見やれば、みんなのご飯風景。


ごはんをたくさん頬張る人、

味噌汁の鶏つくねを箸で掴んで食べようとしている人、

みんな幸せそうに食べて話して笑っている。

ご飯を美味しく食べる事は、幸せな事。


何だか私までお腹が空いてくる。





「たのしいね」


ふと聞こえた子供特有のあどけない声。

“ご予約席”には、生姜焼き妖精君が居た。


「みんな、おいしいかおして、にこにこ。うれしいね」


他のお客様の目もあり、返事を返してあげられないのがすごく心苦しいが、こればっかりは仕方がない。

生姜焼き妖精君に視線を合わせて、微笑むだけにとどめる。

すると、私に微笑み返して、またふわりと消えた。



「お会計いいですか?」


女性のお客様に声をかけられて我に返る。

相変わらず食べるの早いよお姉さん!


「はーい、900円です」

「ちょうどで」

「はい……ピッタリ、ありがとうございます」

「ニラ玉丼も、お味噌汁も漬物も、全部美味しかったです!」

「ありがとうございます!ぜひまたいらして下さい」

「はい、また来ます!」

「ありがとうございました!」




「すいません、おかわり良いですか」

「はーい。大盛りです?」

「お願いします」

「…ニラ玉のおかわりはムリだけど、ツユで良かったらかけますか?」

「っお願いします!」


おおぅ、力入ったお返事ありがとうイヤマさん。

今日もよく食べるね!

イヤマさんの丼ぶりを受け取って、ニラ玉のツユをかける。


「はい、お待たせしました」


お届けと同時にイヤマさんのお盆を見ると、浅漬けがまだ残っていた。

浅漬けでおかわりご飯を食べようとしてたのかな?…ならば。


「個人的になんですけど、ニラ玉丼に、この浅漬け混ぜてもアリです」

「え?」


とは言え、ニラ玉完食しちゃった人にこんなアドバイス微妙かもしれないけど…ツユかけて食べるならまだ間に合う。


「好みにもよりますが、甘辛味に意外と馴染みますよ」

「…」


返事もなく、でも素早い動きで浅漬けを丼の中に投入したイヤマさんは、レンゲで口の中にご飯を運ぶ。


パリパリ…パリ…

大根が口の中で良い働きをしている音がする。


「美味い…合う」

「でしょー!、っと失礼しました、ごゆっくりどうぞ」

 

お口に合って何よりです。

漬物は意外とメインと混ぜても良い働きしてくれるものあるんだよねー。



ちなみに。

その、私とイヤマさんのやり取りを見ていた他のお客様も、速攻で浅漬けを丼に入れたり、つゆだくでおかわりしたりとワラワラしました。ご飯の消費量…多い。


ご飯をいつもより多く、土鍋で追加に炊いたのでした。




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